『モード』に入るトキ

最近、クラスの子ども達の動きが早いと感じることがあります。

雰囲気はこれまでとほとんど変わりません。
まったりとしており、少しダラダラとした雰囲気。
つまり、キリッとしたテキパキと行動するタイプのクラスではありません。
担任の雰囲気に子どもが合わせてきているのだと思います。
僕自身は、この雰囲気が好きです。だから、こういう雰囲気をとがめるようなことはありません。

まったりとした雰囲気ではありながら、動きが早い
…少し矛盾した表現のように感じます。
でも、表現すると、これがピッタリときている気がします。

この部分を振り返っていて、少し整理できた気がするので、まとめておきたいと思います。

⒈ 『モードに入る』って?

行動が早くなるとき、それを、『モードに入ったとき』とします。
まず、「『モード』とは何か?」です。
まだはっきりとつかみ切れてはいないのですが、『準備モード』『片付けモード』『学習モード』のように目の前のすべきことに気持ちをハッキリと切り替えた状態のことを言っています。

「切り替えよう!」って、先生も子どももよく言いますよね。何を切り替えるか?
それが『モード』なのではないかと思うのです。

そして、どうすれば『モード』を切り替えられるのかを、今のところとしてまとめたいのです。
その条件は、たくさんあると思うのですが…10個にまとめました。

 ① 集中できる環境か?
 ② 誰の指示か?
 ③ 誰とするか?
 ④ マイナスを避ける
 ⑤ 「したい!」
 ⑥ 役割がわかる
 ⑦ 集団で向かう
 ⑧ 良さがわかる
 ⑨ 感情が伴う
 ⑩ 貢献が見える


当たり前の事ですが、こうやって整理すると、『モード』の入り具合を分析する目安になると感じています。あるいは、その集団分析の目安になるとも感じています。
これをさらに3つのグループに分けると…

 ① 『モード』の環境
 ② 『モード』のシステム
 ③ 『モード』の理由


こんな感じになるかと思います。
もう少し細かく整理してみます。

⒉ 『モードに入るトキ』:①『モード』の環境

その取組を行う環境が整うことで、『モード』を切り替えやすくなります。
それが、この3つです。
 ① 集中できる環境か?
 ② 誰の指示か?
 ③ 誰とするか?

まず、「①集中できる環境か?」が大切です。これは、参加する全ての子どもにとってという意味です。
『モード』の1番の邪魔者は、『モード』に入っていない友達だちです。全員が集中して参加できる環境を整えることは、第一条件なのです。ちなみに、この邪魔が入ることを予想した上で集中できる環境を整える場合もあると思います。
そうやって、環境を整えたとしても、「②誰の指示か?」「③誰とするか?」で、その環境を生かし切れない場面があることは、誰しも感じた事があると思います。誰とでも『モード』に入れるクラスを目指すという思いはあるでしょうが、そこに至る過程に、最善の環境で取り組む経験を重ねていく事が、『モード』への入りやすさに繋がっていきます。
この「②誰の指示か?」「③誰とするか?」を、クラスの成長段階に応じて変えていきながら課題設定していくことも、クラス作りの視点で大事にしたい事です。

簡単に言うと、そのクラスの実態に合わせて、「どうすれば『モード』を切り替えられるか?」と考えて環境を整える視点を持っておく必要があるのです。

⒊ 『モードに入るトキ』:②『モード』のシステム

いくら環境が整っていても、そこにエラーが起これば『モード』から抜け出してしまいます。
子どもは真面目に取り組もうとしていた。けど、うまくできていなかったという経験は誰にでもあると思います。それです。エラーを引き起こす原因を3つ挙げてみました。
 ④ マイナスを避ける
 ⑤ 「したい!」
 ⑥ 役割がわかる

④⑤は、自分にとってマイナスかプラスかで、子ども自らが『モード』に入る事ができるという事です。
その取組をしなければ、自分にとってマイナスだと感じるのであれば、一生懸命取り組みます。
シンプルにその取組を「したい!」と感じるのであれば、それは1番の意欲になります。
そのマイナスプラスを、システムとして取組に仕組んでおけば良いのです。
しかし、そうやって「しなければ!」「したい!」と追い込まれた所で、自分は何をすれば良いのかがわからないようであれば取り組む事ができません。
また、真剣に取り組みたくでも生じた不安から『モード』には入ることができません。
何をどのように取り組むのが自分の役割なのかをハッキリする事でエラーを防ぐことができるのです。

簡単に言うと、自分の役割をハッキリさせて、意欲が高まるように仕掛ける。このように、その取組は子ども自身が『モード』に切り替えられるシステムであるかどうかという視点を持っておく必要があるのです。

⒋ 『モードに入るトキ』:③『モード』の理由

環境が整い、自ら向かえるシステムが整ったら、ほとんど成功でしょう。
しかし、それでもエラーは起きてしまいます。
例えば、心が不安定であったり、マンネリであったり、行事との兼ね合いがあったりと、子どもの意欲が下がってしまう原因は無数に考えられます。
そこで、取り組む理由を仕掛けたり、語ったりしていく必要があります。
 ⑦ 集団で向かう
 ⑧ 良さがわかる
 ⑨ 感情が伴う
 ⑩ 貢献が見える

この4つを挙げてみましたが、考えれば、もっとあると思います。何となくの代表例だと考えてください。
子どもの言葉に変えてみます。
 ⑦ → 「みんながやってるから」
 ⑧ → 「あいさつをすると、”その人を大切にする”を行動にしているんだ」
 ⑨ → 「みんなで給食を40分までに食べ切れたら嬉しい」
 ⑩ → 「4年生の掃除場所はいつも綺麗だと、4年生が南校舎を綺麗に」

子どもの意欲を下げてしまうエラー、これら全てを防ぐことは難しいです。
だから、「みんなで頑張ろう!」という頑張る理由を作ると良いのです。
つまり、目標の共有です。今の言葉を子ども達が言えるように語りかけ、話し合います。
そうやって、みんなで頑張る理由を共有します

簡単に言うと、子どもの心が離れそうになった時に、自分の様子を振り返ってまた再び取り組むためのモノサシを作っておくという事です。その取組の基準を子どもは把握できているのかという視点を持っておく必要があるのです。

⒌まとめ

考えがまとまり切っていないままに、まとめてみたので、おかしな部分もあるかもしれません。
でも、こうやってまとめることで、自分の学級経営を振り返る視点が見えてきました。
学校で行う様々な取組は、『当たり前』の事になってしまい、自分が子どもの時にやっていたように子ども達にさせていたり、初任の時に考えた方法を続けている事が多いと思います。
そんな『当たり前』にどう取り組ませているかを改めて振り返ることは、必要なアップデートにつながるのかもしれません。

「環境とシステムと理由を整えることで、子どもが『モード』を切り替える」という提案をしました。
当然、これで万事うまくいくわけがありません。
これで、クラスの大部分は機能すると思っています。
では、大部分以外はどうするのか?
最後は、『愛情』でしょう!
子どもと一緒になって取り組んだり、うまく向かえていない子どもに寄り添ったり、全体に喝を入れたり、もちろんたくさん褒めたり…
教育の対象は、人です。
こうすれば、万事うまくいくということはなくても、大切にしてくれる先生の想いは伝わるものです。
いや、伝わると信じて先生という仕事を楽しんでいます。

「人なんだから、失敗して当たり前」、それ位の気持ちでいたいものです。
ヒューマンエラーを責めず、システムエラーを疑う気持ちで、『当たり前』と向かい合おうとする心が、まず一番大事なものだと思って、この提案をここに記しておきたいと思います。

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