ザ・ノンフィクション西園

 脱ニートから約10ヶ月が経過した。再就職先は建設業の中小企業。催告書の作成に始まり、パンフレット作成、HP作成、人事労務管理、資金繰り業務など様々な業務を担当した。そして解雇となった。最後に携わった業務は破産手続きとその残務処理である。縁故の紹介で入った会社はとんでもない泥舟だったのだ!船底がゆっくり溶けていることに気付いているものは社内に一人もなく、それ故に私も意気揚々と泥舟に乗り込んだという有様。泥舟だと気が付いたのは就職から3ヶ月ほど経った9月。事務課長を自称して偉そうにしていた経理のお局の仕事があまりにも杜撰であったため、私の業務に経理が追加された。上手にお局の顔を立てながら帳簿類及び予算管理表を作成しろという指令だった。そこで初めて会社の経理の実情に触れ、資金のなさに驚愕した。それから融資申込の資料を作成するよう指示を受けて、決算書を洗い直し、資金繰り計画を立て、申込書類を揃えた。そこでさらに驚愕することになる。会社にお金は一切ないのに決算書上はかなり資金がある。現状支払いが滞っているのに決算は黒字になっている。何故こんなにも赤字になっているのか、どこにお金は消えているのか。悩みに悩んだ結果、答えは簡単だった。決算書が嘘だったのである。つまり粉飾だ。それも一目でわかる粉飾。融資は当然ながら断られ、廃業の道しか残ってはいなかった。12月のことである。そこから破産手続き開始まで1ヶ月ほどかかり、様々面倒なことがあったが、割愛する。

 破産に伴う解雇によってまた失業保険でニートを満喫できるかと思ったが、なかなかそのようには生きられない。即座に新しい建設会社を立ち上げてそちらで働くこととなった。しかも私に社長の肩書きがあった方が業務の都合が良いということで社長になることになった。いつ没収される肩書きかわからないが、一年も経たずしてニートから代表取締役に出世するとは人生わからないものである。2月末に会社設立手続きを開始し、明日法務局に登記しに行く。急ピッチの法人設立でなかなか貴重な体験かもしれない。納得がいかないのは給料が上がるどころか少し下がるところだ。こんなに面倒な手続きを一人で進めているのに全くひどい話だ。厳重に抗議しなければ。

 波乱に満ちた2022年になりそうだよって話。以上

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