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つばめが行った日

寝坊をして慌てて窓を見たらつばめ3羽が電線にとまってこちらを見ていました。
「あぁ・・。今日、行くの?気を付けてね、いってらっしゃい」
自分でもびっくりするくらい最後の方は涙声になっていた。

そうだ、つばめが行く日はこういう日だ。
すっかり暮らしにつばめがとけ込んで、庭で目の前をヒュゥン!と横切っても何の疑いも持たいない頃。
天気もそこそこよくて、何の特別感もない、普通の日に飛び立っていく。
まさに、今日のような日に。

つばめの巣がたくさんふえました

私がやっと起きた気配を察知した犬たちが朝ごはんを催促し始めたので、窓越しにつばめたちを見ながら向かって、犬部屋の窓からも手を振った。

ご飯が終わって急いで庭に出たら、もうつばめたちはいなかった。
やっぱりさっきのが恒例の出発前の挨拶だったんだろうと思う。
つばめはいつも挨拶をして出発する。と私は思っている。

また来年、つばめが戻ってこれる確率は12%くらいだから、我が家から巣立ったつばめの中にはもう会えない子がいる。
でもつばめたちは命をかけながらもうどこかに向かって飛んでいる。
わたしはここでつばめたちの無事を願うだけだ。

つばめがいる暮らしには計り知れないすこやかさがある。
つばめたちの営みはもちろん、巣から飛んでいく流れるような美しくて力強いライン、群れで楽しんでいる声。
雨の日も風の日も飛んで行き、暗くなっても何度でも飛び立っていく。
見るたびに、あぁ、私も生きようと思う。

迷いなく美しい弧を描きながら飛ぶ姿から、毎日少しずつすこやかさを受け取っている。この見えないチカラが「つばめが来る家は縁起がいい」と言われる所以なのではないかと思う。
いただいたこのチカラを大切にしていきたい。
そして来年会いたい。
ありがとう。








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