ジュンク堂書店2店同時閉店のニュースについて思うこと

ジュンク堂書店京都店とロフト名古屋店が、2020年2月29日をもって同時閉店する。(丸善ジュンク堂書店 HP:https://www.maruzenjunkudo.co.jp/

僕自身、学生時代は書店でバイト、社会人になって書店、製本工場、出版社へと渡り歩いてきただけに、個人的にもショックをうけるニュースである。

しかも、2017年には出版社として自分で会社をはじめ、2019年に念願の書籍を3冊出版したばかりなので、大きな書店が潰れるという業界自体のシュリンクを目の前に突きつけられることは、なかなかヘビーなことである。

一方で、そこまで驚いていない自分もいる。

アルバイトから含めると中型〜大型書店で5年間勤務していたが、2000年半ば時点で、書店の未来は明るいとはいえないと思っていた。出版社、取次から毎日のように一方的に送られてくる新刊、その陳列と返品に追われる毎日、薄い利幅、本を読む時間がないという矛盾……。

そうした辛さを現場で感じていたからこそ書店を辞めて、書籍にまつわる別の現場を体験しようと離れたところもある。

もちろん、書店も指を加えてその状況を眺めていたばかりではない。カフェを併設したり、雑貨を置いたり、手を打ってきた書店も多い。僕が就職して務めていた書店も文房具に力を入れていた。高級万年筆を扱っていたので、文具の知識を勉強したし、接客についてもいろいろ考えて実践した。

その中で思ったのは、大型書店はビジネス視点では効率が悪いということ。自分で置くものをコントロールできなければ(返品はできるが、基本出版社や取次から一方的に送られてくる)、一冊あたりの利益も薄い。逆に、文房具は基本買い切りなので、自分で仕入れる商品に責任を持たなければならない。だから売れ残らないように必死で売った。

その両方を体験して、自分で本を売っているという感覚がないと思う瞬間が多々あった。売れなかったら返品すればいいやという甘い気持ちもあった。

書店に務めている人は、本が好きで、自分の売りたい本を売りたいと思っている人が多いと思う。でも書店に務めると、それができない。そんな悩みを感じている人は少なくないんじゃないかと思う。

今回のジュンク堂書店2店舗の閉店のニュースをうけて、大型書店を意地でも残すべきだと、僕は簡単に言えない。それよりも、書店員たちが自分たちで本を売っていると実感できる店作りをしていくことが求められているんじゃないかということを強く思わされた。実際、カラーが見えるような個人書店などは今、しっかり生き残っているし求められている。

そのために、出版社や取次も考え方や仕組みを変化させていかないといけない。書店が望む望まないに関わらず、一方的に本を送りつけたり、逆に行き届かないなんて、普通に考えたらおかしいことだと思う。

SW社はまだまだはじまったばかりの出版社で小回りも聞くし、業界のしがらみもほとんどない。2020年は、そうした書籍の売り方を含めて、書店さんや取次などといい緊張感を持って本を売っていきたいなと思う。

とつらつら書いてきましたが、ジュンク堂書店は各土地に行った際は大体立ち寄る本屋さんだったし、学生時代は名古屋に住んでいて何度も行った場所なので、なくなるのは正直めちゃめちゃ寂しいです……。

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