僕と公園と缶コーヒー
奨励会を退会してから、社会人になって一ヶ月が経ち、少しずつ生活に慣れてきました。
そんな仕事の日のお昼のことです。
手早く、お昼を済ませて僕は公園に向かった。
今日は天気が良い。気温は、前日雨だったからか少しばかり寒く、服を半袖にしているのをやや後悔していた。
いやぁ、仕事が思うようにいかないなぁ。
一人ため息をつきながら公園の椅子に座る。
公園の自販機で買った缶コーヒーを半分ほど、ぐいっと飲み、身体を少しばかり後ろに傾け、首を曲げ空を見上げた。
考え事がある時、少しばかり宙を見るのが僕の癖だ。
将棋の対局の時に盤面や、対面に座っている対局者の顔などの余計な情報を入れずに考えたくて、無意識にその癖がついたと思う。
しかし、太陽が昼時で真上にあり、光が差し込んできて、目に染みた。
眩しい。そう感じた僕は身体を起こし、考え事をやめて公園を見渡した。公園には、何人か僕と同じようにベンチでボーッと休憩している人。鳩が五匹、散歩中の犬が一匹いた。
鳩が群れになってペチペチと歩いている。最近僕はペンギンにハマっていたのもあり、鳩をペンギンと重ねて見る。案外鳩も悪くないなぁ。
しばらく眺めていると、犬が鳩に気が付いて追いかけ回し始めた、鳩が飛んでいった。
あぁペンギンショーが終わっちゃった。
知らない内に、太陽の真下にいた僕はポカポカと身体が温まってきて元気が出始めていた。
ボーッと鳩を見ていたためか、頭がリセットされてスッキリとしている。
僕は残った缶コーヒーを一気に飲んで立ち上がる。他の休んでた人達も立ち上がり始めた。
さぁ午後からも頑張るぞ。