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気質

使い捨て。ウレタン。ガーゼ。数日前から、これに涼感が加わった。言わずもがな、マスクのはなしである。
いっときはマスクにしてはとても高い値のついた使い捨てマスク。使い捨てマスクのみならず、ウレタンでも、手作りでもマスクと名のつくものは通常価格の3倍4倍となり、足元を見られてる感がたまらなく不愉快であった。
とはいえ必要だから、マスクの使い分けをはじめた。
ポイントは、どこへ、どんな手段をつかって出かけるか。
職場と電車に乗るときには使い捨てマスク。徒歩圏内の買い物は、洗って繰り返し使えるエチケット仕様のウレタンマスク。残るガーゼの出番は今のところない。このガーゼとは「アベノマスク」のことで、 品薄だった市場にマスクが出はじめたころに届いたものだから、いまだ活躍の場がないのだ。

湿度も気温も高くなってきたいま、職場である図書館でも冷房はつけているが、換気の必要性から窓を開けている。返却本を書架に戻す作業では、この状態がかなり堪える。マスク着用、半冷房で本を抱えて館内を歩きまわり、書架の前で立ったりしゃがんだりを繰り返していたら、危うく熱中症になりかけた。緊急事態宣言は解除されたが、熱中症という緊急事態がこの身に生じかけた。が、やってられるか! とマスクを投げ捨てるわけにはいかない、仕事中ですから。
でも、投げ捨ててもいいんじゃない? と思う場面もある。
たとえば人通りの少ない道。わたしはマスクをしないが、マスクを外さない人のなんと多いこと。「どうして?」「エライ!」疑問と感嘆が同時に沸き起こる。これが日本人の真面目さなのだろう。それに他人の目を気にする気質、違う言い方をするなら他人を気づかう気質もあるのにちがいない。
それだからこそ涼感マスクというわけだ。暑さに向かうさなか「マスクをしない」のではなく「いかに涼しいマスクを着用するか」過酷な状況下でもマスクをする気満々なのである。
 
そんなこんなで冒頭の涼感マスクが加わった次第。
たしかにつけ心地はよい。冷んやり感があって、息もこもりにくい。ああ、でもやっぱり、人通りが少ない道でまでマスクをしたくない。すれ違う人があれば距離をとればいいのじゃありませんかね。
そう思う一方で、少しばかり人通りが増えるとサッとマスクをつけるわたしは日本人気質なのか、はたまた気弱なのか。

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