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2020年教育改革って何? 学校教育はどう変わるの?前編

2020年の教育改革について、2回の記事に渡って紹介していきます。
今回は、なぜ教育改革が行われるのかについてです。

学習指導要領の改訂

教育改革といっても、具体的に何をするのでしょうか。
教育改革では、主に学習指導要領の改訂が行われます。

学習指導要領は、およそ10年に一度くらいのスパンで改訂が行われるのですが、それが2020年から行われています。
なぜ改訂が行われるのかというと、社会の変化に対応するためです。

10年経つと、社会では意外といろいろなことが変わります。
10年前の私たちは、オンライン会議が日常になることや、仮想通貨がこんなに流行ること、ドローンが空を飛んだり、Uber Eatsの配達員が道を走ったりすることを想像していませんでした。
このように、社会が変化すると必要な能力も変わってきます。
新しい社会で子どもたちが生き抜くために必要な力を身に付けられるように、学習指導要領も変わっていくのです。

それでは、どんな社会の中で、どんな力が必要になるのでしょうか。
まずは、これからの社会がどのようなものになると予想されるか見て行きましょう。

社会の変化に関するキーワードは2つです。

社会の変化①(AI化)


一つ目はAI化です。
AI化が急速に進行しているのは皆さんも感じるところだと思いますが、AI化はいろいろな仕事に影響を与えます。

ここで少しクイズをしてみましょう。
問題① 約10年後、現在日本人が従事している職業のうち、機械で代替可能になっていると、ある研究で予測された割合は何%でしょう?

問題② 2011年に小学校に入学したアメリカの子どものうち、現時点では存在していない職業に就くと予測されているのは何%でしょう?

ちょっとだけ考えてみてから画面をスクロールしてください。


答えは①49%、②65%です。

思っていたより高い割合ではないでしょうか。

①は、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーンという学者と、野村総研の共同研究で示されたものです。あくまで代替可能な職業であり、実際になくなると断言しているわけではありませんが、衝撃の割合です。

②はニューヨーク市立大学のキャシー・デビッドソンという研究者がニューヨークタイムズ誌で語った予測です。こちらもちょっと想像しがたい衝撃的な数字ですね。

どちらも少し前に発表されたものなので、正確な内容はぜひご自身で調べてみてください。とても面白い話がたくさん書かれています。

それにしても、本当にそんなに変わるのかと疑念を抱く方も多いと思いますが、実際、新しく生まれた職業や、なくなってしまった職業はいろいろとあるものです。

Youtuberが子どもに人気の職業になることは一昔前には想像できませんでしたし、アナリストやSNSアドバイザーなどの仕事も、社会の変化や技術の進歩で生まれた職業です。
一方、電話交換手やタバコ屋、エレベーターガールなど、ほとんど見られなくなった仕事もあります。

ここで気になるのは、どんな仕事がなくなって、どんな仕事が残るのかです。

前述のマイケル・オズボーン氏は、具体的にどんな仕事が機械で代替可能になり、どんな仕事は機械での代替が難しいのかについても言及しています。

少しだけ例を挙げてみます。

スライド1

やはりルーティンワーク的な仕事が多いですが、会計士や弁護士秘書など、専門的な知識が必要そうな職業が含まれています。
モデルというのも気になりますね。3D映像の発達で実際の人はいらなくなるということでしょうか。
事務員には、営業職や人事系の職種なども含まれます。

続いて、残っていそうな職業です。

スライド2

細かく正確な技術が必要な医療系、精神や情緒に関わる教育系の仕事が並んでいます。
事務員はいらなくなってもやはり管理職は必要なんですね。
作曲家のようなクリエイティブな仕事も機械には難しいのでしょう。

このように、AI化を中心とした技術革命で、社会は大きく変化していきます。

社会の変化②(少子高齢化)


社会変化の要因その2は少子高齢化です。

これも日本の問題としてよく取り上げられる話題です。
2040年問題という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

2015年の時点で12.5%だった人口における15歳未満の割合は、2040年には10.2%にまで下がると言われています。
逆に、2015年に26.6%だった65歳以上の割合は、35.3%に上昇します。
子どもが多かった1950年ごろは、15歳未満の割合が35.4%だったことを考えると、事の重大さが感じられます。

少子高齢化により、総人口も2040年には約1億人にまで落ち込むとされています。

これにより、いくつかの大きな問題が予想されます。

まずは、今までの社会保障制度が維持できなくなります。年金や医療費など、高齢者の増加で増える社会保障費を少ない労働人口で支えることができなくなるため、税率の変更や、年金制度の変更などが起きる可能性が少なからずあります。

労働人口の不足は、それ自体も問題になります。先ほども触れAIの利用が加速したり、移民の受け入れが必要になるのではないかという意見もあります。

そして、人口が減ることは、国内の市場の縮小を意味します。市場を求めて、日本人や日本企業の海外進出がこれまで以上に行われるかもしれません。


年金制度の崩壊で定年の年齢がどんどん上がり、70歳まで働くのが普通の社会。
国を越えた労働、商品、サービスの移動が活発化し、日常的に外国人と関わるのが普通の聴グローバル化社会。
そんな社会が訪れるかもしれません。

変化する社会で必要な能力


さて、AI化と少子高齢化で変化する社会では、どんな能力が必要になるのでしょうか。
ずばり、AIでは代替できない能力、そして、生涯現役として生き抜く能力です。
具体的に3つ挙げてみたいと思います。

①創造的思考
抽象的な概念を整理、創出する能力。コンテクストを理解したうえで、目的に合った方針を決定する能力のことです。
数値化できない感覚的なことはAIでは判断できません。また、人口構造が変化した社会でのより良い仕組みを想像し、創造する力が必要になります。

②社会的知性(ソーシャルインテリジェンス)
理解・説得・交渉のような高度なコミュニケーションの能力。他人と協力する能力のことです。
利害関係が複雑な状況では、AIに判断をゆだねることはできません。より多様化した社会では、年齢、国籍、文化の異なる人たちと共生するコミュニケーション力が欠かせません。

③非定型性
多様な状況に、臨機応変に対応できる能力のことです。
パターン化されていない、予測できない事態に対応する力は、AI社会でも、社会保障制度が変化していく社会でも必要な力です。


さて、こうした能力を子どもたちに身に付けてもらうべく、学習指導要領の改訂が行われるわけですが、それに関しては次の記事をお待ちください。

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