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一部士業に訪れる危機

我々がコロナ禍にみまわれて約一年、影響は業種によって様々ですが、士業については残念ながら最悪の結果を招きそうな事例が耳に入ってきています。

新型コロナウイルスに関する情報が錯綜していた昨年の春先、企業に対して適切なサポートが提供できたか否かは士業の存在価値を決定づけ、特に「顧問士業」というポジションを揺るがすものとなったのです。

日本はSARSやMERSの被害を受けなかった事もあり、今次のコロナ禍はスペイン風邪以来およそ100年ぶりに国家的なパンデミック対策を迫られた緊急事態です。誰もが未経験で、どのように対処すべきなのか明確な方法論を持たず、先も見通せない中、多くの企業は自社にとってベストな選択を模索して少しでも多くの情報を求めていました。

当初は経済的な影響が未知数ではあったものの、ウイルスの動向について楽観論と悲観論が交錯する状況下において、少なくとも事業経営としては最悪の事態を想定することが安全側であると言えるでしょう。顧問士業としては、受け入れられるか否かは別として可能な限り不確実な情報を排除した現実的な提案を行い、実行できるサポートは即行動に移すことが顧問先を救うベストな対応でした。

そんなものは結果論じゃないか、と思われるかもしれませんが、顧問先のために何が正しいことなのか悩みながらもアプローチを惜しまなかった士業は、その提案等が最適解ではなかったとしてもイレギュラ発生時に頼りなる存在として実際にその価値を高めたのです。

一方、非常に残念なことですが「非常時だから・未経験だから・顧問としてのサポート範囲外だから」という理由で、顧問先からの助けを求める声に応じなかった士業も見受けられ、次の契約更新時には企業から別れを告げられることになりそうです。特に緊縮を余儀なくされた多くの企業は不可欠な支出の精査を進めますので、こうした士業は不要と判断されても仕方がありません。

士業といえど一事業者なので自身も困窮していた、という現実は充分に理解していますが、それだけに経営上の重要なポイントを理解しているはずですし、企業サポートを生業としているのであれば尚更こうした時には率先して動くことを求められるのは必定と言えるのではないでしょうか。

このことは、災禍にあってもホスピタリティを備えていれば、相手が欲しているものを提供することで自らも力を発揮して処を得ることができると証明しているように思います。

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