【248/252】桜のしらせ

昨晩は、乱心。まったく、お恥ずかしい。
それでも穴があったら入りたいとか、穴を掘ってでも入りたいとか、思わなくなった不惑前。歳を重ねる効用に、思いを馳せる。
そうしてきっと、それだけでない。

noteの記事のタイトルは、だいたいいつも似たり寄ったり。なんとかのかんとか、がきっといちばん多い。京極夏彦氏の百鬼夜行シリーズを愛しているからだなと、ここにきて気づく。そのきまりからかけ離れたあれは、あたまより先に指先からこぼれた。
懐かしい。なのに、思い出せない。
涙でふやけた脳みそは、一晩越したらすこしましになった。

いやー、まいった、まいった。

手元にないので、引用ですらない。記憶の蔵から引っ張りだしたそれは、ただのかけら。
野田秀樹氏の戯曲『贋作(にせさく)・桜の森の満開の下』の主人公、ミミオの最後のせりふのはず。無論、さだかではない。
坂口安吾の『夜長姫と耳男』『桜の森の満開の下』、もしかしたら他にもいくつか、ミックスした作品とされる。
2001年、ナマで観た。その後、その前の上演をビデオで見た。女優の毬谷友子さんは、まごうことない化物と知った。

土踏まずに火を当て焼いた。
血を吸え。そして姫の十六の誕生日に、命が宿って化物になれ。

血を吸う桜の話を書こうと思ってほったらかして、三ヶ月。タイトルはずっと前から決まっている。『盂蘭盆会』。
昨日未明、迎え火の朝。いい加減に腰を上げねばと走り書きの集まりを開く。おどろく。
生物の成績はいいとこが3だったのに、休眠打破のトリガーがどうのこうのと書かれている。そういえば、そんなこと調べたな。おぼろげに記憶にあるものの、この手が記したこととも、にわかには信じがたい。
すくないそれを全部読んで、ああこれなら大丈夫だなと思った。自分が書いたおぼえのないことなら、わたしが書いてるものじゃない。じゃ、大丈夫だ。
それで簡単に元の道に戻れると思ったら、どうもそうではなかった。
野田さんが贋物とおっしゃる、夜長姫と耳男のはなしの底に燃えるほのお。どうやらそれが必要らしい。
長いこと大切にしていた記憶だったのに、ずっと忘れていた。

好きなものは、呪うか殺すか争うか、しなければならないのよ。

教えてもらって、思い出す。
一緒にそれを観たひとは、この生でゆいいつ殺してやりたいと思ったひとだった。

カウントダウンの先にある望みには、ぜんぜん関係ない話。
でもきっと、ほんとはこれも関係あるんだな。

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