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巫女とパイプ

 占いで有名なしいたけ.さんは、独自の見方で、ひとをいくつかの系列にわけるということをなさっているという。

繰り返しますがこういう話に嫌悪感を抱いたりする方には申し訳ないのですが、「その人の心ってどこまでその人の影響なのか」ということを考えることがあります。というのは、自分がやっていることってすごく変わった仕事だと自覚しているのですが、「何かがついていない」人っていないからです。
これは自分の見方なのですが、仕事上でいつも決断力が速くて、その人が関わる部隊は軍隊のように士気が上がって、酒は死ぬまで飲むという人に関しては大体おでこの辺りに「刀」のようなエネルギーがあって、そして武士っぽい人がついています。
それで、最近は巫女さん系列の人と会う機会が多くて、巫女さんがついている人の特徴を書いておきたいと思います。
「しいたけ.」オフィシャルブログ 「巫女さん系列の人」

 いつのことだか、何を思っていたのだったのか、さっぱりおぼえていない。ただおぼろげに、不安だったのだろうと想像するばかり。
 自分はどんな人間で、何が向いている。これはしないほうがよい、ここに行ったらとてもよい、花まるをあげましょう。ほんらい他人様に決めていただくことではない答えをことさらにもとめるのは、大抵よりどころをうしなったように感じているときだから。
 電子の海を泳いで見つけた記事の、すみからすみまで読んだというよりは、たしか最初から龍か巫女かとあたりをつけていて、答え合わせのような目で字を追ったのだったと思う。
 それで、巫女。
 しいたけ.さんは、ひとりについているのはおおよそ3人から4人のかたがたなのだと書いておられたと思う。だからほかにもいらっしゃるのだろうけれど、一番しっくり来たのはかんなぎの処女の特徴だった。四十路を目前にした身でずうずうしいというこころの声は、聞こえないこととする。
 一番わらったのは、慣れないひとには礼儀正しく気をゆるしたら無礼講というようなくだりで、これは有料の記事のほうに書いてあるので詳しくはひかえるけれど、しいたけ.さんは「クズ」という表現を使っていらした。
 親しいひとにはクズだなと思われる。
 わらっている場合ではないのだけれど、おおきくうなずいた。

 巫女はその身に神を降ろす。自身はうつろなうつわとなり、誰かに神の言葉を伝える。イメージは、昔、絵描きの友だちに描いてもらった絵にも重なった。
 展示会場での小さなイベント。あなたを見て、浮かんだイメージで花のようなものを描きます。かかる時間は、15分から20分くらいになります。
 のようなもの、というのは、かならずしも実在する花にはならないからだと言っていた。サキちゃんはインスピレーションのひとで、頭より口より先に、手が動く。そうして描き上がった絵は、芍薬に似たこんもりとした形で、しべがなく花びらに色が付いていない。中心は橙、周囲は青、ほんの2,3枚だけ紅の花びら。他にも色を使ってくれたのに、輪郭をなぞるに留めて、わずかに周縁の青がぼやぼやとにじむのみ。
 しげしげと眺めて、すこし嬉しい。友だちはただ、にこにこしていた。
 自身に色はない。真ん中は空で、パイプのよう。
 もしこれがわたしならば、書きたい小説を書けるかもしれない。そのときは、そう思って嬉しかった。
 書きたいというよりは書かねばという気持ちを、どうしてかいつも抱えている。そして物語を書くということは、自分に限って言えば、つくりだすという行為ではけっしてないと感じている。
 世界を降ろし、世界に降りる。その二つをいっぺんにする。
 それだけのこととと思う。
 話がそれた。
 巫女、パイプ。連想ゲームは水に繋がる。もともと、神様ならば古今東西を問わず水神、龍だの蛇だの蜘蛛だのをなんとなく好もしく思っていた。だから自身の属する性質は水、さもなくば星座からいって風あたりだろうとずっと思っていた。
 ところが。

「エレメンツコード」とは、
林原琢磨が独自に開発したオリジナルツールで、
「風・水・地・火」の4属性の性質について、
あなたがどんなエネルギーをどれくらい持っているかを診断するものです。
エレメンツコード~4属性から見る心の健康診断~

 友人にすすめられ、何の気なしに診断を受けた。託宣は、目を疑うものだった。

 潜在レイヤー(自分から見た自分):火・地
 表出レイヤー(他者から見た自分):火・地
 志向レイヤー(こうなりたい自分):火・地

 燃えさかるにもほどがある。
 ひとつ但し書きをすれば、生まれもっての性質ではなく、あくまで今現在どんな状態にあるかを判断するもので、一生同じというわけではないということだったが、それにしても。
 さらに、それなりにこころのバランスを崩しているのではないかと悩んでいた時期にもかかわらず、とても健康的な精神状態ですというお墨付き。開いた口は、なさけなくくずれた。
 苦しい気持ちに蓋するために、あなたが言うならそのとおりと、目を瞑ってしたがうのはよろしくないことと思う。それでも、自他の答えのちがいは思いこみの檻を見つめ直す目をくれた。
 それで、そうして。
 ことさらに振る舞いを変えたつもりはない。しいて言えば、従前よりもはっきりものを言うようになったと思う。近ごろは、考えの合わない直属の上司にしじゅうぷりぷり怒っている。感情をぶつけないようにだけは気をつけているけれど、今までにこにこおとなしく、会社の方針に逆らうようなことはなかったのに、どうしたことだときっと上司はめんくらっている。
 申し訳ありません、でもこれはちがうと思ってしまうのが、わたしなんです。だって火だから、しかたないんです。
 常識の外側を好まないように見える上司に説明をするつもりは今のところないので、誠に申し訳ないけれど、引き続きめんくらっていただく。
 ふしぎなのは、食が細くなった。それまでの不摂生による異常の可能性も十分あって、と白状するくらいには荒れた暮らしをしていたので、だったらやっぱりわらえないのだけれど、からだの感覚としては子どもの頃に戻っただけではないかという気がしている。食べ物やアルコールに依存することを覚える前の細長い手脚を、顎の線を、とくに何をするでもなくこの数か月で手に入れてしまった。
 なにもかもが魔法のように、うまく転がりだしたとは言わない。どちらかと言えば、ひきずられている。磁力にひきつけられる砂鉄のように、ある一点に足が向かうのを、止めることができない。そこまでに付けた足跡が消えることもないから、記憶に首をしめられて、時折息ができなくなる。
 それでも蛹が羽化するように、もうこれまで通りではいられない。
 時は来たれり。

 灯という字に火が入っていることには、昨晩気づいた。



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