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雑記②:文章を"脱臭"する話


数年前、友達がYouTubeに動画を投稿していたころに、枯木山賑精神で定期的にコメントをつけていた時期がある。でも分かりやすく身内のコメントだと内輪感が出て良くないし、何より身内ではない人のコメントのほうが嬉しいんじゃないか、と思って、自分であることを明かさないようにコメントをしていた。
わざわざ新しいアカウントを作り、モブみたいな名前(※これは実は失敗していた、後述)にし、口調も普段と違うものに見えるよう心掛けた。

3週間ほど経ち、その友達と大会の返りにご飯を食べたあと、ふと唐突に「○○○○って君?」と聞かれた。クリティカルヒットだった。

とっさに「いや、知らない」と返したが、顔全体が爆発的に熱くなっていた。もうめちゃくちゃに恥ずかしかった。暖色系の明りに照らされた空間だったのでたぶんバレなかったと思うが、耳は真っ赤だっただろう。

以来、YouTubeに長文のコメントを投稿することを控えるようになった。

(※結果的にこの一件の数か月後、友人の動画へのコメント投稿をしなくなるのだが、それはまた別の要因(とても個人的なもので、決して動画がつまらなかったとか飽きたとかではない)によるものなので関係しない。バレた後は開き直って、僕と直接繋がるような名義でコメントをしていた)


それから3年経ち、雑談の流れでついに「あの時違うって言ったけど、あれは実は僕です」と、過去の嘘の懺悔をした。友人は全く動じておらず、「そうだろ」みたいなテンションだったのでより恥ずかしい。

もうこれ以上の恥ずかしさは無いので、思い切って「どうしてわかったのか」を聞いてみたところ、僕のカモフラージュは見る人が見ればバレバレだったことが分かった。
こういう激恥ずかし案件を繰り返さないために、備忘録として対策方法を書き残しておく。

バレた理由は、聞いた限りこんなところだったはず。
①アカウント名がモブっぽくない(???????)
②複数の動画にコメントをつけていて、目立った
③僕がふだんよく使う語彙などが含まれている
④僕の文章に見られるリズムが残っている
4つもある。ありすぎだろ。ひとつずつ見ていく。


①アカウント名がモブっぽくない
アカウント名は正直クイズっぽいものを避ければ何でもいいと思っていたので、好きな漫画のキャラクターにちなんで「薬師如来」とした。1分も考えなかったと思う。もっと上の年齢層の人だと誤認してくれるんじゃないか、みたいなことを名付けた後に思った記憶もある。

しかし結果的に、これは違和感となって僕へつながる糸口の一つになってしまった。
よく考えてみれば、適当にハンドルネームを決めようと思って「薬師如来」になることはあんまりないだろう。もっと紛れるものにすべきだった。
どうすれば紛れられるのか、結局その雑談で答えが出なかったので、改めてここで案出しをしておきたい。今後のために。

案①:既存のキャラ名
例えば「うずまきナルト」だとか「黒崎一護」だとか。
なりきりみたいでなんだか恥ずかしいし、バレた時めちゃくちゃ恥ずかしいので無し。「動画にコメントしてくれてる黒崎一護って君?」なんて言われた日にはその場で爆発四散してしまうだろう。

案②:一般的な名前
例えば「タカシ」だとか「前田」だとか。
恥ずかしさ的には許容範囲。モブを目指していそうすぎて逆に怪しいか?

案③:変な名前
例えば「†漆黒の堕天使†」とか。
小さな違和感をより大きな違和感で塗りつぶす(cf.『雨宿り探偵』)手法。
逆に怪しい。これをやる場合は口調も変な感じにする必要があり、そこまでのロールプレイは出来ないので無し。

案④:____________
書き出していたらちょうどいい案が思い浮かんだ!ので、今後これを採用しようと思う。備忘録に伏字があるのは変な話だが、これを見ている人(このアカウントと、僕が普段使っている名義が結びついている人)にバレてしまうと意味が無くなってしまうから、これは許してほしい。
もう大丈夫。無敵だ。ガハハ。

3か月後追記:案④の中身を完全に忘却した。愚か……


②複数の動画にコメントをつけており、目立った
要するに通常でない刺さり方をしており、不自然という話なのだと思う。
これはそもそも動画の賑わいになればと思ってコメントをつけているので、正直避けようがない。
というか僕は友人以外の動画チャンネルに対しても、(動画そのものに対してというよりは、投稿者への応援の気持ちからコメントを書くことが多いため、)ひとつコメントをつけたら複数の動画につけることが多い。だからこれが目立つことに気づけなかったのだが、チャンネル登録者数50人(※当時、今は500人を超えている)で、かつYouTubeをやっていることを友達に伝えているチャンネルなのだから登録者や視聴者の多くは投稿者の知り合いのはずで、それを踏まえると複数コメントしてくる人がいたら「コレ、たぶんリアルの知り合いの誰かだな」と見抜かれるのは自然な話だった。
本当に避けようと思ったら、アカウントを1つ作るのではなく、7つくらい作ってランダムに投稿すべきだったのかもしれない。手間を惜しんだのが敗因だった。


③僕がふだんよく使う語彙などが含まれている
文体が多少違ったところで、よく使う語彙が含まれているとバレる。
めちゃくちゃ当たり前の話だが、しかし、僕みたいな語彙の少ない人間にとっては一番の難関となる。言い回し、そんなに知らないんだもんなぁ……
例えば「めちゃくちゃ」とか「奇妙」、「面白い」とかを高頻度で使ってしまう。「めちゃくちゃ」は流石に認識していたのでコメントに使わないように心掛けたが、「奇妙」は指摘されるまで、「面白い」は今見返してみるまで認識していなかったので、オーイどうやって避ければいいんだ……と途方に暮れている。

小学3年生の時、とある友達の家に初めて呼ばれた際に「○○(本名)、すごいしか言わないね」と言われた日から、ほとんど成長していない。なんてこった。

原因は明白で、「語彙/言い回しのストックが少ない」に尽きる。ついでに言えば、それぞれの言葉に凝り固まったニュアンス認識があり、「この場面ではコレのほうが気持ちいい」みたいなものが無意識のうちに結構ある(例えば、「めちゃ」と「めちゃくちゃ」は僕の中で使いたい場面が微妙に違う)のも、一つの表現を擦ってしまう理由の一つだろう。

たくさん本を読み、たくさん「自分ではない誰かになって文章を書く」練習をする必要があると思う。大変だ……


④僕の文章に見られるリズムが残っている
僕の文章は(他の全ての人がそうであるのと同様に)何らかの特徴を持っている。会話文の挿入に限らない鍵括弧の乱用だったり、言い切りと句点の前に挿入される補足的なカッコだったり、「そういえば:」だったり、やたらと「思う」をつけたり。
僕はそこそこバカだがめちゃくちゃバカではないので、流石にこういうレベルの分かりやすい癖は削った。でも、おそらくこれが一番の決め手となってバレた。やっぱりめちゃくちゃバカなのかもしれない。

曰く、「特有のリズムがある」とのことだった。
「事実を述べ、感想を書き、さらに事実を述べ、その感想を書く」
という、身に染み付いた"極めて自然"な書き方が、特徴となって現れていたらしい。あまりにも衝撃的だった。

もちろん、前述のとおり「おそらく知り合いであろう」というフィルターを掛けたうえで、「知り合いの中でこういうリズムの文を書く人で、コメントを残しそうなタイプの人は~コイツ!」という感じで絞り込まれたのだと思われるが、それにしても、だ。
全く注意を払っていなかったというか、認識すら出来ていなかったバレ要素だったので、今後は意識してリズムをずらした文章を書いて馴らしていくつもりでいる。この一連の雑談は、何よりもコレを知ることが出来たのが一番の収穫だった。伸びしろ!


たぶん最初に書くべきだったのだが、僕は「文章から筆者の要素を抜いて誰が書いたか見えにくくすること」を「文章を脱臭する」という言い方をしている(おそらく独自の表現ではないのだけど、一般的でもなさそう)。

前回Twitterで似たようなことを書き、妙案募集中!としたところ、「AIの出番でしょうか」というリプが来た。案出しはありがたいのだが、僕は僕のニュアンスで文章を書きたいので、AIでは根本的な解決にならず、あれから1年経ってついにある程度の解決(もしくは、解決に向かうための道しるべ)に辿り着いた。嬉しい。

匿名でやりたいことが前からあったのだが、脱臭がネックの一つとなり踏み出せずにいた。やるぞ。世界、よろしくお願いします。

おわり。


なんとなく今の気持ちに近いカメラロールの画像

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