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「スワン」を読んだ

「スワン」 呉勝浩 角川書店 を読んだ。

首都圏の巨大ショッピングモール「スワン」で起きたテロ事件。死者二十一名、重軽傷者十七名を出した前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた。しかし、取り戻したはずの平穏な日々は、同じく事件に遭遇し、大けがをして入院中の同級生・小梢の告発によって乱される。次に誰を殺すか、いずみが犯人に指名させられたこと。そしてそのことでいずみが生きながらえたという事実が、週刊誌に暴露されたのだ。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに一通の招待状が届く。集まったのは、事件に巻き込まれ、生き残った五人の関係者。目的は事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすること。彼らが抱える秘密とは? そして隠された真実とは。圧倒的な感動。10年代ミステリ最後の衝撃!
(Google Books)

少しずつ真相が見えてくるストーリーには惹き付けられた。
事件の時、誰がどこで何をしていたのか。
その行動が、他の行動を呼び、結果、何が起きたのか。
ページをめくる手は止まらない。

冒頭のスカイラウンジで起きている事件の描写、終盤のスカイラウンジで起きた正確な事件の描写。
そうだったのか…

極限の状態で、選んだ咄嗟の行動が正しかったのか、いや、あれしか選べなかったのか…

「犯人が悪い―ではいけないの?」

非常に心に刺さる言葉。
事件を起こした犯人が悪いのに、それに巻き込まれてしまった人が、自分を責めて生きていかなければならないのか。
単なる野次馬でしかない世間から責められる辛さは言うまでもないが、自分しか知らないことで、一人自分を責め続けるのも辛い。

とまぁ、なかなかに読みごたえはあったのですが、読み終わってみると、なんか消化不良な感じが残る。

なんかねぇ、そもそもの集まりの目的が、なんだろう、話の途中でどうでもよくなるというか、見失うというか…
最後もなぁ…

要素としては、ものすごく良い話なんだけど、全体を振り返ると、あれっ?て感じなんだよなぁ。
スカイラウンジで起きた話とスカイラウンジより下で起きた話が、つながってるんだけど、つながってないというか… 

まぁ、総合的には面白かったです。

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