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「ブルー」を読んだ

「ブルー」  葉真中顕  光文社 を読んだ。

平成元年に生まれた男。平成15年に迷宮入りした教員一家惨殺事件。平成が終わる直前に起きた男女殺人事件。ひとつの時代の中でつながっていく真実。児童虐待、貧困、外国人労働者。格差社会の生んだ闇に迫る、クライムノベルの決定版!
(amazonより)

本の最後には、次のように書いてある。

また、この物語は平成30年間の文化・風俗を俯瞰しながら、児童虐待、子供の貧困、無戸籍児、モンスターペアレント、外国人の低賃金労働など、格差社会の生んだ闇をテーマとした作品ですが、

この本は、ものすごく細かく章が分かれている。
例えば第一部。
For Blue
藤崎文吾
北見美保
藤崎文吾
野々口加津子
For Blue

とさらに続いて16ある。
こんな感じで、全体の構成は、プロローグ、第一部、インタールード(幕間)、第二部、エピローグ。

それぞれの視点から、事件、それに関わる人物について、少しずつ少しずつ語られる。
そして、それは、じわじわと平成日本の暗部を読者に晒していく。

私の目に見えてないだけで、確かにそういう現実はあるんだろう。
だからといって、私に何が出来るというのだろう。

気分はブルーになる。

でも、この小説のブルーは青のこと。
"運命の湖"の透き通るような青色が、少しだけ希望の象徴に思える。

闇に沈むのも、表に浮かんでこれるのも、運命のちょっとした悪戯なのだろうか。
みんな幸せになりたいのにね。

なかなか読みごたえのある本でした。

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