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「セーラー服の歌人 鳥居 拾った新聞で字を覚えたホームレス少女の物語」を読んだ

「セーラー服の歌人 鳥居 拾った新聞で字を覚えたホームレス少女の物語」  岩岡千景  KADOKAWA  を読んだ。

"母の自死から始まる衝撃のノンフィクション! "
目の前での母の自殺、小学校中退、児童擁護施設での虐待、ホームレス生活――。
今も複雑性PTSDの病と共に生きる女性歌人「鳥居」の感動的な半生。
歌との出会いが、少女の命を救った――
親もなく、信じられる大人とも出会えなかった時、人はどう生きるのか?
これは、生きづらさを抱えたあなた、失意に沈む日のあなたに贈る物語。
「三十一文字が長く細い鎖となって暗闇の底に降りていて、ふと手に取ると歌人が命がけで向こう端につかまっているのがわかるのだ。」(いとうせいこう氏・推薦! )
初歌集『キリンの子 鳥居歌集』と同時発売!
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過酷な運命を背負って生まれてくる人がいます。
この実話物語(ノンフィクション)の主人公もそんな一人です。
少女時代に父親から性的虐待(ぎゃくたい)を受けた母。
幼き日に目の前で見たその母の自殺、
その後、預けられた養護施設での虐待、
若くしてのホームレス生活――
義務教育もろくに受けられず、
拾った新聞などで文字を覚えた彼女が考えつづけた
「なぜ、生きなければいけないのか?」
という問いへの答えとは?
これは、生きづらさを抱えたあなた、
失意に沈んだ時のあなた、
悲しみにくれる日のあなた――のための物語でもあるのです。
"芸術家は、もともと弱い者の味方だったはずなんだ"――『畜犬談(ちくけんだん)』(太宰治)
(amazonより)

まぁ、壮絶。
そんな「壮絶な人生」に釣られて、本書を手に取ったわけだが、この本は、そこが主ではない。

そんな彼女の「生きづらいなら短歌をよもう」という呼びかけが、同じように生きづらさを感じている人たちにささやかな居場所をもたらすことを、また弱い立場に置かれた人々の存在や心情への想像力を多少なりとも広げるきっかけとなることを願います。
(あとがきより) 

私の心に引っかかたのは、「形式卒業者」という言葉。
実際には学校に行っていなくても、形だけ「卒業した」という資格を得た人のことだそうだ。
形式卒業者は、中卒の資格を得ているので、夜間中学に入学できなかったという。
義務教育を学び直す機会がないのだ。

2015年7月に、文部科学相から形式卒業者も夜間中学へ入学できるように…と通知が出たものの、そのカリキュラムは中学1年生から始まる3年制のもので、鳥居の希望するような小学校からの勉強を学び直せるという環境ではないという。

虐待などで、小学校に行けなくなったもの、通っていても、授業どころじゃなかったもの。ちょっとのつまずきで、おいてけぼりにされたもの…
この人たちの学び直しの機会は、十分ではなく、負のスパイラルになりかねない。

いろいろ考えさせられる本でした。
ちょっと、自分で短歌も詠みたくなるよ。

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