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「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を読んだ。

「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」 汐見夏衛 スターツ出版 を読んだ。

親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸けて戦地に飛び立つ運命だった―。のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。涙なくしては読めない、怒涛のラストは圧巻!

読書メーター

泣ける映画として話題になっていた「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の原作。

特攻隊、恋愛ときたら、そりゃ泣ける話になるよね… でも、泣かせにくる話とわかっていても、やはり泣ける。
特攻隊として征く側の気持ち。生きていて欲しいと思う側の気持ち。どうしようもない。
これは、ぜひとも映画も見てみたい。
小説は百合視点で、百合の気持ちが説明的に書かれているけど、これを演技で表現するのは大変そう。どんな感じになっているのか楽しみ。

映画ではどうなっているのかわからないけど、単行本には書き下ろし番外編として「また夏が来る」という後日談の掌編がある。
百合が彰を想うように、同じ特攻隊員の石丸さんを想う千代ちゃん視点。
その中に出てきた、たった五文字の手紙がね、また胸をかきむしられるんですよ。
その五文字に石丸さんの千代ちゃんへの万感の思いが込められているのが伝わってきて。
しかも、それは封筒に入った手紙ではなく、紙切れを小さく折りたたみ、こっそり手渡されたもの。もうね、最後の泣きどころ。
本編の石丸さんの家族に宛てた手紙も素敵なんですが、この、たった五文字の手紙がね、グッとくる。

その文字には、まさに石丸さんそのものの、明るさと力強さが宿っていた。

もう、すっかり石丸さん推しな私。
それを読んだ千代ちゃんの気持ち、皆様にも同じ思いを持って生きていただきたい。
私もそうありたい。

字が大きめで、1ページの文字数も少なめなので、読みやすいから、忙しい方にもオススメです。

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