考えないで作った曲が最大のヒット曲…この作曲法、若干虚しい…
作曲でお金をいただく仕事をしてた時、そんな方法でいいんでしょうか?という作り方の曲が人気が出てしまいました…
会社員作曲家。同じ仕事をする仲間がたくさん。
当然、単に自分で良い曲を作る!だけではない、対抗心みたいなモチベーションも産まれます。
そのため、いつも色々試行錯誤。
でも、結果「この方法?」が1番ヒットしてしまったという話です。
作曲のやり方は色々
芸術学部を出た人、独自に勉強した人、など履歴は色々。
さらに、ギターでやる人、キーボードでやる人。
さらにさらに。コードから書く人。メロディから書く人。いきなりフルスコアで頭から書く人。
履歴も手段も方法もバラバラ。
自分はコード→メロ→内声を脳内で
他の記事でも書きましたが、普段はこの形です。
音数が少ない時はこれを頭の中でやりました。
その方が、
①まず自分の引き出し内で作る
②その後の頭の外の作業で仕上げる
③外作業分が新たな引き出しに
と明確になるので。
こちらの記事で書いてます。
しかし16ビットで同時発音数は倍
8ビットの時には3音だったのでこれができる。
でも、16ビットになって8音に増えると、そう簡単ではなくなり、リーダーシート(メロ+コード)は頭の中でも、早めに紙に落とすことに。
同時発音数が増えると、いわゆる構成も変わります。
それまでと違い、ベース+ドラムのリズムセクションとメロディ、に加えて、明らかにバッキングのパターンで様々なスタイルが表現できることに。
バッキングパターン好きの自分としては、ちょっと面白くなるのです。
まずはコード+バッキング
そのため、曲作りの順番も変わり、メロディは最後に。
①ある程度のコード進行を脳内で
②それを紙に落としてスタイルを指定
③それを入力
④それを流しながらメロディあれこれ
この順番、お気づきでしょうか。
アドリブ練習みたい
マイナスワンの伴奏パターンがあって、メロディを好き勝手に。アドリブ練習用の音が先に出来上がるのです。
そうなると、元来演奏好きですので、キーボードでチャラチャラ色んなパターンを弾いてみたりすると、そのうちどれか良い部分がメロディに…
と思ったら少々具合が違う。
アドリブはアドリブなのです。なぜか。
いわゆるメロディっぽいフレーズは、アドリブの最中には出てこなくて、なぜか誰が聞いても「はい、そこアドリブパートですね」的な音に。
強いて言えば、少し探りが入る初期のフレーズがメロディっぽくなる。
その辺からメロディに固定していけば、割とそれっぽくなるかな〜、という考えに。
(注)メロディはしっかり計画的に作るべきです
最大のヒットが…
量産しなくてはいけない職場なので、そんな感じに作っていて、まあディレクターのOKももらいながらリリース。
幸いそのゲーム機の初期に出たタイトルなのでそこそこ販売数もあり、自分の曲も色々な人に聴かれるようになりました。
シリーズ化されてもその曲は引き継がれたので、割と今でも聴けたりします。
しかしこの曲。
上で書いた「アドリブ方式一発目」なので、メロディを生み出す時間は1ループの実時間。紙に落とす作業も含めて15分くらい。
申し訳ないほどの効率。
ギター弾きの弾けないギターサウンド
自分はギターが弾けなかったのに、選んだ雰囲気はいわゆるギターを全面に押し出したフュージョン系(作った時はメタルっぽい音が頭の中で鳴ってたのですが、入れてみたらみんながフュージョンって言うのです)。
そこでのアドリブフレーズもキーボード奏者が弾くようなもの。ギター弾きが再現しようとすると結構苦労するんだろうな、と。
しかしYouTubeなどでは、ギター弾きが「チャレンジ」するような感じで扱われてます。
残念ながら、割とゴツい感じのギタリストに人気があるみたいです。
ゲームはお得
作曲家が作品を世に出すときに、楽譜だけではなかなか商売ができません。なんか音にしないといけない。
ミュージシャンに楽曲を提供しても、それがヒットしなければ世に認識されない。
ゲームの場合、ゲームがヒットすれば、楽曲を聴かれるチャンスが増えます。また、何度も聴くのも普通なので、覚えてもらいやすい。
そのかわり、全く誰も口ずさまないような部分の音もたくさん作るのが仕事です。
そんなわけで、15分?
15分でヒットした!と書くと格好いいのですが、きっとそれまで色々やってた20年くらいが引き出しを作ってたはずなので、結局20年+15分、というのが本当にかかった時間かもしれません。
良くある表現ですが、実感してます。
この曲、ができたのは幸せ
この曲、自分のです、と言える曲ができたのはとてもラッキーです。
自分の名前でググると、その曲のあれこれが一番最初に出てくるので、大変恵まれてるなー、と思います。
著作権使用料が入ると最高なんですが…
入りません
権利行使を放棄する書類にサインしてしまってます…そのかわり給料いただいてたから、しょうがないっす。。。
まだまだ色々と書きたい記事もあります。金銭的なサポートをいただけたら、全額自分の活動に使います!そしたら、もっと面白い記事を書く時間が増えます!全額自分のため!