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いかなる時代環境でも利益を出す仕組み

 今回はアイリスオーヤマ会長の大山健太郎氏の著書「いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」について感想と考えたことについてまとめてみたい。
 今年に入って「収益性を高める」をテーマに事業運営を行ってきたこともあり、現時点の自分と本書はベストな出会いであったため、早速手に取って読んでみた。

 

大山健太郎氏著書「いかなる環境でも利益を出す仕組み」

本書を読んで特に学びになったことは下記の3つである。
①何を第一の優先順位として経営を行うか
②情報伝達の重要性
③経営の効率をどの時間軸で図るか

上記について1つ1つ見ていきたい。

①何を第一の優先順位として経営を行うか
 仕事をしている目の前のお客さん、私の場合は小売店や問屋など、営業先が顧客になることが多い。その場合、営業先にどのようにして商品を棚に置いてもらうか、取り扱ってもらうかを考えて営業戦略を展開することが多い。
 この考え方は正しいようで、ある観点が欠落している。
 それは商品を最終的に手に取り、そこからの便益を享受する消費者の存在だ。消費者が何を考えているか、消費者が何を求めているかを考えず、小売りが、問屋が、などの主語で事業を組み立てたとしても、それは消費者とは何も関係ないことである。現に本書でも言われている通り、中間流通という利害関係者が商流に存在することで、中間流通の便益を満たすことが必要となり、結果ユーザーに与える便益を最大化することはできない。
 アイリスオーヤマの最もすごいことは、マーケットイン(対面する顧客=小売り起点)ではなくユーザイン(=顧客起点)にこだわり、自らの事業領域を限定せず徐々に広げていくことで顧客起点の経営を実現していることである。彼らはメーカー機能に自分たちの事業領域を規定せず、そこからメーカーベンダーという立ち位置で、小売りのパートナーとしてのポジションを確保することで、より消費者に近い位置で商売ができる仕組みを構築したのである。問屋機能を持つことは、メーカー機能でビジネスを行う立場から考えると、とても非合理で、多大なる労力とノウハウの蓄積が必要だと思われる。本書ではこのあたりのことは、詳細に扱われることはなかったが、ぜひ事業領域を限定せずに、強みを強化・拡大していくhowの部分であったり、問屋機能を持つにあたって苦労したことなどを知りたいと思う。

②情報伝達の重要性
私は最近、どのようにして組織のベクトルを統一しようかと考えたときに、情報共有・理解というものが課題であると捉えており、その課題感がある中で本書を読み進めたときに、アイリスオーヤマ規模の企業でも徹底的に情報伝達を行う仕組みを構築しているんだなということを学んだ(いやむしろ大企業になればなるほど、トップの考えが末端の社員まで伝わるということは難しく、かつ重要なアジェンダになるため、徹底的に仕組みの構築をしているのでは?と考えた。)。

かなり基本的なことであるが「定例」というものが、各企業にはあり、毎週または毎月の定例で、前週の振り返り(進捗確認)、課題の共有、今週のアクションの整理がされ、週次ベースでの行動につながっていくと思う。この定例に関して、アイリスオーヤマではどんな理由であれ欠席することを厳禁としているというのがとても驚きであった。顧客都合でも、何があったとしても欠席をする場合は社長の決裁が必要となるようだ。確かに、定例を欠席することにより、(1)組織とのベクトルのブレ(意思疎通の微妙なブレ)、(2)欠席者のための共有機会の設定(無駄な時間)が発生する。
 会議体や定例の重要性、位置づけを今まで以上に明確にして、どの会議よりも優先順位が高いことを認知してもらうことが、情報共有を徹底するための切口になるのではと改めて感じた。

③経営の効率をどの時間軸で図るか
 
短期的な効率と長期の効率どちらを優先するか。もちろんこれは会社のおかれている状況によると思うが、経営リソースに余裕があり、比較的平時における経営状況であるなら、目先の効率重視ではなく、長期の効率を重視するのも1つの手段なのではと考えた。具体的には、内製と外注という言葉があると思うが、目先の効率を重視して利益を優先するのであれば外注のプライオリティが高くなる。しかし、これではいつまでも社内に知見が蓄積せず、長期で見ると効率に改善は見られないし、事業環境が大幅に変わったときにはとても脆い。時間軸を長くとったときに効率の改善につながりやすいのは内製をしていくことであるし、経営的な強さ、レジリエンスを確保しやすいと思う。

以上、私が特に気になったり心に残った点をまとめさせていただいたが、アイリスオーヤマには、一見非合理に見えるユニークな仕組みがたくさんあるが、それらはユーザインの経営を実現するためにすべてつながっているものであり、経営戦略のすごみを感じさせる一冊であった。

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では、ありがとうございました。





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