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アイスをどうやって購入するのか問題。都市と田舎の生活について考える。

会社に就職し、平日は毎日会社に行っている。かと言って土日は家でゆっくりしている訳でもない。むしろ狂ったかのように外へ出掛けては遊んでいる。

昨年はほとんどを家で過ごし、とてもお家ライフを満喫した年だった。そのせいか体力はかなり落ちて、少し外に出ただけでもその日はぐっすり寝てしまうほどだった。
そんな感覚なので、外へ出掛けては次の日は休み、また出掛けては次の日は休む、というルーティーンが自ずと出来上がっていた。

そんな私が、土日も懲りずに外へ出掛けて遊んでいる現状に人ってものは成長するものなのだ、と実感する。

週末、土曜日は友人とお出かけの予定があった為、いつもより少しゆっくり支度をして出掛けた。平日は慌ただしく食べるご飯も、この日は窓からの景色を見ながら和室でのんびり食べることが出来た。
古民家の為、夜は真っ暗でかなり怖いのだが、朝に色んな所から日差しが入る風景を見ると、心地よい気持ちになる。
窓からの見える景色は緑、緑、緑で自然に溢れている。この環境がすぐ近くにあるという事が本当に幸せなことだ。

家から駅に行くまでは自転車を使う。行きは下り坂なので、半分以上は漕がずに駅に着く。道中で見える桜の花は葉桜となり、季節を感じる。また少し先に進むと、町の景色が一望できる。
平日朝に出ている時間より少し後の時間に家を出た為か、町の景色は朝靄が晴れて鮮明な景色となっていた。そうそう、私はそれらに毎日会う事が出来るのだ。

日曜日、学部時代の先輩の家で晩御飯をご馳走になった。毎日出社している京都でも、ほとんどが家と会社の往復なのであまりブラブラと町を歩くことがなかった。
先輩の家に向かう途中、京都は学生の町と言われるだけあって一人暮らし用の賃貸の建物が多く並んでいた。ふと、緑がないなぁと思いつつも、町行く人は皆、自転車で移動し、近くに料理店やコンビニ、スーパーがある環境、そして比較的夜でも明るいことを羨ましく感じた。
そうそう、こうやって初めての一人暮らしをする学生は夜な夜なコンビニにアイスを買いに行くようになるのだ。コンビニに向かう道中、暖かくて甘い空気の中で何でも出来そうな気になれる、そんな世界観である。
私の新居はthe 田舎のような場所にある為、夜な夜なアイスを買いに行ける距離感にコンビニがない。そもそも家を出たら真っ暗で怖い。だからアイスは週末に買いだめするものなのだ。さらにスーパーなどが遠いため、車が必要になってくる。

先日、やっとリースの契約をしたのだが、駐車場代などを色々含めて月五万程度の出費を約7年行うことに、少し自分の胃がキュッと小さくなった気がした。
家賃と車の支払いを合わせると大体9万円ほどになるのだが、これは東京で一人暮らしをしている人の家賃と同じぐらいなのではないか?と気付いた。その時に田舎暮らしは出費が抑えられる、とよく聞くが、少し考えてみると同じぐらいか少し安いくらいなのだ。
とは言え、これはあくまでも「お金」で考えた時の話であって、そうではない付加価値については全く考慮していない。都市と言うものはそれだけ利便性が高く、1ヶ所に色んなものが揃っている。田舎は何もない代わりに自然が沢山ある。ただ暮らしているだけでも自然の移ろいや動物達との出会いがある。たぶん、どれが良いとかどっちが正解とかそんな問題ではないのだ。そう思いつつも、街中の暮らしと田舎の暮らしについて思案する事が多々ある。

ただ自然に近いことが魅力なのだろうか‥?そう考えながらだいぶ慣れてきた新居の布団で寝た。
翌朝、朝からピヨロロロ、とお囃子の音が聞こえる。何だろうと音が聞こえる方の窓を見ると、獅子舞らしいものとお囃子を演奏している人が近所の家の玄関の前にいた。
今日はお祭りなのだろうか?初めての経験にこんな行事もあるんだな、と感じた。身支度を済ませて家を出ようと来た時、一階で何故か家の中に入り込んでしまった鳥を発見した。思わず私は「え‥」と声を出してしまった。すると、鳥も私の存在に気付いたのかバタバタ部屋中を飛び回る。

何かの拍子で家の中に迷い込んでしまったのだろうか?しかし、私も家を出なければいけない時間だった。色々考えるべき事は沢山あったのだが、ふと鳥の様子を見ると、縁側で日向ぼっこをしていたので「もういいや」と思い、鳥を家の中に残して会社へと向かった。(その後、会社に到着した私は迷い込んでしまった鳥を家の外に出してもらうように家主さんにお願いをした)突然の出来事にとても驚いたが、その反面少し面白かった。自然と一緒に暮らしていくこととは、こういう不確定要素や予想が出来ない事と付き合っていくことなのだ。
家の中に鳥を残したまま外を出ると、さっきのお囃子隊が家の前を通り過ぎた。「おはようございます~」と挨拶をしたのだが、我が家は通り過ぎて隣の家のお清めを始めるところだった。恐らくお布施や何かをしていないとお清めにわざわざ来てくれないようだ。

街中に暮らしていた頃は、鳥が家に入り込むことはなかったし、朝っぱらからお囃子隊の音でザワザワすることもなかった。なので、大体遅刻する時は私の雑な朝の準備計画の失敗によるものだ。しかし、この新居ではどんなに素敵で完璧な計画を立て、遂行しても、鳥が家に入り込んでしまっただけで失敗してしまうし、もしお囃子隊が我が家を訪れていたら大遅刻である。果たしてこれを否とするのか、面白いと考えるのか…。

私は是非とも面白がれるような人間になりたい。
私は夜な夜なコンビニにアイスを買いに行くことが出来なくとも、縁側で日を浴びながらアイスを食べる事はできるのだから。


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