蕾であること。たぶん人間も今は美味しくない。
ここ数日、最高気温は20℃超えの暖かさで、すっかり気分は春である。道行く花々は一斉に花を咲かせ、見ていて心を躍らせる。
近所のおばちゃんから菜の花を頂く。黄色の花が可愛くて、おひたしにしただけでも、食卓がパッと明るくなる。つぐつぐ色の力と言うものは恐ろしいものだ。
自宅の近くに生えているフキノトウ。生えているうちにと考えていたら、気付けば花が咲いてしまった。花が咲いたからって何なのだ?と思うだろう。実際に私もそう考えていたが、植物にとって花を咲かせるという事は、自らのエネルギーを外に放出する意味を持つ。つまり、食べるという観点において、最適な時期ではないのだ。
記憶を辿ってみると、昨年の秋ごろ、セイタカアワダチソウで同じようなことを考えたことを思い出した。セイタカアワダチソウの薬効を十分に得るには開花前の蕾の状態が沢山の酵素を蓄えていて良い、と職場の人に教えられた。
私が道端のお花を見て心が躍ったように、花は人間に限らず虫、動物、様々な生き物をおびき寄せる。その結果として種を増やすことが出来るのだから、蕾の状態が一番食べごろなのは何もおかしいことではない。
我が家の前の道はサルが堂々と歩いていく。夜な夜なピイピイ鳴いているのは、きっとイタチ君だろう。植物も、動物も私も暖かくなって、圧倒的に活動量が増えている。そう考えると、生き物は皆、同時代的に生きているように思えた。
そう考えると、やっぱり人間も今の時期は美味しくないのかも?
そう思うと、それを確かめずにはいられなくて、手の甲をしっかりと噛んでいた。確かに、冬に比べて弾力がなくなっているかもしれない。なんとなく伸びが悪いのは塗たてのハンドクリームのせいだろうか?
そうこう考えながら畑作業で摘んだヨモギの新芽。いつものようにお湯を入れて飲むと、緑茶のような優しい味が広がった。夏から秋にかけての野草感溢れるヨモギ茶とは全く違う。驚くほど優しい味のヨモギ茶に、私はまた新しい春の味を知った。
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