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脳疾患で死なないために

マイケル・グレガー博士とジーン・ストーン博士の共著

神崎朗子さんによる翻訳

『食事のせいで、死なないために』は、本当に名著だと思います。

重要と思われる部分を抜粋、引用いたしました。あなたの健康に役立ちますように。

一般的な報道では、アルツハイマー病は遺伝病として扱われているため、食生活が大きな影響をおよぼすという考え方に驚く人は多いかもしれない。アルツハイマー病になるかどうかは、 生活習慣ではなく遺伝子によって決まると考えている人は多い。だが、世界各地のアルツハイ マー病の分布状態を調べれば、その考え方はまちがっていることがわかるだろう。

アメリカに住んでいる日本人は、日本に住んでいる日本人にくらべて、アルツハイマー病の罹患率が大幅に高い。また、ナイジェリアに住んでいるアフリカ人は、アメリカのインディアナポリスに住んでいるアフリカ人にくらべて、 アルツハイマー病の罹患率が4分の1しかない。

この数十年で日本におけるアルツハイマー病の罹患率が急上昇したのは、昔ながらの米と野菜中心の食生活から欧米型の食生活に変化し、以前にくらべて乳製品の摂取量は3倍、 肉は6倍に増えたためだと考えられている。

日本人における食生活と認知症の密接な相関関係が研究によって発見されたのは、とくに動物性脂肪についてだった。1961年から2008年のあいだに、動物性脂肪の摂取量は急増し、6倍近くにまでなっている。

認知症になるリスクとして、遺伝的な要素も少しはあるのではないだろうか? 答えはイエスだ。

1990年代に発見された遺伝子変異 「アポリポタンパク E4」(あるいはアポE4)をもっていると、アルツハイマー病にかかりやすくなる。誰でもアポリポタンパク氏はもっているのだが、7人にひとりはアルツハイマーの危険因子であるE4をもっている。

このアポE4遺伝子を父親か母親から受け継いだ場合は、アルツハイマー病のリスクが3倍になることがわかっている。さらに、両親のどちらからもアポE4遺伝子を受け継いだ場合は (50人にひとりの確率)、リスクは9倍になる。

ある研究では、1000名の人びとを対象に20年間の追跡調査を行なったところ、アポE4 遺伝子をもっている確率が、アルツハイマー病の人では2倍高かったのも驚くには当たらない。しかしその同じ対象において、高コレステロールである確率はアルツハイマー病の人の場合、 3倍も高くなることがわかったのだ。


研究者たちは、高血圧や高コレステロールなどの危険因子をコントロールすることによって、最悪の場合(両方の親からアボE4を受け継いだ場合)9倍にもなるアボE4のリスクを、2倍のリスクまで低減できるのではないかと考えている。

医師も患者も、慢性退行性疾患は運命だと思ってあきらめてしまうことが多く、アルツハイマー病も例外ではない。「すべては遺伝子で決まっています。 起こるべくして起こることは、「避けられません」というわけだ。

しかし研究によってわかったことは、もしたまたま遺伝子の悪いカードを引き当ててしまっても、食生活を改善すれば、もう一度トランプをシャッフルできる可能性が高いということだ。(p114~117)

食事のせいで死なないために[病気別編]


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