西出光一郎

金沢にいます https://koichironishide.com

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マガジン

  • 欧州日記

    2018年11月29日〜2019年1月30日の期間、アイルランドからイタリアまで南下しながら8か国を旅したときの日記です。

  • 写真とカメラに関するエッセイ

    写真とカメラに関するエッセイを7本まとめました。

  • 北欧日記

    2019年7月1日〜2019年7月18日の期間、北欧4か国を旅したときの日記です。

最近の記事

  • 固定された記事

幸せになるために生きる

今、考えるとかなり鬱陶しいやつだと思うが、21歳のある時期、会う人会う人に「あなたは何のために生きているのか」と尋ねていた。 それは今思えば、「はしか」のようなものだった。21歳の大学生といえば未来に対し、何でもできる全能感を持っている時期である。もちろんそんな全能感は社会に出た途端、(それが高ければ高いほど)ペシャンコにされるわけだが。 その頃のぼくは、ペシャンコになる未来など想像だにしていなかった。かといって将来を考えて資格を取ったり、勉学に励んだりといったことはまっ

    • Twitterをやめた日

      先日、ようやくTwitterをやめることができた。正確な日付は、2023年4月6日。登録したのが2010年6月なので、13年弱つかっていたことになる。その間おそらく、一日一度はTwitterの画面を開いていたはずだ。 これまでTwitterに費やした時間は、どのくらいになるだろう。仮に一日10分とすれば、ざっと47000分。時間数に直すと、783時間になる。ちなみに日数で換算すると、32日だ。 丸一ヶ月…。 こうして改めて数字にしてみると、膨大な時間である。そして当然な

      • 写真群

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        • 嘘をつかずには生きられない

          あなたは今日、嘘をついただろうか。 自信を持って「いや、ついていない」と答えたなら、さらに畳み掛けてみよう。昨日は嘘をついただろうか。なるほど、「ついていない」と。では、今月だったらどうだろう? 今年は? 去年は? ここまで詰め寄られてなお首を横に振るとしたら、「それ自体が嘘だ」と言わざるを得ない。 誰でも日常的に嘘をつく。恥ずべきことでもなんでもない。ぼくも日常的に嘘をついて生きている。自分で認識できないレベルの些細な嘘なら、息を吸って吐くようにほぼ反射的についている

        • 固定された記事

        幸せになるために生きる

        マガジン

        • 欧州日記
          62本
          ¥1,980
        • 写真とカメラに関するエッセイ
          7本
          ¥480
        • 北欧日記
          18本
          ¥980

        記事

          ハッセルブラッド・開発の歴史 2/2

          「ハッセルブラッド・開発の歴史 1/2」の続きです。 ◇

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          ハッセルブラッド・開発の歴史 2/2

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          ハッセルブラッド・開発の歴史 1/2

           中版フィルムカメラ・Hasselbladの開発の歴史を調べてみました。「ハッセルブラッドはどのような経緯で生まれたのか」を全2回で紹介します。 ◇  ハッセルブラッドとは何か。ハッセルブラッドとは会社名であり、創業者の名字であり、カメラのブランド名である。  ハッセルブラッド社の始まりは、執筆時の2022年から時計の針を180年あまり巻き戻す必要がある。1841年、スウェーデンの西にある工業都市のヨーテボリにF.W. Hasselblad&Coという会社が誕生した。創業

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          ハッセルブラッド・開発の歴史 1/2

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          9年前に作った「やりたいことリスト」の達成度

          皆さんは、「やりたいことリスト」を書いたことがあるだろうか。それは文字通り、やりたいことをリスト化したものである。 「やりたいことリスト」を書くと、実現の可能性が高まると言われている。「リスト化するだけで、どんどん達成できる」と豪語する人すらいる。本当に書くだけでクリアできるなら、やらなくては損だ。 Evernoteを見返していたら、9年前の2012年に書いた「やりたいことリスト」を見つけた。存在を忘れていたくらいなので、何を書いたか定かでない。ただそのとき、やりたいこと

          9年前に作った「やりたいことリスト」の達成度

          クリスマスが軽薄でも、軽薄じゃなくても

          今から3年前、2018年クリスマス。ぼくはロンドンにいた。 何もクリスマスの時期を狙って、ロンドンへ行ったわけではない。ヨーロッパを北から南まで一人で縦断しようと思い、アイルランドを出発して2カ国目がイギリスだった。つまりたまたま12月25日の週を、初めて訪れたロンドンで過ごしたわけだ。 日本にいるときも、クリスマスだからと特別に何かやった覚えはない。ロンドンであろうが(それが北京やジャカルタであろうが)、特に変わりなく過ごすつもりだった。 クリスマスと聞いて頭に思い浮

          クリスマスが軽薄でも、軽薄じゃなくても

          家の近所で、写真を撮れない

          今年になってはじめた習慣のひとつに、川沿いの散歩がある。 ウォーキングと書けば何やら勇ましいが、はじめたのは本当にただの散歩だ。でもそのただの散歩が、自分に変化をもたらせた。 ◇ そもそも散歩をはじめたきっかけは、単純に運動不足解消のためである。家にこもる時間が増えたため、意識的に外へ出かけるようになったのが今年の春のこと。 ある地点まで行ったら橋を渡り、対岸沿いを同じように歩いて自分の家へ戻ってくる。距離にして5キロを一時間かけて歩く。その散歩に、いつしかカメラを手

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          家の近所で、写真を撮れない

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          スタバの年の終わりとはじまり

          人間の「こうじゃなきゃならない」という思い込みは、こうも簡単に崩れてしまうのか。2020年に、自分自身の軽薄な態度でそのことを知った。 スタバの年が始まったいきさつから、話をはじめよう。2018年から2019年は、確かにスタバの年と言ってよいものだった。 家で仕事をしていると、昼食後はどうしてもダラけてくる。3年前に地元金沢市の中心部へ引っ越したことで、スタバが歩いて10分とごく近い存在になった。そのためダラけてくると、「ちょっとスタバまで行ってみようか」と思う日が多くな

          スタバの年の終わりとはじまり

          いつか来る、写真フィルムの死

          フィルムで撮られた写真を見ると、無条件に美しいと感じる自分がいる。それはなぜなのかと、ずっと疑問に思っていた。 業務用フジフイルムISO100が生産終了になったとつい最近知った。たしかそのフィルムは、とても優しい色をしていた。コントラストが弱く、彩度に主張がない。だから強い印象にはなりにくいのだけど、柔らかい雰囲気の写真になった。 そしてなんといっても、お財布に優しい。2年前に一度買ったことがあるが、そのときの価格で36枚撮り10本パックが4,580円だった。同じ年にコダ

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          いつか来る、写真フィルムの死

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          何の思い出もない、あの海

          2020年の夏。取りつかれたように、同じ場所で写真を撮っていた。 6月から8月にかけて、何度も同じ海へ通っていた。自宅から車で、片道1時間ほど。2日連続して行く日もあれば、2週間に一度の日もあった。平均すれば、一週間に一度は足を運んでいたと思う。 その海に通うようになったきっかけは、やはりコロナだ(今年は何をやるにもコロナの影がじっと横たわっている)。住んでいる地域の緊急事態宣言は5月中頃に解除されたものの、必要のない限り県外へ行ってはいけない雰囲気が漂っていた。実際、県

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          何の思い出もない、あの海

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          世界へ投げた小石のゆくえ

          自分の投げた小石が、誰かの心に届くことがある。これから書く話は、写真展開催中に起こったできごとだ。 2020年7月18日から7月22日にかけて、自分にとって初めての写真展を開催した。場所は地元の金沢市である。 展示内容は、2019年7月に北欧で撮った写真を20点にまとめたもの。展示名を「NORDIC LIGHT」とし、開催5ヶ月前の2020年2月からTwitterで告知を開始した。 開催までのあいだに、思いがけず新型コロナウイルスが蔓延してしまった。「延期になるだろうか

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          世界へ投げた小石のゆくえ

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          ばかみたいに面倒で、とても大切なカメラ

          フィルムカメラで写真を撮るなんて、思ってもいなかった。 写真家だった伯父が、2016年10月に他界した。翌2017年8月、空き家となった伯父の家へ引っ越すことにした。理由は単純に、その家が金沢の中心部にあって利便性が良かったから。それと持ち主が母親になり、「空き家になるくらいなら」と家賃の支払いを免除してもらえたからである。 引っ越したはいいが、その家は移り住んですぐ快適に住めるわけではなかった。築70年以上と町家認定されるほど古いうえ、80歳過ぎの伯父と70歳過ぎの伯母

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          写真家・濱田英明氏、第二回オンライン・リーディングパーティー。手書き文字で刻まれる記憶

          今どき、手紙を送る人は稀だろう。メールでさえ宛名や挨拶がまどろっこしく感じて、LINEなどメッセンジャーで済ませるのが主流になりつつある。そんな時代のなかでも、「手書きで文章をつづる。その面倒な行為をやる意味は、確かにある」そんなふうに思った。写真家・濱田英明氏のオンライン・リーディングパーティーに参加しての感想だ。 このイベントは濱田氏自らが上梓した写真集を、オンラインで参加している全員と一緒にめくっていく試みだ。2020年5月16日に第一回が開催され、同月30日の夜22

          写真家・濱田英明氏、第二回オンライン・リーディングパーティー。手書き文字で刻まれる記憶

          写真家・濱田英明氏、オンライン・リーディングパーティー。制限された状況のなかで

          2020年5月16日、土曜日の夜。写真家・濱田英明氏によるオンライン・リーディングパーティーが行われた。文字通り、オンラインで行われる読書会だ。題材に選ばれたのは、濱田氏が昨年7月に上梓した自費出版写真集『DISTANT DRUMS』。 このオンライン・リーディングは、著者自らがページをめくり、画面上で見ているひとが同じようにページをめくることで成立する。つまりこの催しは、写真集を手にしていることが(もちろん強要などまったくないが)望ましい。参加して思ったのは、「写真集が手

          写真家・濱田英明氏、オンライン・リーディングパーティー。制限された状況のなかで