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Docusignについて詳しくなる(事業編)

初めまして、匿名個人投資家と申します。本稿では「世界一のe-signature (電子契約)ソリューション」企業であるDocusignについてまとめていきます。

単に契約を電子化するだけではないビジネスの深みをみていきます!

それでは早速記事に入っていきましょう!
※私のモチベーションの為に、「スキ」を押していただけると嬉しいです!

1.事業概要

一言で言えば、「契約」の前後を「電子的」に管理するサービス。

企業の場合、紙ベースで契約を結ぶには、
①商談や稟議を経て契約の意思決定
②契約書のドラフトを入手
③契約書のドラフトの法務チェック
④契約書の原本を入手
⑤契約書の原本とドラフトが同じであることを確認
⑥契約書原本に押印
⑦契約書原本を提出
というステップを踏む必要がある。
契約するサービスや商品を選定したり販売したりするのにも時間がかかるのに、ドラフトを送ってチェックしてから郵送したり、印刷された膨大な条項が書き換えられていないかチェックしたりとやたらと手間がかかる。
何より、紙ベースだと、押印する際は、「上司がなかなかオフィスにいない」「部長の承認と押印が必要なのに課長が忘れてて止めていた」だとか、最近だと「テレワークで次の出社は来週です」といった具合に時間と手間ばかりがかかって非効率だった。これだと営業マンはどこのプロセスで止まっているのか、気が気でないですよね。
また、契約書をやり取りする際や保管する際に紛失するリスクもあるし、長期間の保管も手間とコストがかかります。それに、契約書の内容なんていちいち全部覚えている人もいないし、契約上重いリスクを負っていたとしても誰も気付きません。後で見返そうと思っても、膨大な書類からお目当ての契約書を探さがすのは困難です。外部書庫に保管されているものなんて誰が確認するのでしょう。

こんな契約の悩みを解決できるのがDocusign。
今後デジタルシフトが加速していく中では、必須とも思える事業ですね。
Docusignによれば、今後の市場規模(TAM:Total Addressable Market)は50億ドル(日本円で約5兆円規模)になると見込んでいる。

2.商品・サービス

それではDocusignのを詳しく見ていく。
4つの”Key Product”があります。(一旦それ以外は割愛していきます。)
(1)eSignature、(2)CLM、(3)Insight/Analyzer、(4)Notaryです。
それぞれ詳しく見ていきましょう!!

(1)eSignature

世界で最も使われている電子契約のプラットフォーム。
これによって契約を超効率化できる。44%が15分以内に契約終了し、遅くとも80%が1日以内に契約終了しているとのこと。紙ベースでは何日もかかってしまうのが当たり前なのに対し、この速さは圧倒的に便利ですね。
実際の使い勝手は下の動画をご覧ください。

これによって、契約書を紙でやりとりするのではなく、デジタルで契約を結んだという記録が残る。
また350以上のサービスに埋め込まれているのも特徴だ。例えば、Salesforceとの協業はとても強く、 Salesforceを一度も離れることなくDocusignのサービスが裏側で稼働するようになっている。販売を伸ばすためには契約締結時の離脱を防ぎ、を速やかに行うことは非常に重要。

ストレスなく契約締結に行けるように、という点ではDocusignにかなうものはなく、このeSignatureが入り口となって他のサービスにつなげていく流れ。Docusignによれば、まずは営業面での効率化のため、eSignatureを導入する企業が多く、そこで利便性を実感してもらって人事や財務経理などの部門に展開されるケースが多いとのこと。またそれに伴って他のサービスの導入につなげていく。

eSignature自体は、参入障壁自体が高くはなく、お互いに合意すれば別にどの電子署名を使ってもよい、という状況。DocusignのeSignatureが世界シェアNo.1であることは明らかなので、この強みを活かして後述する他のサービスの導入につなげていけるかが重要な鍵となる。

(2)CLM(Contract Lifecycle Management)

「契約のライフサイクルマネジメント」サービスである。
①契約締結に向けたドラフトの作成から、条項や条件の交渉、バージョン管理などが可能。
②チェック者や承認者の作業状態を確認することが可能。
③セキュリティのしっかりした、検索可能なデータベースへ保存される。
といった特徴がある。

会社間で契約書を交わすときには、お互い法務部門によるチェックが入り、ドラフトに手を加えながら、落とし所を探る。
何が変わったのかを明確にして、コメントをつけるのがルールだが、現実には相手がやってくれなかったり、抜け漏れがあったりする。
また、どのような条件や文言なら自社で認められているかもわからないことも多いですが、CLMがあれば、変更点は一目瞭然で超効率的なわけです。
また、キーマンが出張や在宅勤務で不在の時も簡単に確認し、承認してもらうことが可能。
また、契約を結んだはいいけれども、あの契約書どこ行ったんだっけ?ということもレガシーな現場では起きがちです。Docusignがデータとして適切に管理し、検索可能な状態にしてくれるわけで、非常に便利ですね。
このCLMでは、”Docusign CLM for Salesforce”というサービスもリリースされている。

※英語ですが、CLMの紹介動画を張っておきます。

(3)Insight/Analyzer

Docusign Insight
締結した契約に対して、検索可能にしてくれる機能。
PDFの契約についてもOCR機能によって文字化され、全文検索が可能に。
AIによるタグ付けが行われ、複数の契約の条件を比較することも可能に。

今まで膨大な資料を人の手で確認し、比較していたものがあっという間にアクティブに確認可能になるわけで、これは超便利。
サプライヤーとの契約を比較してより有利な条件の方とビジネスを進めるなんてことも可能になるわけです。

Docusign Analyzer
契約書のレビューを効率化する機能。AIによりリスクを条項ごとにスコア化し、可視化できる。リスクの高い箇所については、ワンクリックでその箇所に飛び、そこから修正することが可能。事前に社内で承認された文言や契約条件を参照することも可能。法務部門に頼らなくても、担当者が効率よくチェックしたり、相手と交渉することができます。法務部門の負担軽減につながりますね。

(4)Notary

直訳すると「公証人」ということになりますが、一度アメリカの制度を理解したほうがよい。

米国では、ノータリー・パブリック(Notary Public)と呼ばれる州からライセンスを受けた公証人がいます。日本の公証人とは違い、公正証書の作成を行うことはできず、文書の認証(Notarization)のみを行うことができます。公証人は、個人や企業が不動産の契約書や遺言書などの重要な書類にサインをする際に、契約者本人であり、脅迫等によらないことを公平な立場で確認し、不正抑止に務めます。銀行、UPS Store、法律事務所などに公証人を擁しており、文書の認証を行うサービスを提供しています。

https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-000949.html  独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)

つまり、重要な取引においては脅迫されたり、偽造された契約ではなく、双方の意思に沿って締結された契約であることを証明するため、”公証人”によるお墨付きが必要ということ。
これをWebで完結させてしまうのがこのNotaryのサービス。
このコロナ禍、またデジタル化が進む中で、「オンラインの公証」の需要も高まっており、まさに必要不可欠なサービスですね。

さて、一旦主要プロダクトについて整理しました。
(後ほど別稿にて詳細は触れますが、)直近の販売拡大ペースの減速を受け、株価は急落したものの、このコロナ禍において、eSignatureの需要が急増し、その他の商品の導入につなげるチャンスは増えてきています。
個人的には、長期的な契約管理のDXは始まったばかりであり、今後大企業から個人レベルまで、契約管理のニーズは大いにあると思っています。
Docusignの事業価値について、さらに深掘りしていきたいと思います。

※注意事項

※本稿では、投資に関していかなる推奨も行っていないということを明言させていただきます。また、基本的には著者が将来性や事業に関心を持つ企業を取り上げております。したがって著者の投資対象となっていることが多く、バイアスがかかっている可能性を重々お含みおきください。
※自分自身の投資判断のために情報をまとめています。他の多くの投資家の方の情報収集に役立てば幸いです。正確性には慎重を期しているつもりですが、最終的な正確性は保証いたしません。ご自分でご確認いただければ幸いです。
※私のモチベーションの為に、「スキ」を押していただけると幸いです。

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