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webライティングは今後どのようにあるべきなのか

普段webライターとして記事を書いている自分が「感じてはいたけれど、言葉にできなかったこと」がこのたび言語化されているのを発見しました。

この記事では、「web上の文章がコンピュータとしての人格を持って検索ユーザーの目に触れる時、どのようなUIテキストが好まれるのか」という議題が挙げられています。

いわゆるマイクロコピー(ボタンの文字やフォーム、 エラーメッセージ(404 not Found)、写真のキャプションなど)が、どういったテキストとして検索ユーザーへの応答を行うべきか、を問うているわけですが、ここで書かれていることが、webライティングの未来の在り方を示しているような気がしたのです。

webライティングの現在

webライティングは今、非常に定義の難しい局面に立たされているのではないでしょうか。

あるメディアでは「ライター(人間)の想いや生き様が感じられるライティング」が求められ、あるメディアでは「ライターの個性を消した結論ファーストなライティング」が求められます。前者と後者のメディアでは、明らかに基準が異なっているのです。

メディアに求められる記事の基準が異なるということは、同時に執筆のレギュレーションや、背景理解の度合いも変わってくることを意味していますが、こうしたメディアごとの「方向性」や「属性」が、複雑化した事態を生み出していると分析できます。

結果、webライターごとに個性がバラバラで、かつ生み出される文章もまたバラバラである、という状況が生まれているわけですが、「web」という空間で人々の目に触れる以上、検索エンジンの存在を無視できなくなります。

そこで検索エンジンに最適化したライティング(SEOライティング)が求められてくるのですが、これもまた「無機質で味気ない文章」といわれ、生身の人間(どちらかといえば書く側:webライター)から支持されないものとなっています。

要はずっとグルグルしてるわけです。SEOは大事だと分かっていても、他のwebライターとの差別化を図るために、どうしても個性を出したくなる。個性を出してみる。でも検索エンジンで上位に上がってこない。読まれない(そもそも納品した後の記事がどうなってるか知らない)。「やっぱりSEO大事なのかぁ」と頭を抱える。

SEOライティングに対する壮大な誤解

SEOライティングもそうですし、SEOに対して誤解しているwebライターも多いのですが、SEOライティングは「機械が読むためのライティング」ではありません。検索順位を上げるためのライティングです。それは今も昔も変わっていません。

「昔は人間らしい文章が好まれていたんだろうな」なんて漠然とイメージしている人も注意です。検索エンジン(Google)は、ユーザーファーストを掲げてアルゴリズムアップデートを繰り返しています。ユーザーファーストとは何か?を日々考え、変化するユーザーニーズを追いかけているのです。

そうなると、検索エンジンが上位表示させるwebページは、ユーザーファーストを体現しているwebページとなります。すると、どうでしょう。いわゆる無機質で機械的な文章が好まれる場合と、そうでない場合が想定されるのではないでしょうか。

ある検索体験を行うユーザーにとって、ファースト(第一)なwebページは都度変わってくるはずです。

端的に情報を得たい場合と、時間をかけて調べたい場合。成し遂げたい未来のために仕方なく検索する場合と、そうせざるを得ない緊急性をもつ場合。つまり、ユーザーの検索体験はそれだけ多様なのです。

では、検索エンジンはそうしたユーザーニーズに応えようとしているのか?答えは「YES」です。

Google検索は、特定のキーワードに対してナレッジパネルやリッチリザルト、ユニバーサル検索を表示しますし、Google Mapの検索エンジンは、検索者の位置情報を頼りに最適なローカル情報を表示します。しっかりとユーザーファーストを追いかけているのです。

まとめると、検索エンジンはユーザーファーストを常に追いかけています。そしてユーザーファーストを追いかける検索エンジンに評価してもらえるwebページは、ユーザーファーストを体現しているwebページです。

ということは、SEOライティングとは、多様化するユーザーニーズをファースト(第一)に捉え、文章で解決する(あるいは検索行動を終わらせる)文章と定義することができます。

webライティングのパラダイムシフト

検索エンジンがユーザーファーストを追って変化し続ける(アップデートし続ける)のならば、検索上位を狙うSEOライティングだってアップデートし続けなければなりません。

常に過渡期にあるということです。一時たりとも止まった試しがないのかもしれません(中の人じゃないので分かりません笑)。

ここで冒頭の記事がふたたび登場します。

様々なデジタルデバイスが人間に応答するようになった今、人間とは別の存在がコミュニケーションの世界の話し相手に加わろうとしています。彼らは日々アップデートを続け、いずれ人間と同じように会話する存在へと変化していくでしょう。

でも、その前に(その過程に)、今のようなwebにおけるUIテキストとの遭遇があります。web上の文章が「馴れ馴れしいのか」あるいは「無機質なのか」といった問題が横たわっているのです。

やがて到来するAIを基盤とした存在に、わたしたちはどのような言葉で語りかけて、またコミュニケーションをとっていくのか。そんなことを考えるフェーズに来ているのです。

今はまだweb上の文章が「人間」によって書かれています。しかし、いずれ参加するAIを基盤とした存在がweb上の多くの情報を記述していくようになるかもしれません。

その時わたしたちはその文章やコンテンツをみて、何を思うでしょうか。心地よく感じるでしょうか。あるいは不快に思うでしょうか。

UXライティングで起こっていること

そんなことは実際に未来に行きもしない限り分かりませんが、その疑似体験のようなものが「UXライティング」(webデザイン)の分野で起こっています。

冒頭で少し触れましたが、様々なマイクロコピーが「機械的に応答する」という特徴を捉えると、既に「人間ではないもの」が応答したものとして、わたしたちは認識している側面があります。

実際webページにアクセスして「404 not Found」(クライアントエラーを知らせるページ:要はあるべきはずのコンテンツが表示されていない状況)に遭遇した時、画面に表示されたテキストや画像をみて、苛立ちを覚えたり、ネガティブな感情になったりすることがあるでしょう。

その時わたしたちは(多くの場合)、「人間ではないもの」に対してマイナスの感情を抱いているのではないでしょうか。

404 not Foundの先にいる人間ではなく、404 not Foundそれ自体に対して(あるいはサイトに対して)ネガティブな印象を持っていることがあるのです。

この事実はとても興味深い認識をわたしたちに与えてくれます。つまり、web上で視認する文章やコンテンツの一部は、既に人間ではない存在が作成したものとして検索ユーザーの前に立ち現れているということです。

当然、突き詰めて考えれば、404 not Foundだって人間が作成したものといえます。しかし、たったいま検索体験を行っているユーザーにとってはどうでもいいことの1つであり、率直に「快」か「不快」のどちらかの印象しかありません。

UXライターは、こうした404 not Foundのような、非常に細かい部分のUIテキスト(マイクロコピー)を考えるライターです。

商品購入のボタンから遷移先の画面、時には状況に応じて表示されるポップアップまで、UXライターは、ユーザーが心地よいと感じるマイクロコピーを常に考えています。

UXライティングは一見すると販促のためのライティングに見えますが、実はwebの未来を疑似体験する1つの場も提供しているのです。

webライティングだって例外じゃない

webライティングも例外ではありません。未来に人間以外の存在がweb上の多くのコンテンツを作成するようになった時、webライティングはどのような振る舞いを検索ユーザーに向けて行うのが適切となるのでしょうか。

そしてその時、画面の向こう側でコンテンツを作成しているのは全て「人間以外の存在」なのでしょうか。

もし現在のwebライターが同様にwebライティングを行っているとすれば、それはきっと違う形になっているはずです。おそらく、様々なUIによって検索行動が楽になり、求められるweb上のライティングは変わってくるでしょう。そのヒントとなるのがUXライティングというわけです。

UXライターやwebデザイナーの将来の姿として、Joscelin Cooper氏は以下のようにコメントしています。

将来は、『her/世界でひとつの彼女』のような人間に近いテクノロジーではなく、より控えめで寡黙ながら有益なテクノロジーが増えるかもしれません。UXライターやデザイナーは、どうやって親しみやすさと機能性を両立するかということを考えるかもしれません。

webライターにも「親しみやすさ」と「機能性」が求められてくるのではないでしょうか。

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