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【コラム】暮らしに寄りそう仏教の言葉⑬「名刹(めいさつ)」

私たちの暮らしの中には、実はたくさんの仏教用語が溶け込んでいます。
その言葉たちの本来の意味を紐解いていきましょう。

今回ご紹介する言葉は「名刹(めいさつ)」です。名刹とは由緒あるお寺のこと。ぜひ、秋の行楽シーズンに京都の名刹めぐりをしてみてはいかがでしょうか。

刹は、サンスクリット語の「ヤシュティ」を音写した語で、杖とか棒とか旗竿(はたざお)という意味です。
旗竿が、なぜ寺院を意味するようになったのかと、不思議に思われる方もあるかと思いますが、昔、中国で説法(せっぽう)が行われるときには、お寺に宝珠火焔形(ほうしゅかえんがた)のものをつけた長い竿を立て、旗を掲げたのでした。村人たちはこの旗を見て寺院に参詣するのです。この旗を刹幡(せっぱん)と言います。

こうした風景から、刹はお寺のしるしとなりました。寺院を寺刹(じさつ)とか梵刹(ぼんせつ)などといい、有名なお寺を名刹というのです。
他に、刹には国土の意味があるという説もあります。

このように、刹は説法が行われる知らせですから、聞法(もんぼう)のためにお寺を訪れてほしいと思うのですが…。

『くらしの仏教語豆事典(下)』(本願寺出版社/著:辻本敬順)より引用

<お坊さんから一言>
西本願寺では毎日、お坊さんによる法話(ほとけさまのお話)が行われています<事前申込み・参加費 不要>。毎日お坊さんが変わり、法話するお坊さんによって多種多様な法話を聴くことができます。

あわただしく過ぎていく日々が続くと、つい大切なことを見失ってしまうこともありますよね。法話を通じて自分を振り返り、新たな視点を得ることができるかもしれません。今秋はぜひ法話に耳を傾け、観光だけではない「名刹めぐり」をしてみてはいかがでしょうか。