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VRアカデミアアンケート(2022年3月)

おばんです。なんとなくバーチャルっぽい人たちのコミュニティ「VRアカデミア」において2022年3月に視聴者アンケートを行いました。ここで、その結果を報告します。

はじめに

まず、VRアカデミアについては以前公開した記事を参照ください。

次に、この記事は経済学系Vtuber室生鏡花氏による分析をベースに書きました。室生鏡花氏による分析の一部は動画として公開されていますので、よければそちらも合わせてご視聴ください。

今回の分析はワンショットのアンケートをもとにしていること、回答者数が少ないことで分析結果にバイアスがある可能性があります。あくまで、報告内容は、今回のアンケートという限定されたデータに基づく推測であることを、ご承知ください。

データ

調査期間は2022年2月23日~3月31日で、Google Formを回答方法として利用した。告知にはTwitterとVRアカデミアのdiscordのサーバー(discordキャンパス)を利用した。回答数は78件であった。質問項目は12個あり図1にまとめた。

図1:質問項目の一覧

※Q6のVRアカデミアへのメッセージについては、個別のVtuberさんへのコメント等が多かったため、今回の報告からは省略します。

Q1.視聴者の就業状態

視聴者の現在の就業状態についてみたものが図2である。VRアカデミアの視聴者は社会人が62%であり、もっとも層が厚い。次に大学院生19%、大学生14%と続いていく。高校生や小中学生は1%というように小さい。社会人の中で、より詳細に確認すると、その他を除けばIT関連が15%であり、次が教育関連の8%であった。大学院生の内訳をみると修士課程在学中が12%であり、博士課程在学中が5%であり、社会人大学院生が3%である。

図2:Q1.あなたはどれに当てはまりますか?

Q2.VRアカデミアを知ったきっかけ

図3はQ2の「VRアカデミアを知ったきっかけはなんですか?」への回答である。78人のうち41人(52.6%)は「フォローした人がVRアカデミアに参加していた」と回答した。18人(23.1%)が「知りたいことを検索したところVRアカデミアのコンテンツを見つけた」と回答した。11人(14.1%)が「twitterのタイムライン」をきっかけにVRアカデミアを知ったと回答した。

図3:Q2.VRアカデミアを知ったきっかけはなんですか?

Q3.VRアカデミアをフォローしている理由

図4はQ3「VRアカデミアの活動をフォローしている理由を教えてください」への回答をまとめたものである。78件の回答のうち、最も多いものは「動画、配信を視聴するため」の58件(74.4%)だった。次に回答が多い項目は、「交流会に参加するため」の10件(12.8%)であった。3番目に回答が多い項目は、「面識があるため(VRChatでやり取りがあるなど)」の7件(8.9%)であった。

図4:Q3.VRアカデミアの活動をフォローしている理由を教えてください

Q4.利用したことのあるコンテンツ

図5はQ4の「利用、視聴したことのあるコンテンツを教えてください」への回答である。公式ウェブページのからの流入が多いことがうかがえる。次にdiscordキャンパスが続くが、登録が必要であるということで少し障壁が大きいため公式ウェブページのアクセスより少なくなっているのかもしれない。

図5:Q4.利用、視聴したことのあるコンテンツを教えてください

Q5.興味がある分野

図6はQ5の「興味がある分野は何ですか?」への回答をまとめたものである。下図では、まず回答された分野を大きく人文社会系、理工系、生物系、総合・新領域系 に分けた。内側をさらに分野で分け、さらにその内側を分科で分けて集計した。人文社会系は282件の票があり、理工系は221票、生物系は114票、総合・新領域は34票であった。

※回答項目の分野の振り分けは文部科学省の「系・分野・分科・細目表」を参考にした。

※アンケートにおいて可能な選択肢は「哲学」「心理学」「倫理学」「宗教学」「歴史学」「地理学」「政治学」「法律学」「経済学」「社会学」「教育学」「民俗学」「数学」「物理学」「化学」「天文学」「地球科学」「生物学」「医学」「薬学」「工学」「建築学」「産業(農学、他)」「芸術学」「言語学」「文学」であった。この項目からわかるように、情報科学やプログラミング系の選択肢が存在しない。しかし、アンケート回答には「その他」として「情報科学」「プログラミング」「コンピューターサイエンス」「計算機科学」「情報工学」「情報」等の回答が少なからず存在した。選択肢にこれらがなかったことを考慮すると、実際はより需要があったことが予想される。なお「情報科学」は「複合新領域情報」に、「プログラミング」「計算機科学」「コンピューターサイエンス」は「総合領域」に分類されている。

図6:Q5.興味がある分野は何ですか?(複数回答可能)(全体)

興味がある分野(社会人、大学生、大学院生別)

図7-9はQ5を社会人、大学生、大学院生に分けて、それぞれ興味がある分野を集計したものである。図7の社会人についての集計をみると、物理学、天文学、地球科学、生物学、数学、産業、工学、建築学、教育学、化学が同票で最も票が集まった。図8の大学生についての集計をみてみると、最も票を集めたのは、数学、心理学、工学であった。図9の大学院生の集計をみると、最も票を集めたのは、歴史学、薬学、物理学、哲学、地理学、地球科学、生物学、数学、宗教学、社会学、産業(農学、他)、工学、建築学、経済学、化学、医学であり、票が分散していた。

図7:Q5.興味がある分野は何ですか?(複数回答可能)(社会人(非学生))
図8:Q5.興味がある分野は何ですか?(複数回答可能)(大学生)
図9:Q5.興味がある分野は何ですか?(複数回答可能)(大学院生)

興味がある分野(クロス集計)

図10はQ5の項目をクロス集計したものである。全視聴者の中で、最も割合が多かった項目は、大学生の工学、心理学、数学、社会人の生物学の2.110%であった。

図10:Q5.興味がある分野は何ですか?(複数回答可能)(クロス集計)

Q7.視聴媒体

図11はQ7の「コンテンツ(動画、配信、文章)の視聴媒体について教えてください」の結果である。「主にPCで視聴している」が63%であった。次に「主にスマートフォンで視聴している」の31%であった。約2/3の視聴者はPCで視聴しているということから、大きな画面で解説動画を見たいという意思が読めるかもしれない。ただ約1/3がスマートフォンなので、文字の大きさなど考慮する必要も考えられるが、少数派であった。

※アンケートにおいて可能な選択肢は「主にPCで視聴している」「主にスマートフォンで視聴している」のみであり、「タブレットPC」は選択肢になかった。今回のアンケートでは「タブレットPC」と回答した視聴者数は1人のみだったが、選択肢が存在していた場合、回答者が増えたかもしれない。

図11:Q7.コンテンツ(動画、配信、文章)の視聴媒体について教えてください

Q8.視聴タイミング

図12はQ8の「どのようなときに視聴していますか?」への回答である。まずは全体で集計した結果を示す。「仕事、学業が終わった後」と「隙間時間」がともに35件が最も回答が多かった。次に「別の作業をしながら視聴している」が26件であった。

図12:Q8.どのようなときに視聴していますか?(複数回答可)

視聴タイミング(属性別)

図13はQ8を社会人、大学院生、大学生別に集計したものである。社会人をみてみると、1番回答が集まった項目と2番目に回答が集まった項目はそれぞれ「仕事、学業が終わった後」と「隙間時間」であったが、3番目に多い項目は「土日、祝日」であった。大学院生でみてみると、「隙間時間」「別の作業をしながら視聴している」「仕事、学業が終わった後」といった順であった。大学生でみてみると、「隙間時間」が最も多く、次に「仕事、学業が終わった後」と「別の作業をしながら視聴している」同票で続いた。

図13:Q8.どのようなときに視聴していますか?(複数回答可)(属性別)

視聴タイミング(視聴デバイス別)

図14はQ8を主にPCで視聴している視聴者、主にスマートフォンで視聴している視聴者、主にタブレットPCで視聴者している視聴者、無回答者で内訳を集計したものである。主にPCで視聴している視聴者は、1番回答が集まった項目と2番目に回答が集まった項目はそれぞれ「仕事、学業が終わった後」と「隙間時間」で、その次に「別の作業をしながら視聴している」「土日、祝日」の回答が多かった。また、主にスマートフォンで視聴していると回答した視聴者において、最も回答が集まった項目は、「仕事、学業が終わった後」と「隙間時間」で、その次に「別の作業をしながら視聴している」「土日、祝日」が続いた。視聴のシーンについて、主な視聴媒体による差はほとんど見られなかった。

図14:Q8.どのようなときに視聴していますか?(複数回答可)(視聴デバイス別)

Q9.情報伝達経路

図15はQ9「動画や生放送の情報はどこから知りますか?」という質問への回答である。「フォローしている人のTwitter」が62件であり最も多く、「フォローしている人のYoutubeチャンネル」が40件、「discordキャンパスの講義情報」が20件であった。また「Twitterのリツイート、タイムライン」が12件、「Twitterのハッシュタグ」が5件と、フォローしている人のTwitter の他にも複数の経路でTwitterが情報伝達に利用されていることが分かった。

図15:Q9.動画や生放送の情報はどこから知りますか?

Q10.関心があるコンテンツ

図16はQ10「どのようなコンテンツを視聴していますか?」への回答である。動画と回答したのが70件であり、生放送の29件と比べると倍以上の差がある。生放送よりも動画が学術関連の講義形式のコンテンツだと親和性が高いためだと考えられる。講座系のコンテンツは、「ゆるめ(32件)」のほうが「ガチめ(27件)」より若干多いが、差はあまり見られなかった。コラボへの需要は少なく11件にとどまっていた。少数ではあるが、文章によるコンテンツ(9件)と非講座系のコンテンツ(4件)とあり、ゲーム実況などの講座以外のコンテンツに対しては関心が薄いことがわかった。

図16:Q10.どのようなコンテンツを視聴していますか?(複数回答可)

Q11.視聴目的

図17はQ11「視聴の理由は何ですか?」への回答結果である。「自身の勉強のため」が最も多く62件の回答があった。次に多い回答は「娯楽として楽しむため」で43件の回答であった。続いて、「新しい情報を得るため」(35件)、「動画による解説が見たいから」(32件)と続いた。VRアカデミアという学術系配信の特性上、勉強や知識を得る、または解説を求める回答が目立つ。2番目に多い「娯楽として楽しむため」も、後述のQ12と合わせて捉えれば、エンターテインメント系のコンテンツというよりも、知的好奇心を満たすという楽しみを求めていると考えられる。

図17:Q11.視聴の理由は何ですか?(複数回答可)

Q12.今後見たいコンテンツ

図18はQ12「今後どのようなコンテンツが見たいですか?」という質問への回答である。最も回答が多いのは、「基本的な知識を知れる講座系のコンテンツ」の58件であった。次に多いのは、「専門性が高く難易度が高めの講座系のコンテンツ」の51件であった。Q10の「ゆるめ」「ガチめ」と同じ傾向となった。「軽く見れる講座系のコンテンツ」が39件、「エンターテイメント寄りのコンテンツ」が20件、「コラボ」が9件であった。ここでも、コラボの人気のなさが感じられる結果となった。

図18:Q12.今後どのようなコンテンツを見たいですか?(複数回答可)

アンケート回答数からの考察

最後に、アンケート回答数78件(内discordキャンパス利用者35名)からの考察を行う。今回のアンケートの告知にはTwitterとVRアカデミアのdiscordのサーバー(discordキャンパス)を利用した。2022年5月29日現在、discordキャンパスには904名の参加者がいる(コンテンツ作成者を含む)。そう考えると、discordキャンパスの利用者のうち、およそ3%強が回答に参加したと考えられる。

以上より、ある種のVRアカデミアの潜在的視聴者(アンケートに回答する程度にVRアカデミアに興味がある視聴者)が78名ほどで、そのうちdiscordキャンパスを利用しているのは半数ほどであると考えられる。そして、残りの半数はVRアカデミアというよりはVRアカデミア参加者のフォロワーという形でVRアカデミアの活動をウォッチしているのではないだろうか。また、discordキャンパス参加者のうち実質的な寄与率をアンケート回答数から推測すると、それはおおよそ4%くらいである考えられる。雑な議論としては、discordに新規参加者が25人に1人ほどのペースで定着している、といえるかもしれない。

終わりに

以上をもって、2022年3月に行われたVRアカデミアアンケートの考察を終える。最初に述べたとおり、今回のアンケートの分析結果にはかなりバイアスがかかっていることが予想される。より正確な把握を行うため、質問項目を再考し、継続的に調査していきたい。

また、今回アンケート結果を取りまとめるにあたり、VRアカデミアの参加者より多くのコメントを頂いた。この場をお借りして感謝いたします。


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