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イベント開催中も終了後もチケットが売れ続ける不思議なイベント #SAJ2021

2014年から日本スポーツアナリティクス協会が開催しているイベント「SAJ(スポーツアナリティクスジャパン)」が無事に終わりました。

僕はイベントの実行委員として2017年から企画に関わっているのですが、今回ほど準備期間が短く、直前まで手応えのないのは初めてでした。どうなることかと思いましたが、結果的には、パートナー含めた関係者の皆さま、ご登壇頂いた皆さま、そして、参加者の熱量によって、オンラインでもSAJらしい「とがった」イベントになったのではないかと思います。

僕なりに印象に残ったことを、備忘録に書いておきます。

Keynoteの力を思い知る

今回のSAJほど、Keynoteの力を思い知ったイベントはありません。Keynoteで話してくれた2020年サイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーのセッションは、アスリート、コーチ、アナリスト、トレーナーといった人だけでなく、スポーツに興味がない人にも聞いて欲しい。そう感じたセッションでした。

今回の配信場所にはnote placeを選んだのですが、トレバー・バウアーのセッション実施中と実施直後は、トレバー・バウアーの話でもちきりでした。noteの徳力さんは「めちゃくちゃ面白い!」と興奮気味に話してくださいましたし、登壇したセッションでもトレバー・バウアーの話をしていたほどでした。

セッション終了後は、副音声を担当していた森永さんと僕と代表理事の渡辺啓太さんの3人で「トレバー・バウアーみたいな選手はサッカーやバスケットボールやバレーボールのような競技でも現れるのか」という議論が白熱。しばらくトレバー・バウアー熱が冷めない状況が続きました。

トレバー・バウアーを基調講演に推薦したのは、僕(と金沢慧さんらしい)ですので、記事で知っていた話も多かったのですが、淀みなく話し続けるトレバー・バウアーの話を実際に聞いて、記事で読むのと、音声や映像で体感するのとは全然情報量が違うことを思い知らされました。

実はSAJの告知をする際に、何人かのアスリートやコーチに「トレバー・バウアーのセッションが面白いから絶対チケット買ったほうがいい」と伝えていたのですが、彼らに嘘をつくことにならなくてよかった。

追記:モデレーターを務めてくれた丹羽さんが日経電子版にコラムを書いてくれました。

思わず唸ったYAMAP春山さんの提言

今回僕は急遽「バーチャルレース」をテーマにしたセッションに、モデレーターとして登壇することに。急遽決まったので告知もなしでした。

モデレーターとして登壇した理由は、他の4人が喋りたい人たちばかりで、誰もモデレーターをやりたがらなかったからです。だったら、企画者がやった方がいいだろうという話になり、急遽登壇することになりました。

「バーチャルレース」というテーマを選んで、4人に声をかけた時点で45分では時間がオーバーすることになるのは分かっていたので、当日は自己紹介とバーチャルレースの運営事例をお話頂きつつ、後半は将来の展望を話して頂く予定だったのですが、後半途中でYAMAPの春山さんが提言した話がとんでもなく面白くて、事前の段取りは無視して、春山さんが提言した話を中心に進めました。

春山さんが提言してくれた話は、2020年12月に僕が企画に関わった「Pokemon GO」や「Ingress」を作ったNianticの川島さんに登壇頂いたイベントで話したテーマでもありました。イベントには登壇者の宮田さんと大森さんも参加していたので、スムーズに切り替えることができましたし、三島さんも柔軟に対応してくださいました。

今回イベントやってみて、改めてYAMAP春山さんの凄さを思い知らされました。視座が高く、視野も広く、視点も他の人と違う。トークを進めながらmiroでチャートを書いて、分かりやすく説明してくれた春山さんは本当に凄い。春山さんのお話の方が面白いと思いつつ、自分が引き出した感じがしなくて、ちょっと悔しさもありました。

そして、僕の拙い進行に上手く対応してくださった、宮田さん、大森さん、三島さん、春山さん、本当にありがとうございました。参加した皆様に、少しでも登壇者の魅力が伝わったなら幸いです。

セッション終了後にアフタートークパーティーを開催

終了後にはclubhouseでアフタートークパーティーを開催。東北風土マラソンのFounderなど様々な人にスピーカーとして入って頂きましたが、個人的に面白かったのは、実業団ランナーのヤクルトの小椋裕介選手のStravaの使い方です。

小椋選手はStravaのProユーザーで、Stravaに練習のデータも、試合のデータも公開しているので、ハーフマラソン日本記録を出した丸亀国際ハーフマラソンの記録もStravaで確認することができます。しかも、1kmごとのスプリット、心拍数といった数字も(参考値ですが)確認できます。つまり、プロの凄さをデータで体感することができる、というわけです。

小椋選手の使い方が面白いと話していたら、途中からまさかのご本人が参加。せっかくなのでStravaの使い方について質問したところ、とても興味深い回答が。トレバー・バウアーの話にも通じる話だったので、基調講演を観てもらおうとTwitterのDMで連絡を。同じくclubhouseに参加していたプレス工業の山田選手にもトレバー・バウアーの話を聞いてもらうことに。予想通り面白かったみたいです。

オンラインでも賑わいを作り出した副音声

バーチャルレースのセッション後にも活用しましたが、イベントに思わぬ活気をもたらしたのが「副音声」です。当初YouTubeとFacebook Liveでやろうと思っていたのですが、急遽clubhouseでも実施することに。YouTubeは森永さんと金沢さんと西原、clubhouseは石井宏司さんという担当割で、イベント開始から8時間(!)の副音声をやりました。他のイベントでもあまり例がありませんし、まぁスポーツのカンファレンスでは前代未聞でしょう。

途中音声が聞き取りずらかったりと、いくつかトラブルはありましたが、副音声を開催していたことで、様々な人が会話に加わってくださり、大いに盛り上がりました。SAJはいつもセッションより、廊下や懇親会で交わされる何気ない雑談が面白いのですが、オンラインでも少しは雑談する場所を作れたのではないかと思います。トレバー・バウアーのセッション中には、参加していたサントリーサンゴリアスの須藤さんにこんな質問をしたり出来るのも、副音声だからこそ。

僕も副音声に参加し、午前中に森永真弓さんと2人で副音声に参加。森永さんは本当に頭が良くて、どんな分野も話せる凄い人なので、話しているこちらが勉強になることばかり。今回も勉強になりました。

そして、この副音声が思わぬ効果をもたらしました。Twitterや副音声の内容が気になったのか、イベント開催中も、イベント終了後も、チケットが売れ続けたのです。イベント開始前は300枚前後だったのですが(それでも凄い数字です)、なんとイベント開始前後からチケットが再び売れ始め、イベント終了した後も売れ続け、イベント当日深夜には、380枚を超える枚数に。なんとイベント開始中にチケットが80枚以上も売れたのです。

Keynoteの視聴者数が180名前後だったことを考えると、Keynoteに参加した倍の人たちがアーカイブの動画を目当てにチケットを購入してくれたことになります。本当に感謝です。SAJはこうした熱いファンに支えられているイベントなんだなぁという思いを強くした出来事でもありました。

それと同時に、オンラインイベントだから出来ることもある、という思いももちました。オンラインだからこそ、イベント開催中にチケットを買って、そのまま参加できるし、見逃したセッションが観たいと思ったら、アーカイブ目当てにチケットを購入することができる。オンラインイベントなので、撮って出しすれば、終了直後からアーカイブを閲覧できる。オンラインイベントだからこそ出来ることを、今回のSAJで教えてもらった気がします。

ただ、こういうことが出来るのも、コンテンツが面白かったおかげです。マーケティングではなく、あくまで「自分たちがやりたいことをやる」というSAJらしい作り方をオンラインでも貫いた結果、上手くいったのではないかと思います。だって、本セッションの配信より、副音声の配信の議論のほうが、実行委員の間では白熱しましたから。どんだけ遊びが好きなんだ、という。

今回もグラフィックレコーディングが大活躍

そして、今回もグラフィックレコーディングが活躍しました。今回はオンラインということもあり、SAJ2019同様に全セッションをカバーするのではなく、3セッションのみでしたが、特徴あるセッションをカバーできたのではないかと思っています。インフォバーン・グラフィックレコーディング部の川田さん、田中さん、岩崎さん、改めてありがとうございました。

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(3枚とも©JSAA / インフォバーン・グラフィックレコーディング部)

追記:トレバー・バウアーのセッションのグラフィックレコーディングは、なんと日経電子版で紹介されました。トレバー・バウアーもグラフィックレコーディングを確認してくれたそうです。

カンファレンスの内容をグラフィックレコーディングで表現したもの。バウアーにも送ると「信じられない」と感心していた

嬉しいなぁ。サイ・ヤング賞投手までグラフィックレコーディングが届きました。

素晴らしい配信環境を提供してくれたnote place

最後に今回配信場所を提供してくれたnoteの徳力さん、藤里さん、配信をサポートしてくれた玉置さん、田中さんに感謝を申し上げたいと思います。note様のご協力がなければ、こんな素晴らしいオンラインイベントにはなりませんでした。

note placeを見学したとき、正直SAJの実行委員と事務局のメンバーは、ここまで大掛かりに実施するオンライン配信を想定していませんでした。小さな規模のオンライン配信に慣れていたので、場所だけ借りるくらいのイメージでいたと思います。

ところが、note側が準備していたのは、noteがこれまで実施してきたオンラインイベントと同じクオリティでのオンライン配信。実行委員と事務局のメンバーは「話が違う(良い意味で)」「そこまでやらなくてもいいです」と思ったはずですが、そんなこと口が裂けても言えません。さも自分たちも考えていたかのように振る舞い、結果的に大きなトラブルなく、素晴らしいイベント配信を実施することができました。

note placeはオンラインの配信にも対応した機材と場所が揃った、素晴らしい配信スペースです。こういう活用方法がある、ということを伝えるよい事例になったのであれば幸いです。

そして、SAJ2021に参加した方は、ぜひnoteで感想を書いてもらえたら嬉しいです。

とてもインターネット的なイベントになったSAJ2021

SAJ2021を振り返って、noteの徳力さんが代表理事の渡辺さんに語っていた言葉がとても印象に残っています。

「とてもインターネット的なイベントだった」

徳力さんがどんなところを「インターネット的」とおっしゃってくださったのかはいつか詳しく伺ってみたいのですが、こういってもらえるイベントの運営に関われて、とてもとても嬉しいです。

なお、イベントのチケットはアーカイブ配信分を2月28日まで販売中です。気になった方はぜひこの機会にお買い求めください。


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