見出し画像

「福山雅治の音へのこだわり」と3月26日の日記

今日はこんな話を。

福山雅治という人物は、とてもとても音にこだわるミュージシャンであることは、あまり知られていない。どのくらい音にこだわるかというと、ミュージシャンはレコーディングの時に、リズムを取るために「ドンカマ」とか「クリック」と呼ばれるガイド音を聴きながら演奏することがあるのだが、福山はこの「クリック」を曲に合わせて自分で作る。もちろん、クリックは音源には残らない。でも福山は自分で作る。

山下達郎もクリック作りにこだわると聞いたことがあるけど、福山もこだわる人だということは、あまり知られていない。

福山の音楽の作り方は、とても時間がかかる作り方をしている。まずは1人で主要なパートを全部作ってみるからだ。自分で作るときも、編集をしながら、小節ごとに良し悪しを検証しながら作っているので、とてもとても時間がかかる。バンドで一発とか、デモをさっとつくって、みたいな作り方をしていない。

出発点としては、まず思い浮かんだメロディをギターで弾き語りしてボイス・レコーダーに録音する。メロディのラフ・スケッチです。その後、曲全体のイメージが見えたらエンジニアの方に来ていただいて、Pro Toolsにアコースティック・ギターやボーカルを録っていく。とりあえずワンコーラスだけとかでもよくて、録ったものを張り付けて2コーラス目にして、間奏的な部分を8小節なら8小節、暫定で録って落ちサビも入れて、というようにPro Tools上でコラージュして構成していく。楽曲構成が概ね決まったら、エレキギターかピアノのコード・バッキングを録って、次にドラム、ベース、ブラスやストリングスという順番で構築していきます。
(サウンドレコーディングインタビューより抜粋)

福山は楽曲を構築していくにあたって、ドラム、ベース、ギター、ピアノのコードパッキングは自分で演奏するのだが、有名な「虹」という曲のドラムは、福山自らが叩いたドラムをProToolsで切り張りして作られていることを、僕はこのインタビューで初めて知った。あの独特の、変に軽く、変にずれているドラムのグルーヴは試行錯誤の末に生み出されているのだ。

このインタビューで僕が面白いと思ったのは、福山が最新の音楽や音作りにとても敏感であることが分かったからだ。

今回は、生ドラムとサンプルを共存させました。レコーディング中はSpliceにハマりましたね。
(中略)
(打ち込みは)NATIVE INSTRUMENTS KompleteやSpliceのサンプルを使って、自分の手で打ち込んでいます。

僕は福山からNATIVE INSTRUMENTS KompleteやSpliceという単語が出てきたことにびっくりした。

NATIVE INSTRUMENTS KompleteSpliceもサンプル音源をWeb上でダウンロードできるサービスで、例えばアリシア・キーズのピアノの音をダウンロードしようと思ったら、ダウンロードできてしまう。

余談ですがが、J.Coleの「Middle Child」という曲は、「Tracklib」というサービスのサンプル=1973年に発表されたフィリーソウル曲のホーンセクションを使い、「Tracklib」を経由して500ドルで正式なライセンスを取得して使用しているそうです。

世界の音楽はいまやサンプル音源全盛期で、日本のシティミュージックの音源が世界中で使われているという話を聞いたことがある。

僕が凄いと思ったのは、福山もこうした現在の音楽の状況をきちんと把握して、自分の音楽をどう打ち出すか、試行錯誤していることだ。自分はこれしかできないとか、自分は生音しかやらない、という考えは一切ないのだ。

福山というミュージシャンは、いま鳴らすならどういう音楽がよいのか、ということに徹底的にこだわる人なので、とにかく曲作りに時間がかかる。「5年モノ」というアルバムを作ったこともあるが、近年アルバムのリリースが5年おき。俳優の仕事が原因だと思う人もいるかもしれないけど、僕は音への徹底したこだわりが、リリースが遅い理由だと思う。

ここまで時間をかけて作るミュージシャンは、山下達郎や、サザンオールスターズなど、一握りのミュージシャンのみだ。でも福山というミュージシャンは、音へのマニアックなこだわりをあまり公には語ってこなかった。このインタビューはあまり表にでていないが、福山という人物の本質が描かれていてとっても面白いインタビューだった。読んだことがない人は、ぜひ読んでみて欲しい。

ここからは今日の日記を書いています。

ここから先は

386字
スポーツのコラムにプラスして、日記を書くことにしました。日記には、お会いしている人の話、プロジェクトの話、普段の生活など、表に書けない話を書こうと思います。

Jリーグ、海外サッカー、ランニング、時事ネタなど、自分が普段楽しんでいるスポーツの楽しみ方について、ちょっと表で書けない話も含めて、4,0…

サポートと激励や感想メッセージありがとうございます! サポートで得た収入は、書籍の購入や他の人へのサポート、次回の旅の費用に使わせて頂きます!