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書評「エンジニアが明かすF1の世界」(小松 礼雄)

最近は久しくF1を観ていなかったけど、2019年の日本GPはひょんなことがきっかけでF1を観に行く予定だった。予定だったと書いたのは、日本中に大きな被害をもたらした台風のせいで、交通機関に影響が出てしまい、キャンセルせざるを得なくなってしまったのだ。

最近のF1のことをよく知らないので、行くなら下調べしなくてはと考えていた時、以前Amazonのおすすめで紹介されていて、ずっと気になっていた本を読んでみることにしたのですが、これが面白かった。面白かったので、ご紹介します。

本書「エンジニアが明かすF1の世界」は、ハースF1チームでチーフレースエンジニアを務める著者が、エンジニア視点でF1というレース、セッティング、レース解析、タイヤ、レースの戦略などについて余すことなく語った1冊です。

F1のファンが待ち望んでいた内容

F1についての書籍は何度も読んだことがありますが、ドライバーの視点だったり、メーカーの視点だったりするのですが、F1ファンが知りたかった「セッティング」「タイヤ」「レースの戦略」について、エンジニアの視点で語られた書籍はありませんでした。したがって、本書はF1のファンが待ち望んでいた内容に仕上がっていると思います。

スポーツの分析は究極的にはF1と同じになる

本書をおすすめしたい理由は、F1ファンにとっておすすめだからではなく、スポーツのファン、特に僕がサポートし続けてきたスポーツの分析に興味がある人にこそ読んでもらいたいからです。

僕はスポーツの分析は、究極的にはF1と同じ領域まで進化すると思っています。プレーヤーやチームはレースごとにセッティングを変え、行動をデータで計測し、相手チームの行動も予測した上でチームはリアルタイムで対策を考え、プレーヤーに指示を出す。僕はサッカー選手やランナーがイヤホンをつけてプレーする時代は、そう遠い未来じゃないなとAirPod Proが登場した時に感じました。

そんな未来を、車という道具を使って体現しているのが、F1の世界だと思います。SAJ2019に佐藤琢磨さんに登壇頂いたのも、レーシングカーの分析の世界がスポーツの分析で進んでいると思ったからです(スポンサードセッションだったので、もっときちんと組み立てられなかったのが反省)。

本書は多くのスポーツファンが楽しめる内容になっていると思います。ぜひ読んでみてください。


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