二入月 缶

なにごとか書きます。

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  • エッセイ

    二入月が書いたものの中で、小説でも製作記録でもない文章をまとめたものです。

最近の記事

キングヘイローと運命のこと

 私は大変な飽き性である。  中でもゲームに関してはそれがひどい。所謂ソシャゲなど、長く続けられた試しがほとんどない。一か月残っていたらかなりのもの、一週間残っていればいい方で、大抵は三日くらいでアンインストールする。ビッグコンテンツであろうが、凝った作りをしていようが、関係ない。一通りの機能を触り終えてしまって、このゲームを再び開く理由がない、と思ったら、もう終わりだ。  だから、私のスマートフォンに数年ウマ娘のアイコンが表示され続けているのは、いっそ奇妙と言ってもよい。

    • オチが付けらんねえ

       エッセイを書く上で一番難しいのはオチの付け方だと思う。  小説は別にいい。主人公が問題を抱えていて、それが解決して、最後にその心象に相応しい描写が入ったらいいのだから、大したことはない。最後のオチよりもどう解決するのかのほうが余程難しい。  感想文などの主張することが決まっている文章も別にいい。最後にもう一度結論を書けば取り敢えずの格好は付く。本当はエッセイもそのようにして書くべきなのかもしれないのだが、私は『すてきなあなたに』のような思い出話をするみたいなエッセイが好き

      • お嬢様の紅茶豚

         『お嬢様生活復習講座』という本がある。  これは題名の通り、俗にお嬢様と呼ばれる人々の生活習慣を紹介した本である。ここでのお嬢様というのは成金の娘のことではなく代々伝統を受け継いできた名家の娘のことを指す。本書の主題は、気品を育むのは丁寧な生活と良いものを適切に扱う経験であって、財産ではない、ということだ。  さて、この本では、それほど真似するのが難しくない習慣もいくらか紹介されている。普段は香水を体ではなくてハンカチに吹いておくとか、アクセサリーなしに黒い服は着ないとか

        • いとしのビーフシチュー

           コメダ珈琲店をご存じだろうか。  名古屋発祥のフルサービス型の喫茶店チェーンであり、気前のいいサイズの料理を提供していることで有名である。私が高校生だった頃には東海地方を中心にかなり限定的な地域にのみ存在したように思うのだが、先ほど確認してみたら既に全国展開していた。私の記憶が正しければ、相当立派な成長ぶりである。すげーぜ。  さて、私は生まれも育ちも愛知県だが、実を言うと幼少の頃にはコメダ珈琲店をそれほど身近には感じていなかった。  まず、住まいが愛知県の中でも辺境にあ

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        • エッセイ
          4本

        記事

          キャビア・ド・オーベルジーヌのこと

           茄子が好きだ。旨いからである。  何にしてもある程度旨いが、最も活かすべき特徴は身のとろりとした食感だと思う。揚げるとうっとりする程滑らかになる。ただこれはカロリーの面で懸念がある。蒸してはどうか。いや、それよりは焼き茄子の方がよいだろう。皮の香ばしさの移った、むにゅんと甘い身。無上である。  とはいえ、私は焼き茄子をそれほど作らない。いけないのは時間がかかることだ。旨い焼き茄子の為には、じっくりと焼く時間と、しっかりと冷やす時間、その両方が必要だ。  せっかちな私として

          キャビア・ド・オーベルジーヌのこと