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24卒文系院生、就活を語る

 誇大広告的タイトル。だが、文系院生として就活の体験記を書く!文系院生をリプリゼントすることが妥当だとは思わないが、ロールモデルが確立されていないので、経験を交えながら文系院生の就活について語る。

0. はじめに

 はじめまして。わたしは、某大学大学院で人文学系の研究室に在籍するM2の大学院生(24卒)である。アンチ合格体験記(生存者バイアス)なので、別に武勇伝を述べたいわけではない。ロールモデルの少なさに課題意識を持っているので、経験を書こうと思った次第である。就活のハウトゥー云々については明るくないため、就活システムの話は薄め。ご容赦いただきたい。

 簡単に自己紹介をしよう。研究内容をざっくりいえば、コロニアリズム/ポストコロニアリズムというところか。テクストを読み解くことが、主な仕事である。まったく数字を扱わない専門領域であり、ビジネスとは無縁。それどころか、既存のシステムを疑うタイプの研究を行っているので、就職活動と相性が悪いといえば悪かったのかもしれない。

 とはいえ、学部生時代はサークルに注力していた時期もあったので、いわゆる「ガクチカ」はサークル活動をメインに答えていた。後述するが、研究が個人で行う活動であるがゆえに、うまくバランスをとる必要があったように思う。このあたりの匙加減は難しかった。

 志望業界は、結構絞っていたかも。新自由主義の権化のような業界は肌に合わず、CSRとWLBを重視して就職活動を行った。系統でいえば、日系大手志望、文系院生の多いコンサルやマスコミ(とりわけ人文学系院生は出版行きがち)は見ていなかったので、往々にして珍しがられた。(なお、教員免許を取得していないので、当然ながら、学校教員は考えていなかった。)

 学部3年次に一度就活を行い、再度M1の5月ごろから就活を開始した。大学院に行った理由は、研究テーマの研究意義を感じており、学部3年次から徐々に研究への情熱が湧いてきたから。(詳細については後述。)就活した理由は、ありていにいえば、将来設計への不安等である。それでも就職という決断には非常に納得がいっている。

本記事は、就活か大学院進学かで悩む文系の学部3年生ないし就職活動を控えた文系のM1を読者として想定している。私自身の属性から、「文系院生」という主語が「人文学大学院生」に寄っている記述も散見されるが、ご容赦いただきたい。(あくまでも、私の記録という意味で記事を書いているので、必要な箇所だけお読みいただければ幸いです。)

1. 文系院生は就職に有利か不利か

結論からいえば、ケースバイケース。でも…

この類の話は、正直なところ、個人の特性と志望業界による。そもそも有利不利という観点で、白黒つける議論は不毛な議論であるとは思う。しかし、進路を決めるためには重要なファクターであることは間違いない。あまりにもビハインドが大きいのであれば、院進学をあきらめる人も多いだろう。学部3年次の私も、文系院生の就活について、躍起になって調べていたが、あまりにも情報が少なかった。だから進学を渋る人も多いのだろう。

わたし個人の見解としては、どちらの側面もあると考えている。一般論では、文系院生が優遇されることはないとか、不利になるとか、不安を煽ることばかり言われているように思う。今日も、街中で「文系を選ぶことは不安」という声が聞こえてきた。まぁ、そんな状況を踏まえれば、文系で大学院に行くなんて、茨の道だと考えてしまうのが自然であろう。茨の道か…。

個人の意見ではあるが、博士前期課程在籍時の就職は大して不利益な状況は起こらないように思う。それでも留意しておきたいことはあるので、院進のメリットとデメリット(修了後、就職する場合)を順に述べていこう。

メリット① 課題発見力&発信力が強みとなる

良くも悪くも、文系院生は目立つ存在である。爪痕残しゲームといっても過言ではない現況の就職市場においては、差別化できる要素があれば、好ましいといえよう。(もちろん、逆も然りで、文系院生という属性を「アクの強さ」として捉えられることもあったが)

さて、研究バックグラウンドを根拠に述べていた強みを紹介しよう。これはわたしに限らず、多くの文系院生に共通することではないかと思うため、具体的に挙げる。(もちろん、これは院生全体にいえることかもしれないが、便宜上、文系院生の強みとして紹介している。)文系院生として述べることができる強みは2つあると考える。1つは課題発見力。2つは発信力。もちろん、わたしの能力を過信するわけはないが、大学入学以前と比較して鍛え上げられたと思うスキルが上記の2つである。

 課題発見力は、研究において常に要求される能力だと思う。翻って、研究をしていれば、課題発見力を身につけられるといってもよいだろう。膨大な先行研究・テクストを読み解き、意義のある問いを設定するのは、容易いことではない。最も時間を割いたのは、課題を設定することである。上野千鶴子(2018)『情報生産者になる』(ちくま新書)にある通り、「だから何?」と言われる問いは研究の問いとしては成立しない。問いを立てるためには、膨大な調査を必要とする。この観点でいえば、強みとして課題発見力を述べることが可能である。

 続いて、発信力。発表のレジュメ・スライドであれ論文であれ、研究成果のアウトプットは要請されている。私自身の経験からいえば、インターンの成果物アウトプットの過程で、普段の資料作成で身についた発信力が活かされたように思う。このnoteを見れば分かるように、群を抜いて発信力があるかといわれればそうではない。それでも、アピールできるポイントであったのは確かである。実際、研究概要について説明したところ、「抽象的な概念をわかりやすくできる。この点は営業に向いている」と高評価をいただいた。

 また、ゼミ等での議論経験も活きてくるだろう。選考過程でのグループディスカッションやインターンシップでのグループワークでは、論点の整理が上手だというフィードバックも受けた。

メリット② 学業重視の潮流にマッチする

 近年、学業重視の企業も増えているらしい。エントリー時に履修履歴や成績証明書を送付させる企業も多かった。面接時に学業について問われることも多く、どれだけ学問に向き合ったのか?という視点も重要視されるようである。 
 この点に関しては、文系院生への追い風となっているだろう。大多数が就職する中で院進したことは、真摯に学問と向き合ったことの証左となるだろう。

デメリット① 文系院生のステレオタイプに基づいて判断されがち

 選考に落とされた要因にわたしの準備不足・能力不足、人物像のミスマッチ等が挙げられるため、文系院生という属性がどれだけ災いしたのかわからない。それでも、明らかに文系院生というラベル下で判断された場面もあったので、具体的に紹介していこう。

 前提として、その企業に文系院生の採用事例がほとんど存在しなかったことが要因のように思う。ロールモデルがなければ、採用を渋ってしまうのもわかるし、ステレオタイプから人柄を推測せざるを得ないのもわかる。だからこそ、就活版の四季報等を参照し、過去の採用実績を確認したり、社員座談会に院生バックグラウンドを持つ人が登壇するか確認したりするのも大切である。

 なお、オフィシャルには「院生という属性が不利益に働くことはありません」と言われることが多いため、採用担当に質問するのはあまりアテにならない。(OB・OG訪問時に「文系で修士卒の人はいるか?」と聞いてみるのも一つの手かもしれない。まぁ、怪訝そうな反応をされそうではあるが。)

実際に私がどのような質問をされたのか、可能な範囲で紹介していこう。

投げかけられた問い:「文系院生って気難しくない?」

 某メーカーの面接で、このような問いが投げられた。どうやら研究概要の書き方を見て(なぜか研究概要を求められた)、気難しそうと思ったらしい。このような反応は想定範囲内だったので、他のエピソードでは「他人と協力した経験」を全面に押し出した。
 それでも、「書類を見る限り、気難しそうな人に見えますね~」と言われた。親しい人に聞いても、私の人柄を「気難しい」と言う人はいなかったので、面食らってしまった。

論文調でエントリーシートを書いてしまったことも要因だと思ったので、 文体を変更した。「~である」ではなく、「~だ」で表現し、時に体言止めを使い、堅くない文体(それでいて、フランクではない文体)で実績を書いた。

 この件を見ればわかるように、一定数の人が「文系院生は気難しい」と思っているようなので、エントリーシートや面接ではバランスを取ったほうがよいのかもしれない。どう考えたって学生時代注力したことは研究だが、それではステレオタイプに基づく人物像を払拭できない。

 こんなことを書きたくないが、選考を通ることを目的にするならば、自己像をうまく編集しなければならない。ステレオタイプをうまく裏切ることができたら、評価が高くなる可能性もあるのだから。

 余談になるが、今までの「偏見」シリーズでいえば、「理不尽なことへの耐性がなさそう」「「正しさ」がすべてだと思ってそう」「頭で考え過ぎちゃうよね~」等のコメントをもらった。(もちろん、すべて否定することはできない…。)適性検査の結果から判断なのかもしれないが、修辞として「文系で~院生だから~」の文句がついていたので、ここに記しておく。そこに因果関係はない…。どうか!ロールモデルが今以上に確立されますように!と祈る。

デメリット② 学部生以上に採用するメリットを示す必要がある

 修士卒だと、給与水準が高い。採用コストが高い以上、それに見合う能力値を示す必要がある。実際、このような問われ方をされたことがある。

「文系院生ってマイノリティーだと思います。学部生ばかりのなかで、あなたを採用する価値を示してほしいです」

 問いの理屈を理解できなかったので、聞き返した。「文系院生を「あえて」採用するメリットを答える、という認識で合っていますか?」と聞いたところ、その認識で合っていたらしい。まったくだ!と思いながら、前述の強みを答えた。案の定、当該企業の選考には落ちた。

 さすが極端な例であるとはいえ、この手の質問はよくされた。特別な知識やスキルを必要としない事務系総合職採用で文系院生という属性がマイナスに作用することはある

 振り返ってみれば、そんなことを問う企業に歓迎されていないことは明らかだし、入っても苦労するだけなので、落とされてよかったと思う。業界や企業・団体との相性もある。こんなことを聞いてこないところもたくさんあった。それでも、やはり文系院生である以上、この類の問いは想定しておいたほうがよいのかもしれない。

2. 進路決定に際し、やっておきたいこと

 ここでは、主に学部3年生に向けて、進路決定に際して必要なことを紹介する。就活界隈においては、「自己分析」というらしいが、正直あれは回り道している感じが否めない。就活のフォーマットに則った「自己分析」ではなく、多角的に判断材料を集めておくと、納得のいく決断ができるだろう。

そもそも、院進と迷うくらいであれば、進学しちゃったほうがいいかもしれない。(生存者バイアス)。とはいえ、研究と就活を両立することは大変だったので、安易におすすめできないのも事実である。わたしは研究対象への情熱があったので、なんとなかなった節があるので、このあたりについて再考しておくとよい。

研究テーマを固めておく

 大学院に入って後悔している人も少なくない。特に、「研究テーマ」にそれほど興味を持てない指導教員との相性が悪いという理由で後悔する人が多いようである。その点でいえば、今のうちに研究を進めておくと、解決できる可能性も高くなる。 

 私の場合、学部と同じ研究室に進学したため、そのあたりのギャップはなかった。学部4年の延長上で、研究を行っているので、学部時代に研究テーマを固めておいたのがよかったのだろう。あくまでもテクスト分析を主眼に置いた研究であるため、特別な装置も必要なければ、聞き取り調査も必要ないので、学部3年のうちには研究テーマを確定できていたような気がする。このあたりのスケジュール感については、研究の特性上異なってくるので、身近な先輩を頼ることをおすすめしたい。

 研究テーマがある程度見えてきたら、現在所属する大学で研究を続けられそうか?外部進学の必要はあるか?などを考えておくとよいかもしれない。なお、院進については、石黒圭(2021)『文系研究者になる――「研究する人生」を歩むためのガイドブック」(研究社)を参照されたい。

就活してみる

院進するにせよ、M1のうちから就活が始まるので、学部時代に就職活動を一回経験しておくとよいかもしれない。複数日にわたって実施されるインターンは実質早期選考である場合も多いため、あまり本腰入れて就活したくなければ1Dayインターン+説明会を見ておくだけでもよいのかもしれない。

学部3年のうちに、就活の方法(エントリーシートやグループディスカッション、面接)を学んでおくと、M1の就活がかなり楽になる。できるだけ、学部時代に就活の基本的な部分を学んでおくと、あとが楽になる。

ちなみに、SPIや玉手箱等の適性検査は地味に鬼門である。特に、数字を使わないタイプの研究を行う人は、できるだけ早めに非言語の対策をやっておくとよい。研究室で適性検査対策やっている時ほど虚無な時間はないので…。学部時代に対策しておけば、かなり楽。

就活+院進のスケジュール

 就活か院進か?で迷うとはいえ、デッドラインなるものは一応存在する。
学部3年から4年にかけて日系企業を中心に(ベンチャー除く)就活する場合、だいたいこうだ。学部3年6月にインターンシップ情報が解禁され、7月~9月に夏インターン、9月~2月が秋冬インターン、3月に本選考情報が解禁、という流れである。早期選考などを経なければ、多くの場合、学部4年次の4月~6月に内々定が出る。公務員試験はさらに後の日程になる。

 院試に関しては学部4年の7~9月に夏試験、1~2月に冬試験が行われるケースが多い。内定辞退した上で院進する人もいる。院進に関しては結論出すまで時間をかけられるので、卒業論文の進捗度合いと相談しつつ、決めてみるのもアリかもしれない。 

 逆に、院進を考えていたけれど、やっぱり就職しよう!という場合、決断時期によってはキツい戦いを強いられる。学部3年次の3月にエントリーシートの締め切りが集中するため、この時期を逃すと、キツイかもしれない。もちろん、業界によっては4~6月に募集をかけるところもあるし、通年採用が増えているとはいえ、日系大手を目指すならば、早めに動いておくことに越したことはない。(その場合、あえて1年卒業時期を遅らせる、というような対処法もあるかもしれない。)
 したがって、私の中での結論はこう。院進と迷ったとしても、学部3年次には就活をやっておくとよい。

3. わたしの就活体験記

 このパートについては、個別性の高いトピックとなっているため、読み飛ばしてもらっても構わない。

スケジュールについて

まず、進路決定プロセスについて時系列順に記していく。

学部3年 7月(2020)  就活開始
就活ガチ勢の友人らの話を聞き、22卒として就活を始める。「ガクチカ」「ES」などの就活用語を学ぶ。8月ごろには志望業界をなんとなく決めていた気がする。

学部3年 8月~12月(2020) インターン参加
メーカーやインフラ業界、教育業界を中心にインターンに参加。インターンに参加した某インフラ企業から早期選考の案内が届くも、その企業で働く姿が全くイメージできず、選考を辞退する。

学部3年 12月(2020)院進決意
学部3年の夏ごろから、研究への意欲が高まる。コロナ禍の自粛期間中になんとなく始めた研究が楽しかったから。指導教員と面談した際、「研究を心の底から楽しんでいることが文章に滲んでいます」と言われ、院進を決意し、マイナビやリクナビ等の各種就活サイトを退会した。

学部4年 夏~秋(2021)院試
同じ研究室に進学したため、研究室訪問といったプロセスはなかった。卒業論文の計画を春頃に考え、試行錯誤しながら9月ごろに構成を決定。同時に、試験対策として過去問を解いたり、理論を勉強したりした。口頭試験において、試験の出来が悪かったことを告げられるも、なんとか合格する。

学部4年12月~(2021)就活再開(?)
知り合いが紹介してくれた某就活支援団体のサポートを受ける。メンター制度があったので、メンターと面談し、今後の方向性を決めた。面談以外、就活関連は特に何もしなかった。しいて言うなら、学部卒業くらいから就活講座を受けていた。

学部4年1月(2022) 卒論提出
卒論を提出。この後の口頭試問において、このテーマを継続して研究することを宣言する。

修士1年4月(2022) 大学院入学&就活開始
研究仲間が増えて楽しかった。メガベンチャーのサマーインターンに応募したが、面接開始5秒で「根本的に、思考様式がまったく
合わない…」となる。

修士1年5月(2022) 就活準備
友人に他己分析してもらった。

修士1年6月~7月(2022) インターン応募
学部時代の反省を活かし、業界を絞らずに就活を行うことに。しかし、「思考の方法がミスマッチだ…」と思う業界も多く、結局、学部時代と同じ業界で就活することになる。結構落ちてた気がする。まぁサマーは落ちるもんでしょ!と割り切って、研究にもそれなりに注力していた。

修士1年 夏休み インターン参加&研究
いくつかのインターンに参加した。研究の発表会もあったので、比重としては、5:5の割合で就活と研究に勤しんだ。

修士1年 秋~冬 就活を休む
授業+研究+研究室運営、課外活動が大変だったので、就活はいったんお休み。学部時代に就活しておいた貯金が活きたように思う。

修士1年 2月~3月(2023) 説明会に応募しまくる
期末の課題が出し終わると同時に、就活に完全切り替え。研究に関しては、先行研究を読んだり、関連する書籍を読む程度。とにかく説明会に参加しまくっていた。3月の情報解禁後は、エントリーシートを書きまくってた。ある程度、エントリーシートを出してしまえば、研究の時間は確保できた。

修士2年 4月~5月(2023)面接ラッシュ
面接ラッシュ。面接の都合上、研究室に顔が出せず、周囲の人から心配される。ありがたいことに、ここで終活。

インターンは参加すべきか?→参加した方がよい!

 私見を述べるので、「体験記」中に組み込むことにする。就活をやって思ったのだが、ステレオタイプから判断されたくなければ、インターンは参加したほうがよいという結論に落ち着いた。インターンが学業を蝕むこともままあるので、こんなことは言いたくない。それでも、他者へのふるまいを踏まえて評価してくれるインターンは、ミスマッチを防ぐ意味で、大切であるように思う。

先述した「文系院生って気難しいですよね!」問題は、インターンに参加すれば解消できるかもしれない。属性に対する先入観を超えて判断してもらうためには、それなりの期間のパフォーマンスから判断してもらったほうがよいし、面接では組織内でのふるまいを見てもらうことはできない。

加えて、インターン参加者特別イベントと称して、少人数の座談会を開催してくれたり、早期選考枠で選考してくれる場合もある。私の知り合いの文系院生は、早期選考で内定をもらっていた人が多いような気がする。

 とはいえ、わたしはそれほど熱心にインターン参加をしていたわけではない。授業や研究を犠牲にしてインターンに参加するのは違うな~と思っていたので、長期休みに開催されるインターンを中心に参加していたので、当然数は少ないことになる。早期選考枠がほとんどないなかで3月1日を迎えた。

 研究との兼ね合いは、個人によって異なると思うし、業界の特性にもよると思う。わたしの志望業界は3月以降の本選考での採用数が多かったから、それほどインターンの比重は高くなかったが、コンサル・インフラあたりを見ていた友人は総じてインターンに参加しまくっていた。

 個人的には、志望度の高い企業の複数DAYSインターンに数社参加するので十分なような気もする。たくさんの企業を!と思うと、研究を犠牲にすることになるので、取捨選択が肝要である。

 ちなみに、1DAYインターンに関しては、新卒採用ページやYouTubeにアップロードされている企業説明動画を見ればわかるようなことを紹介するものも多い。志望度が高くなければ、参加しなくてもいいと思う。(選考におけるインターンの比重については、ワンキャリアなどのサイトを参照しておくとよい。)

研究への言及について

 理系院生ではないので、研究内容よりもサークルでの活動を中心に自己PRを行った。個人的な感触として、1人で行う研究よりも、複数人で行う活動のほうが反応が良かった。私が見ていた業界においては、クリティカルシンキングよりもチームワークが重視されていたので、必然的にサークル活動を「ガクチカ」として回答していた。

 日系大手に応募するならば、特に内容が指定されていない限り、いわゆる「ガクチカ」は他者との関わりにおけるエピソードを記したほうが良いと思う。ただし、「ガクチカ」に加えて「ご自身の強み」や「自己PR」などの質問がなされる場合は、研究について書いたほうがいいかもしれない。

 やはり、院進したことで得られた力については言及した方がいいし、その能力を買ってくれるところに入ったほうが入社後のミスマッチを防げるように思う。

4. おわりに

 就職市場において、有象無象の就活支援コンテンツがあり、多くが就活生の不安を煽っている。私が学部3年次に読んだ就活指南本には、文学部の学生に対する罵詈雑言が書かれており、非常に滅入っていた。ここで気に留めておいてほしいことは、情報の発信者は誰か?ということだ。不安を煽って何をしたいのか?結論は明白であろう。この手の情報発信者のバックグラウンドは偏っているからこそ、異なる属性の人たちからアドバイスをもらうとよいのかもしれない。

 当然ながら、本記事も私個人の属性に依存した記事である。「文系院生」と宣いつつ、「人文学」かつ文学専攻の学生から発信された記事だ。より精度の高い情報を得るためには、研究室の先輩に話を聞くのがよいのかもしれない。私は、研究室の先輩に根掘り葉掘り進路について質問した。嫌な顔ひとつせず、明瞭に答えてくれた先輩たちには感謝してもし足りない。あの時はありがとうございました!

 最終的に決めるのは、自分である。というより、自分の直感である、と言った方がよいだろう。私は最直感で進路を決めた。ぜひ、いろんな角度から就活を捉えて、自分の考えを言葉にして、最終的には直感も頼って、納得のいく決断をしてもらえればと思う。


 なお、一つ前の記事では、人文学学生の就活に主眼を置いている。もし興味があれば、そちらも参照していただければ幸いである。

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