怖いアルバイトのお噺

世の中には働かなくてももらえるお金がある。
横になったり、普段通り社会生活送ったり、
場合によっては好き放題しながらもらえるお金。
そう、その名は治験。あたくしも昔一回やったことがある。
方法は簡単で、入院や通院しながら服薬したり、
注射やらで外部から注入するだけ。
数回の通院とちょっとした入院で、いい金額もらえるのだから、
お得感は満載かもしれない。
しかしながら、治験は怖い、安全と言われても、
金額が高くなればなるほどビビってしまう。
あたくしがやったのは天然由来成分の服薬、
まあ、大丈夫でしょうと思っていたが、
副作用がありましたとさ。
円形脱毛症、禿げてもうたのです、頭の一部が。
いやあまあ、びっくり仰天ですよ。
天然由来成分でなるんだから。
別の因子が絡んでいる可能性もあるが、
取り敢えずそれがわかった日から、
服薬中止になり、経過観察になったのだ。
この経験を踏まえ、どんなに安全でも、
怖いもんは怖くなった。
もう二度とやるまいと心に誓った。
ヤクブーツはやめろである。
あれから数年、月日は流れ、お金ほしーなー、
でも、働けねーなー、と思っている最中、
Facebookの広告で治験の斡旋が流れてきたのである。
魔が刺した、ポチってしまった、後悔はしていない、今は反芻しているだ。
しかし、世の中には治験が溢れているね。
短期から長期に至るまで、様々なカタチで治験がある。
大体選考からハジかれるのは、普段から服薬している人と、BMIが高い人。
応募することすらできない。
報酬もまだら、数万円から十万単位に至るまで。
しかし、この謝礼、
金額が大きければ大きいほど、怖くなってしまうのは前述したとおり。
天然由来成分で禿げたこの体である、
ガチ薬剤はどうなるかわかったもんじゃないでしょう。
この前、ダイレクトメールが来てびっくりしたのは、
百万越しの案件である。もちろん比較的長期。
入院して、腹から注射するものであった。
これは怖い、貞水先生の真夏の講談より怖くて仕方がない。
この治験、もっと怖いと思ったのは、
ダイレクトメールが来てから数時間後には満杯だった事実である。
みんな怖いもの知らずでお金欲しいのね。
普通に働いた方がよく稼げるだろうが、
そういうものではないらしい。
多分、多大なる時間と、その割には大したことのない労力からして、
社会的弱者が治験に応募しているのかもしれない。
普通にサラリーマンしている人には、
この拘束時間は耐えられるものではないからね。
みんな、よく応募するなぁと心から感嘆した次第。
昔、中学校の時の同級生が、大学生時代に一ヶ月入院して、
それなりの大金を得たという話を聞いたことがある。
今でもピンピンしているから、きっと大丈夫だったのであろう。
想うのは、この国に治験産業は、弱者に頼りすぎかと。
将来ある若い人材を、治験で使うとして、
万が一、億が一、事故を起こしたとしたらと考えると哀しくなる。
しかし、治験がないと薬が創られないという現実もあるんだ。
やだね、面白くありませんな。
現実とはかくも面倒臭い事実に溢れているもんで。
それでもあたくしは、できる治験をあさってて、
懲りずに新しい薬を飲みたいわけで。。。

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