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『カラマーゾフの兄弟』にも生々しく描かれている児童虐待

『カラマーゾフの兄弟』を読んだ。

読んで気づかされたのは、「児童虐待」を主要なテーマの一つとしていることだ。また、ここから「児童虐待と近代公教育との深い相関関係」も見て取れる。

『カラマーゾフの兄弟』が書かれたのは、1879年である。明治12年だ。この頃、日本でも教育勅語で公教育が始まっていたが、ロシアも似たような状況にあった。近代的な公教育が始まって、しばらく経とうとしていた。近代公教育によって、子供たちが躾けられていた時期だった。『カラマーゾフの兄弟』にも、学校に通う子供たちの描写が出てくる。

世界中で児童虐待が問題視されるようになったのは、この公教育を受けた子供たちが成人し、自分の子供をもうけるようになってからだ。彼らは、自分の子供を躾の名のもと陰惨な形でいじめた。『カラマーゾフの兄弟』で紹介されているエピソードは、5歳の女の子がうんちをしたのを報告したかったかどで、一晩中寒いトイレに閉じ込められた。その上で、うんちを顔になすりつけられたり、食べさせられたりした。それを、実の母親がしたのだ。そうした児童虐待が、当時のロシアで話題になっていた。

どうしてそういうことが起こるのか?

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