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財務省「要介護1・2は軽度者で、訪問介護・通所介護は地域支援事業へ移行を検討すべき」

*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/
*****令和4年4月14日(木)第724号*****

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財務省「要介護1・2は軽度者で、訪問介護・通所介護は地域支援事業へ移行を検討すべき」
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 財務省は4月13日、財政度制度分科会を開催し「社会保障」について議論した。この中の「介護」のついて、財務省は会議に提出した資料で「要介護1・2は軽度者」と定義し、これを前提として、主に次の3点を指摘した。

 ■1.【介護サービス提供体制の効率性の向上の必要性】=介護需要の増加に応じて、介護人材の必要数も増大するが、現役世代(担い手)が急減する我が国において、介護現場の効率性の向上を図ることなく、介護人材を確保していく選択肢は考えにくい。

 典型的な労働集約型産業である介護保険事業においては、人件費のウェイトが高いため、介護給付費の動向も効率的な人員配置を実現できるかにかかっており、このことが限られた財源のもとで、介護の現場で働く方々の処遇改善を実現するうえでも不可欠である。

 ■2.【業務の効率化と経営の大規模化・協働化】=介護の質の低下を招くことなく、むしろ質の向上を図りながら、介護現場の業務負担軽減と人員配置の効率化を実現するには、ロボット・AI・ICT等の実用化の推進などの業務効率化を進めていく必要がある。

 ■3.【軽度者へのサービスの地域支援事業への移行等】=要介護1・2への訪問介護・通所介護についても地域支援事業への移行を検討し、全国一律の基準ではなく地域の実情に合わせた多様な人材・多様な資源を活用したサービス提供を可能にすべきである。

 このうち「3」の「軽度者へのサービスの地域支援事業への移行等」では、すでに要支援1・2の人に対する訪問介護、通所介護が地域支援事業へ移行し、2018年3月末に移行が完了していることを取り上げた。

 さらに、要介護1・2の人への介護費用を分析し、全体に占める割合で「通所介護が18.9%、訪問介護が8.9%」とし、この中で特に訪問介護について「調理・掃除・洗濯等の生活援助が多い」等と指摘した。

 これを踏まえ「要介護1・2への訪問介護・通所介護についても、生活援助型サービスをはじめとして、全国一律の基準ではなく地域の実情に合わせた多様な人材・多様な資源を活用したサービス提供を可能にすることが、効果的・効率的である」等と指摘した。

◇─[後記]───────────

 「要介護1・2は軽度者」は、このところ介護報酬改定のたびに財務省が強く指摘しており、厚労省の有識者会議・介護保険部会や介護給付費分科会でも、出席した委員からは毎回、強く「反論」が出されています。

 そのうち介護保険部会は、先月(3月)24日から、次回の報酬改定に向けて本格的な議論を開始しました。財務省は「介護給付費の増加の抑制」の観点から、今後も「要介護1・2は軽度者」を主張してくるはずです。

 介護保険部会や介護給付費分科会では「介護保険制度の本質」の立場からぜひ、この点について「反論」してもらいたいと思います。

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