「鬼滅の刃」の影響でコミック・新書が伸長:店頭売上前年比調査 2020年7月【日販調べ】
日販の「店頭売上前年比調査(7月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。7月は1,721店のデータをもとに作成されています(6月は1,724店)。
「鬼滅の刃」の新刊発売の影響もあり、コミックに牽引された店頭売上前年比は103.8%と3か月連続での100%超えを記録しています。「鬼滅の刃」関連作品30点の売上は全体の売上に対し6.9%もの押上げ効果を見せています。
一方で、新型コロナウイルスが感染拡大していることなどもあり、東京都をはじめとする大都市圏では客数の減少も見られています。また、例年より短い夏休みとなった影響で夏休みドリルや課題図書の動きが鈍い状態も続いています。今後の動きに注視が必要です。
ジャンル別 前年比・構成比
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌
雑誌は前年比89.9%。
前月に続き週刊誌、ムックが苦戦を続けていますが、アイドル誌や児童向け雑誌の健闘もあり月刊誌は復調が見られます。そのほかにも、「第二波に備えよ」を特集として掲げた「文藝春秋」なども好調に動きました。
書籍
書籍は前年比98.6%。総記、文芸書、ビジネス書、専門書、新書が前年超えとなりました。
伸長率がもっとも高かったのは新書です。これは「鬼滅の刃」のノベルス版第3弾の『鬼滅の刃 風の道しるべ』の影響を受けたもの。『鬼滅の刃 しあわせの花』『鬼滅の刃 片羽の蝶』とあわせたシリーズ3点で新書ジャンルの36ポイントの押し上げ効果を見せています。
全体的に月の後半は厳しい状況になっています。新型コロナウイルスの流行再燃、夏休みの期間短縮影響などが考えられますが、そういった中でもビジネス書は1か月を通じて高い売上前年比を記録しました。在宅ワークの増加や、夜の会食の減少などが理由として考えられそうです。
コミック
コミックは前年比130.1%。「鬼滅の刃(21)」がシール付きの特装版、通常版ともに売れ続け大きく貢献しています。
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8月に入り、夏休みドリルを中心に学参の動きが良くなってきました。また、課題図書や児童読み物もベースアップしており、夏休みの店頭の光景が見えてきました。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、どのような夏の売場になるのか。引き続き見ていきます。
(日販 マーケティング部MD課 古幡瑞穂)
2020年6月の店頭売上前年比調査を見る 》
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