「キングダム」などコミックが好調を維持:店頭売上前年比調査 2020年6月【日販調べ】
日販の「店頭売上前年比調査(6月期)」が発表されました。
これは、日販取引書店におけるPOS調査店で、当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。6月は1,724店のデータをもとに作成されています(5月は1,762店)。
6月からは休業店の開店や、時短営業の中止などにより日常に近い姿が戻ってきました。巣ごもり生活の終わりがどのような影響を及ぼすのか、注意深く見守ってきましたが、店頭売上は好調に推移し、店頭売上前年比は102.6%と前年クリアとなりました。
「鬼滅の刃」関連作品が引き続き大きく貢献しています。シリーズ関連作品の売上は売上全体に対し3.9ポイントの押上げ効果となっています。書籍も好調が続いています。
ジャンル別 前年比・構成比
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌
雑誌は前年比85.2%。定期誌の発売中止、延期、ムックの点数減などが大きく影響しています。定期雑誌の発売中止は66点、ムックについては発行点数は昨年より大幅に落ち込み点数前年比で75.2%となっています。
DEAN & DELUCAレジかご買物バッグ+保冷ボトルケースが付録になった「GLOW」8月号(6月27日発売)が売上を大きく牽引。ほぼ完売という勢いになっています。また「Myojo」も7月号に続き8月号(6月22日発売)も好調に推移しています。アイドル誌はこのほかも全体的に売上が伸びている傾向にあります。
週刊誌では6月2日に創刊された「隔週刊 必殺シリーズDVDコレクション」が売れているほか、スクープ連発の「週刊文春」もじわじわと売上を伸ばしてきています。
書籍
書籍は前年比99.9%。総記、文芸書、ビジネス書、専門書、児童書が前年超えとなりました。
総記が急伸したのは、国語辞典や英和辞典などの教材売上の急増を受けたもの。学校再開後、売れ続けており2か月連続の100%超えとなっています。
文芸書は2019年7月以来の100%超えとなりました。『女帝 小池百合子』が大きな売上となっています。また、本屋大賞受賞作の『流浪の月』が早いペースで売れ続けており、6月単月での受賞作品前年比は116%となっています。
コミック
コミックは前年比130.3%。「鬼滅の刃」が引き続き高い売上を示していますが、単品売上では「キングダム(58)」が1位に。実写映画が地上波で初放送されたことで人気が再燃し、既刊を含めて大きな動きになっています。
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7月は「鬼滅の刃」最新巻発売で幕を開けました。この後も、村上春樹の新作など話題作の発売がいくつも控えています。学校の夏休みが例年より短くなるため、売場にも変化がありそうです。
夏の売場の動向を見守って行きたいと思います。
(日販 マーケティング部MD課 古幡瑞穂)
2020年5月の店頭売上前年比調査を見る 》
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