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日販グループホールディングス および 日本出版販売 2020年度 中間決算報告

【日販グループホールディングス】
2020年度連結中間決算は減収増益に 
取次事業は営業赤字も、小売、不動産事業が増益

日販グループ(連結子会社数34社)の2020年度上半期の売上高は242,861百万円と、前年比96.8%、▲7,959百万円の減収となりました。主な要因は、日本出版販売㈱(以下、日販)において、コミックスが増収となるも、雑誌・書籍・開発品がいずれも減収となったことです。

営業利益はグループ全体で固定費の削減に取り組んだ結果、1,401百万円(前年比130.7%)と増益、経常利益も1,484百万円(前年比133.0%)と増益となりました。

特別利益51百万円、固定資産除却損、店舗閉鎖損失等の特別損失458百万円及び法人税等を加減した親会社に帰属する中間純利益は292百万円と、前年比210.4%、153百万円の増益となりました。

2019年10月の持株会社体制移行に加えて、2020年4月よりエンタメ事業の分社化(日販セグモ㈱)及び管理業務のシェアードサービス会社化(日販ビジネスパートナーズ㈱)と、一層のグループ経営を推し進めた結果、成長分野への経営資源の集中とグループ全体でのコスト減を実現する事が出来ました。

事業別では、取次事業は2019年度下半期より営業赤字が継続しておりますが、小売事業・不動産事業がグループ全体の増益を牽引致しました。

【連結事業別業績】
不動産事業、堅調
小売事業の新型コロナ影響、立地で明暗分かれる

【取次事業】                 
取次事業は、営業赤字に転落、経常利益も減益となりました。
日販は返品減少や物流コストの削減に取り組み、前年に対して営業赤字を78百万円圧縮しましたが、減収・運賃値上げの影響が大きく、▲112百万円の営業赤字となりました。

㈱MPDはセルAV・レンタルの減収をBOOK・GAME・文具の増収によりカバーし、全体では増収となりましたが、利益率の高いアイテムの減収が影響し利益率は低下、営業利益13百万円と、▲82百万円の減益となりました。

出版共同流通㈱、中三エス・ティ㈱の営業利益が、取次事業全体の営業利益を底上げしましたが、日販・MPDの影響が大きく、結果として事業全体では▲31百万円の営業赤字に転落しました。

経常利益では、受取利息や受取配当金等の営業外収益があり、なんとか黒字を確保しましたが、▲129百万円と大きな減益となりました。

【対象となる主な会社】
日本出版販売㈱、㈱MPD、出版共同流通㈱、中三エス・ティ㈱、日販物流サービス㈱など

【小売事業】
小売事業は、利益率向上に向けた各種取り組みが功を奏し、増収増益の決算となりました。
BOOKについては、出版社様と日販で実施している低返品高利幅スキーム「PPIプレミアム」に取り組むことで、粗利益を改善しました。
また、文具雑貨では、前年よりさらに売場を623坪増床し、売上高は2,837百万円(前年比115.5%)となりました。その結果、粗利益を103百万円改善しております。

新型コロナウイルスの影響により、緊急事態宣言期間中、大型商業施設・駅前立地店を中心として、㈱リブロプラスなど最大58店舗が閉鎖となる一方で、営業を継続したロードサイド店は増収となりました。
当上半期のグループ書店の新規出店は3店舗、閉店は8店舗で、2020年9月30日時点の店舗数は245店舗となりました。

【海外事業】
海外事業は、減収減益となりました。

日販アイ・ピー・エス㈱は、蔦屋書店の中国での新規店(杭州天目里 蔦屋書店)等による輸出事業の増収はあったものの、新型コロナウイルスの影響が重く、大幅減収となりました。

主な減収要因は、主力のCLUBJAPAN事業(海外向け物販サービス)において、国際郵便の引受停止による受注のストップや、フライトキャンセルに伴う出荷済み商品の返品が発生したことです。加えて、輸入事業においては、欧米出版社の刊行遅れなども発生しました。

【雑貨事業】
雑貨事業は、増収、経常減益となりました。
㈱ダルトンは、第一四半期は、新型コロナウイルスの影響により、オンライン販売の増加や巣ごもり需要が高まった結果、直営事業が好調でした。しかしながら、卸先の雑貨店の休業などが大きく影響し、ベンダー事業が大幅な減収減益となりました。

第二四半期においては、事業全体で盛り返しましたが、第一四半期のマイナスを取り戻すまでには至らず、上半期は営業損失となりました。経常利益では、為替の影響により黒字を確保したものの、前年と比較すると▲45百万円の減益となりました。

【コンテンツ事業】
コンテンツ事業は、増収減益となりました。

㈱ファンギルドは、「めちゃコミック」や「コミックシーモア」などの大手サイトでの売上が伸長し増収となりました。一方で、より良質なコンテンツ制作のため、前年下半期から実施した編集者の増強や、作家への印税率見直しによる原価増が影響し、減益となりました。

【エンタメ事業】
エンタメ事業は、減収、経常損失となりました。
日販セグモ㈱(2020年4月1日設立)は、新型コロナウイルスの影響で、主力事業である検定並びにイベントにおいて、中止・延期・受験者の申し込み控えが発生し、大きな打撃を受けました。当初実施予定だった23件の検定・イベントのうち、約7割にあたる16件が中止または延期に追い込まれました。第二四半期以降は、リアル検定やイベントの再開、オンライン検定の拡大等で業績は回復しつつあります。

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【不動産事業】
不動産事業は、増収増益となりました。
主な増収要因は、2019年10月の持株会社体制移行に伴い、グループ内取引での不動産収入が増加したことと、㈱蓮田ロジスティクスの増収によるものです。

㈱蓮田ロジスティクスは、前年に、既存倉庫の解体工事があり、売上・経常利益ともに大きく減少していましたが、今期、借地事業として新たに大型の物流施設を建築していることで、先行して土地賃貸収入が発生しました。

【対象となる会社】
日販グループホールディングス㈱(不動産)、㈱蓮田ロジスティクス

【その他の事業】
その他の事業(下記の会社で構成)は、増収、経常減益となりました。
今期より、グループの管理業務をシェアードサービス会社化したため、日販ビジネスパートナーズ㈱(2020年4月1日設立)がその他の事業に新たに加わりました。グループ会社の決算業務の一元化など、グループ全体の効率化を図っております。

日販テクシード㈱(グループIT)は、主に外販事業の好調により、増収増益の決算となりました。 また、AIを活用した実証実験をグループ書店店頭にて行っております。全国の書店別売上データの学習をもとにして販売施策商品を展開すべき書店をレコメンドするなど、今後も、売上向上につながる取り組みを行ってまいります。

㈱ASHIKARI(ブックホテル「箱根本箱」の経営)は、「箱根本箱」にて、4~7月は新型コロナウイルスの影響で客室稼働率が大きく落ち込みましたが、8~9月はGoToトラベルの追い風を受け客室稼働率95%以上と盛り返し、黒字を確保しました。

なお、従来取次事業に含めていた受取配当金、金融収支については、持株会社体制移行に伴い、その他の事業に区分を変更しました。

【対象となる会社】
日販グループホールディングス㈱(子会社管理・資金運用)、日販テクシード㈱、㈱ASHIKARI、日本緑化企画㈱、日販ビジネスパートナーズ㈱

詳細は以下PDFよりご確認ください。
日販グループホールディングス株式会社 2020年度中間決算報告

【日本出版販売】

2020年度中間決算、赤字脱却ならず
返品率改善、荷造費削減も、運賃値上げ響く

日本出版販売㈱は、2019年10月1日に持株会社体制へ移行し、日販グループホールディングス㈱に商号を変更しております。従来の日本出版販売㈱の事業の内、子会社管理および不動産管理以外のすべての事業を簡易吸収分割により、新設した完全子会社である日本出版販売㈱に承継しました。そのため、2019年度以前の経営成績はございません。

日販の2020年度上半期の売上高は194,251百万円となりました。

営業利益は、返品率改善と物流コスト削減に取り組みましたが、運賃値上げの負担が継続しており、112百万円の赤字となりました。営業外収益による経常利益押し上げはあるもののカバーには至らず、経常利益は20百万円の赤字となりました。

特別利益50百万円、固定資産除却損等の特別損失163百万円及び法人税等を加減した中間純利益は84百万円の赤字となりました。

【参考数値】管理会計ベースによる前年度比較

売上高は194,251百万円と、前年比97.3%、▲5,388百万円の減収となりました。営業利益、経常利益、中間純利益はいずれも赤字幅を圧縮するも、前期に引き続き、赤字となりました。

商品別の売上高は、コミックスが8,995百万円の増収(29.0%増)の一方で、書籍が4,328百万円の減収(4.4%減)、雑誌が9,312百万円の減収(14.9%減)、開発品は1,585百万円の減収(11.4%減)となりました。

返品率は、書籍が31.4%(2.0pt減)、雑誌が46.8%(0.6pt減)、コミックスが21.1%(7.1pt減)、開発品が36.9%(1.7pt減)、合計で35.1%(3.1pt減)と大幅な改善となりました。この返品率は2004年以来の低水準となっています。

全体的な構造として、送品高が減少となるも、新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が拡大し、店頭売上は、ビジネス書・学参・児童書・コミックスを中心に、既存店ベースでアップしました。その結果として、返品率は大幅な改善となりましたが、被切替による影響額が5,448百万円と大きく、それにより、当社の売上高は減収となりました。

返品率改善に加え、荷造費の削減(送品高7.46%減に対し、送品荷造費は7.77%減)等の物流コスト削減に取り組みましたが、当期の運賃値上げ影響は348百万円となり、依然として営業赤字が続いています。

詳細は以下PDFよりご確認ください。
日販出版販売株式会社 2020年度中間決算報告


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