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心折れるとき。
今日も『キャプテン翼』を読んでいる。
3月20日まで無料公開という事情もあるけれど、それ以上に読んでいたら止まらなくなって『ワールドユース編』『ROAD TO 2002』『GOLDEN-23』まで一気に読んでしまった。
やっていることは同じなのだ。ライバルが現れて、翼たちが苦戦して、結局勝つ。メンバーの誰かがケガをして、誰か(大抵、岬か若林)が出られなくなって、そいつが最後に戻ってくる。それだけなのに飽きない。やっぱり面白い。
そして一気読みして意外に思ったのだけれど、主人公・キャプテン翼はけっこう何度も心が折れている。
小学生の時は三杉淳率いる武蔵FCに、中学生の時は日向でも松山でもなく、なんと次藤洋の比良戸中に、その後も何度も「だめだ、勝てない...」「負けるのか...」となる。そうなってしまうと、気もそぞろでボールも足につかない。
大抵、そこからロベルトか若林に檄を入れられて我に返り、奇跡の逆転劇を演じるわけだけれど、あの翼ですら落ち込んでいるのだと思うとなんだか感慨深かった。
「やってることは同じなのだ」と書いたけれど、その落ち込んで、負けそうになって、でも気を取り直して勝つという展開が気持ちいい。ダメになりそうになった直後に現れるスーパープレイについつい期待してしまう。それが見たくて次のページをめくる。そんな魅力がキャプテン翼にはあるのだ。
作品後半では、翼が結婚したり、平和に言及したりするシーンもある。実在のJリーガーも登場したりしている。漫画が僕らの現実とリンクしはじめている。
そう思うと「同じ」と書いたパターンは、ただのマンネリではなく、人が現実を生きる上で普遍的な喜びを感じる形なのかもしれない。逆境をはね除け、その逆境が強くなり、彼らもさらに強くなっていく。それはまさに「成長する」ことそのものだから。
いまちょうどウィルスという逆境が猛威をふるっているけれど、この逆境をはね退けた時、人はまた強くなれるのかもしれない。そして、いずれまた新しい逆境がやってくる。心が折れたりなんて全然したくないのに、人はそのパターンが好きだったりもするから、いつでも順風というわけにはいかないのだろう。
天才的なサッカーの才能を持った翼だって何度も心が折れている。
そりゃあ、僕らも折れるわね。そこらじゅうで、ぽきぽきと。
それは全然不思議なことじゃないのだと思った。
この漫画を読んで、そんな感想をもつこと自体ちょっとへんなのかもしれないが、そう思った。
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