東の魔女はしんでない

魔女とドロシーと初恋と鳥肌。

おととい、東浦 澄さんとの間に生まれた『あなたのうた』をお披露目した。

タイトルは「東の魔女はしんでない」。

つよい風が なにもかも吹き飛ばして
その上から だれかが 魔法みたいのをかけるんだ

のっけから 貧血気味のおいらさ
ねぇ君は どうして そんなところで 泣いているの?

ドロシー.....ドロシー......

東の魔女は しんでない いまもどこかで 笑ってる
だれに一体 何を言われてても

町のうわさじゃ しんだよと 勝手なことを ほざくけど
どうかな 本当はどうかな

本来の光 woo......
25年ごしに現れた ほうき星には 魔女がのっているぜ

ダーリン woo...... こんな魔法はどう?

ずっと忘れていた 夢を思い出す
さあ どうぞ!

あなたと二人 ひそやかな初恋は
大人のかたち なぞるような恋でした
こころの奥に しまったままの恋は
血の気も失せる 声にならない恋でした

二人を取り巻く風が 見る間に強くなり
お互い支えをなくして これ以上ごまかせない

Sugar Sugar loo... 真夏の雨 肩だけが濡れたまま
Sugar Sugar loo... 尽きない話 ゆくえ知れずの恋でした
Sugar Sugar loo... 日焼けの跡 夜はもう更けてゆくのに
Sugar Sugar loo... 話の合間に さようならを 切り出せなくて

ドロシー.....ドロシー......

東の魔女は しんでない いまもどこかで 笑ってる
そして あなたにも 魔法をかける

時を忘れて 飛びまわれ 遅いことなんて なにもない
魔女はいま 君のもとへ

本来の光を woo......
25年ごしに現れた ほうき星には 魔女がのっているぜ

ダーリン woo...... こんな魔法はどう?
ずっと忘れていた 夢を思い出す

 woo...... woo......
ドロシー、目をあけてごらん

というかたちに仕上がったのだけれど、この曲は当初、エンヤトット、エンヤトットというリズムの「遅いことないない」音頭だった。

それが「オズの魔法使い」のモチーフが降ってきて、がらりと変わった。「本来の光」のところのサビのメロディがハマったときには鳥肌もんだった。

「つよい風」「貧血」「本来の光」「25年ごし」。
15分聞かせてもらった話の中にあったキーワードが曲の中に散らばっていって、それとはまったく違った物語を織り成していく。

最初に披露するときには、決まって泣きそうになる。
特に「ドロシー、目をあけてごらん」のところは、ものすごくグッときた。

わたしのうたできたー😍魔女だー😍光だー😍嬉しい😍

とりとめもなく話したことが
こんなふうにうたになるとはおもしろい〜

澄さんからは、こんな感想をもらった。
そして、こう続いていた。

しかも謎なんだよねーと言っていた部分には私の過去の記憶とリンクするところがあって鳥肌でした〜😮🎶

そう、「夢を思い出す さあどうぞ!」からつづく「初恋」パートは、つくっているぼくにも意味が分からなかった。

『あなたのうた』は、いつも聞いた話どおりにならないけれど、それにしたって恋の要素はまったくなかったじゃないか、と。

お披露目が終わってそのことを話すと、澄さんはこう言った。

「そういえば、はじめて付き合ったのが25年前だったなあ」

二人とも鳥肌が立った。
外は雨が降っていて「真夏の雨」という歌詞もそのためみたいに思えた。

『あなたのうた』は、ぼく自身が謎だなあと思うことも謎のまんまお渡ししている。相手からのその「謎」について教えてもらうとき、あまりの不思議さに鳥肌が立つ。

この不思議さを共にできることが、至福の瞬間だ。

冒頭、ぼくはこの曲について「澄さんとの間に生まれた」と書いたけれど、実感としては本当にそう。自分だけで曲をつくるのとは、ぜんぜん違う面白さがある。

そして、ぼくと澄さんともう一人、オズの魔法使いなり「初恋」パートなりのインスピレーションを与えてくれる「だれか」がいるのを感じる。

作曲中、ぼくはその仕業に「すげー!」と驚く。
そして、お披露目のときにもう一度驚かされる。
今度は、申し込んでくださった方といっしょに。

この仕事はたぶん自分とか他人とかそういうのをあいまいにしたところに、ぽっと現れる仕事なんだと思う。そこにすっと挿入される「だれか」の仕業とともに。

なんちゅう面白い仕事だろうか、と思う。

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