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今年観たアニメ映画10作品を忖度無しのランキング形式でご紹介します

 皆様、今年はアニメを何作品ご覧になられましたか?

 僕は10代の頃はとにかく数を観るのが正義だと思って1年に100作近いアニメを観てたんですが、さすがに近年はそんな体力もなくてですね(笑)TVアニメでいうと数作品ぐらいしか観ておりません。

 ただその中でも『バクテン!!』とか『スーパーカブ』とか、面白い作品に出会えたのは幸運でした。『スーパーカブ』は原作が好きでアニメも観たんですが『バクテン!!』は女の子向けアニメだったので、友達にオススメされてなかったら多分一生観なかったですね。

 この2作品については前にnoteにまとめたので、良ければそちらもご覧ください。

  さてTVアニメはそんな感じだったのですが、今年はアニメ映画の方をより意識して観た年でありまして。

 と言っても10本なんですが(笑)まあでも追っていないTVシリーズの劇場版を除くとだいたいオリジナル+追っていたTVアニメの劇場版で考えたら新作を10本も観てたら上出来でしょう。あとは去年以前の作品もまあまあ観まして、そういう意味ではアニメ充できた1年でありました。

 今回は僕が今年観た10作品をランキング形式でご紹介しつつ、個人的に良かったところやそうでもなかったところなどを忌憚なく語ろうかと思い、筆を執らせていただいた次第です。

 もちろん面白かったという意見だけにはならないのですが、あくまで個人的な感想なので「こいつはこう書いてるけど俺は面白いと思った」など自由に思っていただいて結構です。

 ランキングの前に、観た10作品のタイトルを書いておきますね。

シン・エヴァンゲリオン劇場版
ARIA The CREPUSCOLO
ガールズ&パンツァー最終章第3話
映画大好きポンポさん
竜とそばかすの姫
サイダーのように言葉が湧き上がる
アイの歌声を聴かせて
サマーゴースト
ARIA The BENEDIZIONE
フラ・フラダンス

 本当は『クレヨンしんちゃん』の映画とか『閃光のハサウェイ』、『岬のマヨイガ』なども観たかったのですがまあそれは来年以降どこかのタイミングで観れたらいいなと思います。

 それではちゃっちゃと始めましょう。まずは10作品中の第10位。申し訳ないですが最下位にランク付けした作品でございます。

⑩フラ・フラダンス

  監督は『機動戦士ガンダム00』などでお馴染みの水島精二さん。長年ご活躍されている吉田玲子さんが脚本を務められたこの作品は、東日本大震災から10年の区切りとして企画されたずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…のうちの1作品であります。フジテレビ、アニプレックス、そして東北3県(宮城、岩手、福島)がタッグを組んでアニメを作ろうという企画らしいですね。先程ご紹介した『バクテン!!』も実はこの企画で発表された作品です。

 姉に憧れフラ・ガール(フラダンスを踊るプロ)の道を志した少女・夏凪日羽が失敗を繰り返しながらも1人前のフラ・ガールに成長していく姿を描いた作品なのですが。

 まあ僕これ、観た中では正直一番微妙だったんですね。Twitterを見てみると評価してる人も多かったので僕の見方が正しいというわけでもないのですが。

・悪かった点 展開ごとの繋がりがない

 主人公の日羽の他にもフラ・ガールを志す仲間が4人ほど出てくるんですよ。名前を忘れちゃったんですがそのキャラクター達にも志した理由だとか、弱みみたいなものがある。

 でそれらを一応物語の中で回収していくんですが…前後の展開が関係なさすぎて正直全然感情移入ができなかった。

 なんていうんだろう…そのシーンだけ見るとなんとなく回収している感じはあるんですが、『フラ・フラダンス』ってオリジナルアニメなので観ている僕らがキャラクターに対して愛着を持っていないわけじゃないですか。そこへきてキャラクターごとの回収を全部丁寧にやろうとすると、2時間じゃ収まりきらないと思うんですね。

『フラ・フラダンス』を1クールのアニメとして作ったら良かったんでしょうが、2時間しかない中ですべて見せようとした結果ボヤけてしまったというか、見所がわからないまま終わってしまった感じがして残念でした。

・良かった点 福原遥の演技

 で良かった点を一生懸命探したんですが…まあなくて(笑)ストーリーも展開もキャラクターもテーマ性も作画もすべて掴みどころがなくどれが良いと言いにくい。

 数少なかった良い点が主人公日羽役を演じられた福原遥さんの演技ですよ。いや普通に上手いっすよね(笑)まいんちゃんのイメージで止まってたんでエンドロールの名前見てビックリしました。あとで調べたら朝ドラの主演もやってるそうで、人って成長していくんだなあと(笑)

 というところで『フラ・フラダンス』の感想でした。続いて第9位!

⑨サイダーのように言葉が湧き上がる

 音楽レーベルフライングドッグの創立10周年作品でありまして、監督は『四月は君の嘘』のイシグロキョウヘイさん。去年公開予定だったのですが1年延期し今年の夏に公開された作品でして、現在はNetflixで配信されております。

 俳句を作るのが趣味な口下手少年・チェリーと、人気配信者なんですが前歯がコンプレックスでいつもマスクで口を隠している少女・スマイルの淡い恋愛ストーリーです。

・悪かった点 前半の展開が地味すぎる

 この作品はオリジナルアニメ映画でありがちな「現実世界が舞台なのに無駄にファンタジー要素を出す」という成功があまりない展開を一切出さず、地に足付けたストーリー展開をしていた事は評価できるんですが…なんせ前半が弱すぎましたね〜。

  テーマが俳句とコミュニケーションでしたし後半に繋げる為の前半パートという作りをしていたので仕方ない部分もあるのですが、まあ正直この作品がTVアニメだったら切ってましたね(笑)逆に言えば映画館だから最後まで観れたのかなと。そういう意味では映画館で観たのは幸運でしたかね。

・良かった点 後半の追い上げ

 この作品は介護施設のおじいちゃんが若い頃に聴いたレコードを探すというストーリーを1つ軸に置いてたんですが、それが後半になると一気に機能し始めるんですね。

 でそれに絡んでチェリーとスマイルの仲も一気に変化していくので前半とは打って変わって後半は本当観てて面白かったんですよ。とくにクライマックスとかね。

 まあだからそれだけに前半がもったいなかったなというところで、今回は9位にさせていただきました。

 続いて第8位

⑧ARIA The CREPUSCOLO

 00年代から続く人気シリーズ『ARIA』の最終章第1弾として作られた作品ですね。

『ARIA』シリーズの主人公は水無灯里なのですが今作は緑髪の少女アリス・キャロルが主人公。その師匠であるアテナ・グローリィとの師弟愛を描いてます。

・悪かった点でもあり良かった点 良くも悪くもTVシリーズの劇場版

 シリーズモノの劇場版って、まあTVシリーズを好きな人しか行かないものじゃないですか。だから基本的に外れはないんですよ。

 ただ外れじゃないからといって当たりとは限らないじゃないですか(笑)まあ要するにTVシリーズを追いかけてたから観れるけど映画単体で考えたらどうなのかという考え方ですね。

 個人的にTVシリーズの劇場版ってファン向けになりすぎちゃうケースが多いと思うんですよ。もちろんファン向けでいいですしむしろそうあるべきではあるのですが、ランキングを付けるなら爆発力のあるオリジナル作品にはどうしても負けちゃう。

 というところで今回この順位になったという感じですね。続いてはこの作品です。

⑦竜とそばかすの姫

 有名アニメ監督、細田守さんの最新作でございます。興行収入60億という自己ベストを塗り替えた作品でもありまして、アカデミー賞アニメ部門やアニー賞などのビッグタイトルにもノミネートされております。

 この作品については以前にも書かせていただいたので、良ければそちらもご覧ください。

・悪かった点 純粋な評価ができない

 この作品って、特殊な面白がり方ができる作品でして。

 そのあたりは↑のnoteでも書いたんですがまず『竜とそばかすの姫』は明らかに細田さんがストーリー性を捨ててるんですよ。なおかつそれでもヒットさせる為に様々な工夫をされていらっしゃる。前作の『未来のミライ』の興行的な失敗を反面教師にしてるんですよね。

 そういう意味では凄く面白いですし語れる作品なのですが…まあストーリーがね(笑)面白いつまらない以前にストーリーがほぼ無いんですよ(笑)そりゃ主人公・の成長はちゃんと描いてますし、基本設定みたいなのはあるんですがよくよく観てみると全然繋がってないんですよね(笑)

・良かった点 それでも楽しめる細田演出の凄さ

 細田さんって元々演出家として名の売れた人であり、オリジナル作品で評価された人ではないんですよね。

 だから脚本家を入れないと本当にストーリーもへったくれもない作品になっちゃうんですが(笑)そのかわり演出力は本当に凄い。

 これまた↑の記事でも触れたんですが鈴のお母さんは他人の子供を助けようとして死んじゃっていて、その事を鈴は心のどこかで恨みながら過ごしていると。

 でもクライマックスのあるシーンで突然お母さんの行動の意味を理解するんですね。そこが本当に良くてグッと来ちゃいました。あと前半で鈴がカラオケ屋から逃げ出すシーン。あれ多分鈴の幻聴なんですが、見せ方が本当に鈴の心理を表してるというか、こういうとこやっぱ上手いなと。

 続いて第6位です。

⑥サマーゴースト

 監督がイラストレーターのloundrawさん、脚本家が小説家の乙一さんという異色の短編映画です。上映時間が40分と紹介する映画の中で最も短く、上映館もそんなにないマイナーといえばマイナーの作品です。

・悪かった点 特になし

 6位にしましたが、全然面白かったですし悪い点も特にないです。

 悩みを抱えた3人の高校生が1人の幽霊と出会い願い事を叶えてあげるというストーリーでして、話もシンプルでしたしキャラクターもみんな機能していて普通に楽しめました。

 まあ40分なんで話を面白くするというのを優先した結果思想性とか話の複雑さを捨てたんでしょうから、そういうところでこれから紹介する5作品よりは下かなと思い6位にさせていただきました。

 ここからは良かった点だけを書いていこうと思います。

⑤ARIA The BENEDIZIONE

『ARIA』シリーズの劇場版最終章の第2弾です。今作の主人公は藍華・S・グランチェスタとその師匠晃・E・フェラーリの物語です。


・良かった点 作品単体としても楽しめた

 水先案内人の大手会社・姫屋の跡取りとして生まれたばかりに才能に関係なく特別扱いされる事を重圧に感じていた藍華と、叩き上げでエースまでになった晃。この2人の師弟愛から現在の物語に絡む過程がとても丁寧に描かれていて凄く良かったです。

 15年間追い続けて良かったと思わせてくれるような内容でしたし、ファン向けでありながら初見でもおそらく楽しめるような内容になっていて満足度が高かったですね。

 まあ惜しむらくは『ARIA』最後の作品と銘打ちながら主人公が灯里じゃなかった事ぐらいですね(笑)そこは灯里で〆ろよと(笑)だからこれが最後だとは思っていません。

『ARIA』シリーズ本当のラスト作品を気長にお待ちしております!

 では4位。

④ガールズ&パンツァー最終章第3話

 人気アニメ『ガールズ&パンツァー』の最終章、全6話の3話目ですね。大好きな作品でして、TVシリーズからずっと追い続けてもう10年ぐらいになります。

 主人公・西住みほは先輩の河嶋桃を大学へ推薦入学させてあげる為に戦車道のトーナメント優勝を狙って戦っているのですが、3話では2話から続いている知波単学園との戦いと次の継続高校までの戦いを描いているのですが。

・良かった点 引きの良さ

 TVシリーズの劇場版+続き物なので本来少し評価しにくいタイプの作品ではあるのですが、TVシリーズのような作りをしている分興味を持たせるのがとても上手いかなと。

 ガルパンを観ていると感じる「これこうなったらどうなるんだろう」という視聴者の疑問を先回りするような展開。前半の知波単学園戦を見せた後に継続高校戦で疑問というか、大洗女子学園の弱点をちゃんと突いていたのでまあやっぱ水島努監督は実力あるなあと。

 1作作る度に1年以上の間が空くのだけが残念なところですね。新作が公開される度に前の話を忘れてかけてしまっているので(笑)

 ここからはベスト3です。3作品のうち2つはnoteでも語ったやつでして、やはりそれぐらいのインパクトがある作品でございました。

 では第3位。

③映画大好きポンポさん


 pixivの漫画が原作でありまして、監督は『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』の平尾隆之さん。小さな劇場でしか公開していなかったのですがなんと来年のアカデミー賞アニメ部門とアニー賞にノミネートされている超ダークホース的な作品です。

 映画の本場“ニャリウッド”で監督を目指している少年ジーンが、プロデューサーであるポンポさんに命じられ映画を作っていくというストーリーなのですが。

・良かった点 圧倒的なテンポの良さと後半のメッセージ性

 前半はとにかく見やすいですね。パッパパッパ進んでいき、しかも映像的にちゃんと見せているので置いてきぼりにはされない。

 やっぱ映像的な快感って必要じゃないですか。もちろん中身もなければいけませんが、まずは観客を飽きさせない事か重要なんじゃないかと思うんですよね。

 でそれだけだったならそんなに順位を高くはしませんでしたが、『映画大好きポンポさん』って物語の前半と後半で展開がガラッと変わるんですよ。前半が映画を撮影するパートなんですが、後半パートは丸々その編集なんですよね(笑)

 前半のジーンはとても楽しそうで、仲間と一緒にどんどん脚本になかったシーンまで撮っていく。それはそれは楽しそうなんですが、後半になると上映時間に抑える為に仲間とのシーンをどんどんどんどん切っていくんですね。

 ジーンにとって一番大事なものはなんなのか、それを優先する為に身を削る思いでシーンを切っていく。そして最後に出た言葉で凄くゾクッとするわけです。これがアカデミー賞やアニー賞にノミネートされたのもまあ当然だと思いますね。まだご覧になってない方も、配信サイトに降りてきたら是非観てみてください。

 では、第2位です。

②シン・エヴァンゲリオン劇場版

 もはや国民的作品になった『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版であり、本当の最終回になった1作であります。

 総監督はご存知庵野秀明さんであり、今作品で自身初の興行収入100億超えを果たしました。

 この作品については以前記事にしましたので、そちらもご覧ください。

・良かった点 最高の内輪ネタ、最高のマスターベーション

 この作品についてはなんというか…理屈じゃないですよねえ。

 20年以上エヴァに振り回され続けた我々に何を見せてくれるのか、それが最大の焦点だったと思うのですが、最高の形で答えていただけたと思います。

 これを単体で見たらどうかとは思うんですが、そんなの関係ないほどパワフルな内輪ネタを見せられた感覚になりまして(笑)だって20年以上前の旧劇場版のシーンとかを今更回収してくるんですよ(笑)そんなの反則じゃないですか。でもエヴァだから許せちゃうみたいな。

 そういう空気に持っていけた時点で勝ちなんですよね。

 庵野監督というのはその時その時の感情に思いっきり引っ張られちゃう人なので観るまでは不安だったのですが(笑)今となっては本当に作ってくれてありがとうですよ。

 でもそんなエヴァを抑えて1位に輝いた作品がありました。

①アイの歌声を聴かせて

『イヴの時間』、『サカサマのパテマ』などを作った吉浦康裕監督8年振りの新作でございます。

 これに関してはnoteで語るどころか語り尽くしたので(笑)ぜひそちらを読んでいただければ嬉しいです。

 語りたすぎて「ネタバレなし」と「ネタバレあり」併せて2回書いちゃいましたからね(笑)

・良かった点 圧倒的なシナリオの良さ

 主人公・サトミのお母さんが作ったAIロボット・シオンが転校してきて騒動に巻き込んでいくという話なんですが、記事でも語ってる通りとにかくシナリオのセンスが抜群なんですよね。

 1度観たら確実に2回目を観たくなります。1度観た時に絶対「あぁ〜!そういう事か!」ってなるシーンがあるんですよ(笑)本当にトリックの仕掛け方が上手くて観客の視線をミスリードしまくる。それも全然関係ないシーンで繋げるという物凄い技術を使っていて、本当に観た後凄すぎて席から動けませんでした(笑)

 当初は1ヶ月ぐらいの予定だったこの作品は、口コミとそれによってできたファン達に支えられ異例のロングランとなっております。新宿ピカデリーなら年越しまでやってくれるっぽいので、冬休み中に是非観てみてください。損はさせません!

 …という事で今年の新作アニメ映画の感想でございました。来年は『宇宙よりと遠い場所』で監督を務められたいしづかあつこさんのオリジナルアニメデビュー作『グッバイ、ドングリーズ』や新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』が公開される予定なので、今から楽しみです。また来年も書けるぐらい観れたらいいなと思っております〜。

 それでは最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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