『盾の勇者の成り上がり』を観て思い出したファンタジーアニメへの憧れの話
子供の頃僕には、布団に入って寝る前の楽しみがありました。
妄想の中でファンタジー世界を旅する。敵を倒したりするのは特に好きではなかったので主人公的な立ち位置ではなく、いつもサブキャラでパーティーに参加していました。
主人公がいて、主人公の周りに女の子が何人もいて、僕はモテないのですがそんな僕にも密かに好きでいてくれる娘が1人いるみたいな…今となっては恥ずかしいですが(笑)そんな仲間と旅をする妄想をよくしてましたね。
なんで急にこんな話をしたかと言うとですね、とあるアニメを観て思い出したからなんすよ。とあるアニメと言ってもタイトルで出しちゃってるんですが(笑)
盾の勇者の成り上がり
2019年に放送されたアニメですね。いわゆるなろう系の作品で日本より海外人気が高いらしく、今年2期が製作されるようです。
制作会社がキネマシトラスというところらしくて、聞いた事ないなと思ってたんですが『メイドインアビス』を作ったところみたいですね。どおりで作画が凄く安定してるし演出で変な間もないなと。
ルーツを辿っていくと社長の小笠原宗紀さんはボンズのデスク出身で、キネマシトラスで手掛けた最初の作品も『エウレカセブン』の映画だったとかでかなり地盤も固い。なんかこう00年代に京都アニメーションとかユーフォーテーブルが脚光を浴び始めた時のような良さを感じるのでこれからちょっと注目していこうかなと思います。
作品の話に戻りましょう。そもそも個人的にはあんまりなろうアニメを観る方ではなくてですね、『この素晴らしい世界に祝福を!』とか『Re:ゼロから始める異世界生活』ぐらいしか観た事がなく、オタクのネタにされるようなものが多いなぐらいにしか思ってなかったんですが、先日Twitterのタイムラインにこのような画像が回ってきたんです。
サムネにもした画像ですが、これを見てなんとなく興味を引かれちゃって。このキャプチャ、なんか良くないすか?ファンタジーだと一目でわかりますし、そしてその日常風景が切り取られている。僕戦闘シーンとかはあんま好きじゃなくて、こういうキャラクター同士の関係性とかを追っていきたいタイプなので、この画像に若干シンパシーを感じちゃったんですよ。
それでもなろうだし1話観てつまらなかったら撤退しよう…そう思ってたんですが、結果として5日で25話全部消化しちゃいました(笑)
ストーリーを説明しますと、まず主人公のナオフミが日本から異世界に召喚されます。なろうの王道ですね。召喚された先には自分と同じく召喚された三人の男の子がいて、それぞれ『槍の勇者』『剣の勇者』『弓の勇者』と最初から役割を持っている。
ではナオフミはというと…なぜか武器にならない『盾の勇者』でして、これがストーリーのミソになっているわけですね。この作品はすべて盾の勇者という存在によって引き起こされていく。
まずこの主人公が武器を使えないというのが良いですよね。なろうってやっぱりどうしてもチートとか、力のバランスが崩れがちになってご都合展開になるようなイメージあるじゃないですか。そういうのが好きな人は良いんですが、僕はあんまり主人公が最強で誉められまくってみたいなの苦手なんすよ。シンプルにストーリーとして魅力がないというかね。
その点『盾の勇者の成り上がり』はところどころなろうっぽい展開はあるんですが、それでも主人公が盾しか使えなくて苦労するという展開にしてバランスを整えていますし、序盤~中盤は主人公がひたすら忌み嫌われたり冤罪をかけられて排斥されるんですよね。
汚名を被され、まったく援助してもらえない状態でそれでもナオフミが仲間を見つけたり、大切な人を守ろうとする展開なので観ていて燃えますし、半沢直樹的な快感がある。
悪役があまりに悪役すぎたり、主人公を立たせる為に他の勇者を情けなく描いていて背景が薄いのはちょっと不満でしたが、ストーリーとして成り立たせる為にはまあ仕方ないかと思えるレベルだったので、そこらへんは視聴の邪魔にはなりませんでした。
あと意外とストーリーを通して作者の顔も見えて良かったですね。主人公のパーティー見たらわかる通りロリコンじゃないですか(笑)汚名を被せる役割をナオフミと同じくらいの年齢の女キャラにやらせて、仲間になるのは奴隷として売られていた少女(後に急成長して体だけはナオフミと近くなりますが)、卵から育てた幼女に変身できるモンスター、国の王女もいてこれもまた幼女(笑)
明らかにロリコンすぎるでしょ(笑)
まあナオフミが欲情するようなシーンがないので「イエスロリータノータッチ」の精神を見せているのですが、面白いのはロリコンキャラとか子供をいたぶる役割を悪役にさせているとこなんですよ。
多分作者さんは自分を"紳士のロリコン"だと思っていて実際そうなんでしょうが、一方でロリコンの嫌な一面を悪役とか敵キャラにやらせているという、なんとも業の一面も見せていて良いんですよね。人間は多面性の生き物ですからこうなるのが普通ですし、個人的にはそこらへんを出しきった上で"紳士のロリコン"を貫こうとしているように見えるので結構魅力的に映りました。
かつてアニメ監督の富野由悠季さんは自分を作品に反映させる事を「パンツを脱ぐ」と表現されていらっしゃったようなのですが、盾の勇者の作者さんはそこらへん上手くパンツを脱がれているように感じましたね。自分を見せないと面白くないですから。
…というようにいろいろ魅力を感じた作品だったんですが、やはりシンプルに「ファンタジー世界へ行きたい」という気持ちを思い起こさせてくれたのが魅力として大きいかなと感じます。
やっぱり僕らってなんだかんだファンタジー世界に憧れるじゃないですか。アニメにしろ漫画にしろゲームにしろ、一度も触れた事ない方っていないんじゃないかと思うんですよね。
僕が生まれて始めて触れたファンタジー作品は『スレイヤーズ!』という、まあ日本ファンタジーの金字塔的作品でして、小学生の頃原作を読みまくったのを覚えてます。
強さも性格もめちゃくちゃな女、リナ・インバースの活躍を描いた作品で、その軽さというか面白さが小学生の自分にはハマりまくった。そこから中学生の時には『キノの旅』とか、本格的にオタクになってからは『狼と香辛料』だとか、ラノベ好きだったのも相まって電撃文庫のファンタジー作品に流れていきました。
キノの旅
狼と香辛料
あと忘れちゃいけないのが『ゼロの使い魔』(笑)当時のツンデレブームを牽引したキャラの1人、ルイズ・フランソワーズを産み出した作品でございますね。
ゼロの使い魔
90~00年代初期頃まで日本のオタク界にファンタジーブームが来てまして、それが00年代中期になると『涼宮ハルヒの憂鬱』のブームや能力ものとか日常ものの台頭とか、舞台が現実世界に降りていく事で一旦下火になったのですが、『ソードアート・オンライン』あたりからまた火が着いてなろう作品ブームに繋がっていった。
どうしてもファンタジー世界への憧れは拭い去る事ができないというか、絶対に行けない世界であるからこそ需要が尽きないんでしょうね。
それはやっぱ現実世界からの逃避というより、シンプルな憧れなんですよ。ジブリ映画の『猫の恩返し』で猫を追いかけて路地裏に入ったらそのまま異世界に行ってしまう下りがありましたが、死ぬほど憧れましたもんね(笑)
別の世界があるなら行ってみたいじゃないですか。冒険してみたいじゃないですか。妄想してるとワクワクするじゃないですか。そのワクワク感が人生の糧になるのなら、僕はそれが現実世界からの逃避であっても何ら問題ないと思います。
今回『盾の勇者の成り上がり』を観てその感覚を思い出しましたね。と言ってここからなろう作品を漁ろうとは思いませんが(笑)またファンタジー成分が人生に必要になった時、何らかの作品で接種したいなと思います。
今回はここらへんで。まあ今回改めて感じましたが、やっぱアニメって偉大ですわ(笑)そして生産してくださる皆様に最大級の感謝を。
僕もぼちぼち生産していきたいと思っております。それではまた。
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