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【朗読後記】表現について

自分の趣味がそうだからかもしれませんが、最近朗読が流行っているなと思います。私が朗読をし始めたのは10年以上前ですが、その頃から比べて随分メジャーになりました。朗読とひと口にいってもいろいろなやり方があります。楽しみ方も目的も目標も人それぞれです。今回は表現についての考えをお話をします。

朗読を習っている人の中には、感情を抑える読み・作品を届ける読みというのを聞いたことがあると思います。また逆に、登場人物に入り込み感情豊かに表現する方もいます。
前者は読み手の感情を抑えて読むことで、聞き手に想像を委ねるようです。いつもきれいに穏やかに読んでいる人が多いです。某放送局式の指導もこちらかと。後者は演劇系の方に多いです。個性も強めで声色の変化も大きい気がします。すべてをセリフのようにするもいます。これはどちらが正しいというのはなく「好み」だけです。考え方に優劣はありません。それぞれ目指していることが違いますし、作品に対するアプローチも違います(どちらも習ったことがあります)。
さて、今の私の読みはどうでしょうか?どちらに聞こえますか?
少し前までは後者に近い部分もありましたが、今はどちらでもないものを目指しています。朗読をする人の中では少数派のようです。私は人様の表現についてどうこう言うつもりはなく、それぞれが好きなものを目指せばいいと思っています。私も自分がしたいことは何かだけを探求しています。自分とは違うタイプの朗読でも好きなものはたくさんあります。

私は朗読を始めてから8年間は某放送局式の読みを学んできました。ある朗読コンテストで受賞もしましたが、自分の表現に行き詰まりを感じていました。どうやればいいのかがわからなかったのです。当時指導を受けていた講師には「登場人物の気持ちを想像するといい」と言われました。でもいくら考えても思うようには読めていません。そこでいろんな朗読を聴き比べました。
そんな中で私はリズムや音色、豊かな表情など日本語になにか音楽に近い美しさを感じました。そしてそれらを生かす読み方に魅力を感じるようになりました。
また私がしたい朗読は伝達ではなく表現活動です。作品の世界を朗読者によって目の前に再現したい。そう聞こえる音にすることを目指しています。

いろいろな教室に行きましたが、現在の講師は朗読理論が最も確立していると思っています。一つひとつの言葉を丁寧に扱い「音とリズム」を徹底的にコントロールします。私はそこに美学を感じ、考えに共感しています。もちろん、どこの朗読のグループでも発声・発音・アクセントなどの理論はあるでしょう。でも、精神論や雰囲気を語らずに、文法や言葉の扱い方、聞こえ方を理論的に説明できる人に他ではまだ出会っていません。

その方に今年の春からご指導をいただいています。今まで注目していなかった点もあり、まず自分の耳を鍛え直しました。今はまだ中途半端な読み方しかできません。気をつけなければいけないことが多く、すべてを身につけるのは大変なのですが、だからこそ面白いと思っています。
今月末、この教室の発表会があります。遠方に住む方なのでレッスンはzoomで受講しています。今回初めて直接お会いします。
発表会では芥川龍之介作「少年」の「クリスマス」を読みます。時間の都合で10分程度になるようにカットします。

今回Podcastにあげたものを聞き返すと反省点が山積みです。一つひとつの言葉の処理が甘くて嫌になります。はぁ、がっくり😞
良かった点を挙げるとすれば、自分の悪い癖が自分の耳でわかるようになってきました(録音では悪い癖が残っています)。そして前回まで「ちょっと違うな」と感じていたある点についての改善方法が分かったことは大収穫です(録音ではできたりできなかったりしています)。ほんの一部ですが洗練されてきたところもあります。本番に向けて精度をあげていきます💪

良かったら聞いてください。(約14分)



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