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【詩】石

私の中に穴があいた
やがてそこに何かが生まれた
はじめは小さかった
色も形もはっきりしておらず
なんだかわからなかった

それはだんだん石になった
だんだん大きくなった
冷たく硬い石になった

やがて石から棘が生えた
棘はどんどん増えていき
醜い塊になった

恐る恐る触れてみる
尖った棘は
私の皮膚を裂いた
痛かった
血はなかなか止まらなかった

私は石を恨んだ
ずっと痛かった

傷口を押さえながら
ふと見ると 石は濡れていた
私の血が汚していた

布で拭いてみた
怪我しないように 布が切れないように
少しずつ拭いてみた

表面が次第に見えてくる
石も傷だらけだった
隙間の汚れは取れなかった

棘が折れて歪な塊になった
色もまだらで いくら拭いても
ダイヤモンドにはならなかった

私はゆっくりと石を眺める
窓から差し込む光が石を照らす
虹色に光った気がした 

(了)


*ある講座の課題で作りました。『深い河』(遠藤周作)を読み、気になった言葉「生まれ変わる」から連想しましたものです。

※トップ画像は川原のようなところにある、ハート型の石です。

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