二野ペネロペ

nino penelope /小説と短歌。いろいろ書くよ。

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最近の記事

ペンギンたちの夜間飛行

 手首を切ろうとカッターの刃を当てた時、真衣は「やっぱり痛いのは嫌だ」と諦めてしまった。死んでみたいと思ったけれど、それはよくよく考えると「今すぐ逃げ出したい」という衝動だ。ここからいなくなることができれば、家族から遠ざかることができれば、真衣はきちんと生きて行けることに気付いた。  だいたい上手く自殺できたとして、過保護で共依存を望んでいる母親は絶望して後追い自殺をするかもしれない。天国があるのかどうか知らないけれど存在していたとして、すぐに涙の再会になってしまう可能性があ

    • つがいに向かない私の話

       「つがいになる」のに向かないと、ひとみはいつも思っていた。  種が繁栄するため雄と雌がつがいになり、子を産み、人類の遺伝子が紡がれて行くのだと理解はしている。けれど、受け入れがたい。  きっと自分は進化の過程で淘汰される個体のひとつだろう。ひとみは結婚をしたいと、あまり願っていなかった。  ひとみは27歳で、某大手銀行を関係会社に持つアセットマネジメントで経理事務をしている。無難で偏差値も普通の女子大を卒業してから5年あまり、日系企業の古い体質ながらも穏やかな環境に頭か

      • 【シン・エヴァネタバレ感想】シンジが差し伸べられた手を取り、握り返す強さを手に入れたこと

        『シン・エヴァンゲリオン:||』を2回ほど鑑賞し、いろいろな方の考察など読みふけったので、感想と少しばかりの考察を書きたいと思う。 「鑑賞後、茫然自失となって考察ブログやツイートを読み漁っては寝不足になり、「私にとってのエヴァとは?」と深く思いを巡らせ、モチーフとなったネタに手を出し、過去作に手を出し、ずっとエヴァのことを考え続け、みんな一つのLCLに還る感覚(考察がまとまって来た)を覚える」までがエヴァなのだと実感した本作だった。 エヴァの魅力は「なんとしても理解したい

        • 「まほろばの景2018」のおもいで

          関西を牽引する劇団「烏丸ストロークロック」の2018年初演「まほろばの景」が2020年、再創造のすえにふたたび上演されます。 演劇ファンならば楽しみになさっていた方も多かろう公演ですが、少しでもいろいろな方にご覧いただきたいと思い、微力ながら私も2018年に観劇をした思いを書きなぐって「生きるの大変★」と再確認した文章を掲載したいと思います。 当時の勢いをママと思ったのですが、ちょっと修正してます。 あまりにわかりづらいからな!笑 ここから2018年当時の感想文(加筆修

        ペンギンたちの夜間飛行