『共産主義革命論』第11章 日本革命

第11章 日本革命


・権力の横暴、腐敗を正すための革命

いま私たちの前にあるのは、社会主義、共産主義の世界とはおよそ程遠い世界です。

どうすればそれを実現することができるでしょうか?

わたしたちがまずやらなければならないのは社会主義革命でも共産主義革命でもありません。この国を、愛国者を名乗る詐欺集団から取り戻すこと、民衆を邪悪な詐欺師たちから救い出し、詐欺師どもを権力の座から追放して、この国に正義と公平を取り戻すことです。

国民と政治家の信頼感はいまや地に落ちています。原因は明らかです。

政治家はあまりにも我々を騙し、我々から奪いすぎました。

彼らの罪、それは我慢強い我々を怒らせたことです。

なぜこれほどまでに権力者が罪を犯しても気にすることなく好き勝手にふるまうことができるようになったのか、それは第二次安倍政権において、権力を監視する組織や、悪を裁くはずの組織が安倍政権に取り込まれて機能しなくなったからです。

もはや自民党、いえ、この国の権力機構に自浄作用は一切ありません。

つまり、選択肢は1つ。我々と労働者階級が政権を奪取して、権力機構の在り方を我々の望みにかなうように変えることです。


・日本が崩壊した3つの原因

しかし、こうした現象面だけ見ていてもなぜここまでひどくなってしまったのか、その原因を解明することはできないでしょう。この崩壊は数十年かけてじわじわと進んできた3つの原因が複合的に働いたために起きたのです。

1990年代のバブル崩壊後、この国は経済大国から陥落し、長期にわたるゼロ成長が続きました。これは高度経済成長期に構築された経済成長のモデルが制度的寿命を迎えたからです。いわゆる新卒一括採用、年功序列、終身雇用のシステムが崩壊したのがこのころからです。

2011年東日本大震災を受けて、この国の政治システムの欠陥が明らかになりました。

2009年の時点で、この国の政治システムがすでに限界を迎えており、自民党から民主党への政権交代が起こりました。では民主党は危機に対応できたのかというと、民主党ですら無理だったというのが2011年に明らかになったことです。

ここで否定されたのは、自民党民主党という政党でも、官僚でもなく、それらすべて、意思決定システムの在り方自体でした。

この問題は、危機が起こるたびに何度も繰り返されました。台風豪雨災害の対応、新型コロナ対応、こうした問題での政治の意思決定のおかしさの原因は、意思決定の在り方が今の時代に全くそぐわないままになってしまったことと大いに関係があるのです。

最後、3つ目の原因は2020年新型コロナ流行にともなう、社会システムの崩壊です。すでに日本の経済システム、政治の意思決定システムは現実の問題に対応できないという機能不全を抱えていました。それでも社会が安定を保てたのは、この国の社会システムがまだ健在だったからです。しかし、新自由主義経済が推進されることで、セーフティーネットは破壊され、国民の社会生活を少しずつ崩壊へと向かっていきます。

それが表に現れたのは新型コロナ流行に対する対策でした。政治はこの問題についてなんの効力も発揮することがなく、経済は止められて、かろうじて健全さを保っていた社会システムが悲鳴をあげました。大阪では保健所などを削減したことで医療崩壊が生じました。

壊されたセーフティーネットの上、保障なき自粛によって、この国の社会システムは崩壊しつつあります。

このように、経済システムの崩壊、政治システムの崩壊、最後に社会システムの崩壊によって、日本という国は間もなく死を迎えることになります。

われわれがやろうとしている革命は、たとえていうなら、老朽化して崩れそうになっている日本の旧システムを倒し、新しい体制を打ち立てることにほかなりません。

どれだけ旧体制側の人間が延命を図っても、寿命がすでに訪れている以上彼らに勝利の女神が微笑むことはありません。

つまり、革命は成就するということです。どうやって倒すかということはもはや問題になりません。旧体制は自らの自重によって勝手に倒れるでしょう。

重要なことは、旧体制が倒れた後、速やかに新体制を構築する、その準備を進めることです。


・革命政権はなにをめざすのか

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