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2024.5.28(火) ここは一緒に生きていく人たちの桃源郷。

風や雨が強く降ったりする朝。今日はみんな一日家の中で過ごすことになるだろう。お父さん、お母さん、わたし、今朝は朝ごはんはバラバラに食べた。一日家にいる日は食事くらい別々でもいいのかもしれない。みんなでいる時間、そうでない時間を大切に過ごす。人との過ごし方の気持ちのいいところを探っていく。わたしだっていつかは誰かと住むことになるかもしれない。そのためにも家族と過ごす時間はいい訓練になる。
昨日の話では朝ごはんはパンにしようかと言っていたけれど、お母さんはすっかり忘れていて普通に玄米を食べていた。まあいいさ、パンは明日の朝にしよう。

さて今日は家の中の片付けの続きをするか。
これまでわたしは良かれと思って勝手に物を移動したり整理することが多かったけれど、ひとつひとつ相談しながらやっていったほうが結果としてはよいことにだんだん気づけるようになった。
お母さんはとにかく片付けが苦手なので、洗って乾かして台所に放置されていた漬物用の桶やバケツを保管庫へ戻していくことにした。お母さんの指示でわたしがぽんぽんと空のプラスチックの桶を置いていく。とにかくなんでもひとつひとつが丁寧すぎるお母さんにとっては片付けや掃除はかなりの労力を要するようだ。丁寧にしたいと思うあまり手をつけられずにいる。捨てるか残すか、残すならさっさとしまってしまうわたしの掃除や片付けの仕方とはまるで違う。

すっきりとしたのでストーブを付けて台所に洗濯物を干していく。お母さんは台所の書類整理を今日はやるぞと意気込んでいるが、多分やりたくないことなので全然進まない。
一方のお父さんはいつでもいいからお願いしますと頼んでおいたことを先にぽん、ぽんと進めていってくれる。わたしはどちらかというとこのお父さんのやり方に近いと思う。

タンスの部屋の引き戸が重く閉めにくいのがずっと気になっていた。お父さんとお母さんはいつも開けっぱなしにしているので気にならなかったらしいのだけれど、わたしとしては時々お客さんがいらっしゃる時にはここに物を詰っこんで閉めておきたいと思ったので相談したのだった。
朝ごはんの後でさっそくお父さん工務店の作業は始まった。お父さんの検証により、滑車のプラスチックが劣化して一部が割れ、コマが回りにくくなっているということがすぐに分かった。こういう時にどうするか、お父さんはすぐにアイデアを考えて試していくのが好きなのだ。頭を使って考え試す時間をとても楽しんでいるように見える。素早い判断と作業で引き戸はすぐにスムーズに動くようになった。
よく気がつくね、こんなこと気になったこともないとお父さん。みんなそれぞれ気になるところが違うというだけなのではと伝えてみる。わたしが気にならないことをお父さんやお母さんが気にしているということもたくさんあるのだ。それぞれに違う考え方や思いがある。違いを許す、違いを認めて一旦受け入れる。強要しないで共生していけたらいいのではないかなと思う。

午前中は寒くてそんなに動く気になれなかったのでだらだらと家事をやっていく。しかし実家を離れるまであと5日。できる限りしっかり片付けや掃除をやっておきたい。いつものようにお風呂掃除、掃除機をかけて繕いものをしていく。毎日ちょこちょこと掃除をしておくほうが気が楽だ。

わたしの作ったびわの葉エキス。実家にお裾分けするために持ち帰ってきたので分けていく。びわの葉を小さく刻んでホワイトリカーと一緒に瓶に詰めてから3ヶ月が過ぎた。色はしっかり出て綺麗な濃いあめ色。実家用に半分くらい瓶に移して使い方を書いたテープを貼っておいた。1年経ったらびわの葉は取り出して、抽出されたエキスは様々なことに使うことができるらしい。おちょこ一杯を5〜6倍に薄めて飲んで疲労回復に使ったり、虫刺されや傷、腰痛、肩こり、やけどなど本当に何にでも使えるようだ。半年くらい経ったらぜひ使ってみたいけれど、古ければ古いほど薬効は高くなるのだそう。お守りのようにスプレーに入れて持ち歩いてみたい。

お昼ご飯、昨日お母さんが方々でもらってきた豆たちを調理する。スナップエンドウにそら豆にきぬさや。うつくしい緑が台所いっぱいに広がる。そら豆は1/3を塩茹でにする。少し切り込みを入れて大さじ1強の強めの塩を入れて茹でる。3分くらい茹でたらちょっと茹で過ぎだった。気を取り直してスナップエンドウを茹でていく。今度は慎重に茹で加減を見定める。2分くらいで程よく茹で上がった。スナップエンドウはバターで炒めて塩コショウ。やっぱりたけのこをもう一度ステーキで食べたいのでやわらかそうなところを縦半分に切って塩コショウとオリーブオイルをしてオーブンで焼いていく。仕上げにとろけるチーズを振りかけとけたら完成。そら豆、スナップエンドウ、たけのこと、春の美味しいものが勢ぞろいのお昼ご飯となった。ああなんて贅沢なのだろう。どれもこれもお裾分けでいただいたものでご飯が食べられるなんて本当にありがたい。

お昼からも今日はみんな別々の部屋でそれぞれ過ごしていく。お母さんは台所、お父さんは自分の部屋、わたしは台所と仏壇の部屋を行ったり来たりしてちょろちょろ動いてみる。とにかくわたしは動き回ることが好きなのだけれど、少しずつ自分のひとりの時間に戻していきたい。

久しぶりに絵を描いた。ここのところ家事や畑仕事、楽しいことにかまけて絵を描くことから離れてしまっていた。自分の時間に戻していくためには、絵を描くことが一番いいと思ったのだ。
パステルを握って描いていくとすぐにぶわーっと集中する。よしよし、絵を描くことから離れていた分ちゃんと下手になっている。うんうん、描き方も忘れ始めているぞと確認する。

描きながら素直な気持ちが湧き出てくるのを感じ取る。わたしはしばらく実家にいる中で実家を自分の場所と勘違いしていたのだということに気づいてくる。ああ、そうか。もう今いるこの場所はわたしの実家ではあるものの、わたしの居場所ではないのだということにはっきりと気づいてしまった。時々懐かしくて帰ってくる場所ではあるけれど、また自分の場所へ帰っていかなければならない。そんな気がしてくる。でもそこに寂しさはない。さみしいのではなく、安心して旅立っていったかつて住んだ場所。

ここは、時々訪れたい場所。一緒には暮らさないけれど一緒に生きていく人たちの桃源郷。わたしは、まもなくわたしの場所へ帰っていく。

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