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日記 2024.4.24(水) 自分に配慮する。

雨の音で目が覚める。まだ6時過ぎ。横になって携帯をひらいているうちにいつのまにか雨の音は鳥の鳴き声に変わっていた。歌う鳥たち、おはよう。

近ごろわたしの中はとても静かだ。音楽を聴く時も、絵を描く時も、外を歩く時も、日記を書いていても、落ち着いている。おだやかすぎるくらい。退屈といえば退屈だけれど、退屈なのにこれまでみたいな焦りは全然なくて、それよりも安心しきっているという感じがする。安心の強度が増しているというように感じる。誰かと比べることがない。比べてしまってもあなたとわたしの違いをはっきりと自分に説明ができる。

これはわたしの生活の中心にある台所がしっかりと機能しているからであり、家の中が自分の好きなものだけになりつつあって目に見えるところ、見えないところまで整ってきているからなのではないか。

これまでこんな感覚になったことがない。いや、なかったのではなくて忘れていたのか。でも取り戻したというのとも違う。これまでの悩みや失敗、成功したこと。笑ったり泣いたり、怒ったり。調子に乗ったりおっちょこちょいだったこと。経験してきたいろんなこと。そのすべてがわたしの中にある。忘れていることもあるけれど、それでもわたしの体は、心は覚えている。安心しきっていたあの頃に似た新しい感覚を手に入れた。一歩前に進んだ、そんな感じがする。

無職になって、わたしは意識して動くことを覚えた。中途半端に意識することをやめて、自分の気持ち、心と体をとことん意識する。意識しまくる。

手を洗うこと、手が水に濡れる時の冷たさ、感覚の変化、毛穴の動き。指先は元々特に敏感なので手に触れるものは気持ちのよいものだけにしてみたい。そんなところから始めていった。
顔を洗う時、化粧水を顔におくとき、顔がざらざらだと気持ちがよくない。指先から気持ちよさを感じるためには、と考えるようになる。
思い切って化粧品を手づくりに変えてみた。自分で全部納得して選んだ材料を使ってクリームをつくって使ってみる。そうしたらどういうわけかわたしの肌はみるみる生まれ変わっていったのだった。目でも指先でも、体の中からでも分かる変化。嬉しい。心の底から自分が喜んでいるのが分かった。驚いたけれど、はじめて自分の声に耳を傾けてあげられた気がした。自分を意識しまくって、感覚が教えてくれたメッセージにたどり着くことができたぞ。

ハグするように自分にやさしく触れて、見逃していた感覚や自分からのメッセージを受けとる。こ受けとったら素直に従ってみる。これをわたしのすべてのことに実践するように意識してみた。

わたしは何がしたいのか、どうしたいのか、ずっと分からないと思っていた。でも分からないふりをして忙しいと毎日を過ごしていただけだったのだ。
朝起きるのがつらい。自分で決めて好きなことだけしたい。気持ちよく暮らしたい。そんな声を適当に流しながら、自分に厳しくして無理やり言うことを聞かせていた。働けば疲れるけれどお金は入ってくる。貯金もできて、好きに使えるお金もでてくる。最初は目に見えやすい成果に喜んでいた。好きな洋服を買ったり、ご飯を食べに行ったり、お酒を飲んだり。お金を使ってできることで自分の機嫌を取ろうとしていた。お金が増えることはうれしかった。ご褒美をあげながら自分の機嫌は自分でとるんだ、そう思っていた。

でもどれだけ洋服を買っても、大好きなカレーを食べに出かけても、1日働いたご褒美に毎晩美味しく入れたビールを飲んでも、ほんとはぜんぜん満足していない。ご褒美あげてるから満足してって真顔で言われても、中身が空っぽだからなんにも嬉しくない。

機嫌なんてとらなくてもいい。ご褒美いらないよ。わたしをみてよ、もっともっと話をしようよ。自分への配慮がまったくない、そんなことに気づいたのは働く機会を突然奪われたからだった。遅い、遅すぎる。でも、遅すぎることなんてないのではないか。気づいたのだから変わっていける。臆病なわたしはこんなことでもない限り変わることはできなかったのかもしれない。

アクシデントや不運はいつもわたしにきっかけをくれる。ドラマチックな展開はいつも自分の中にあって、コツコツと継続する日々にこそあらわれるような気がしている。安心できる場所を自分の中につくりながら素直に感じていく。
いまわたしは、わたしのことが大好きになってきている。いま一番気になる存在はわたし。わたしの中の小さなドラマを見逃さないように生きてみたい。

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