日記　2024.4.22(月) 助け合うために生きているところがある。

今日も雨が降ったりして少し肌寒い。出窓のロールカーテンをあげてすこし部屋の中を明るくする。豆苗を水につけて出窓に置いている。根っこから水分を吸い上げ切り口にまあるい水滴がくっついている。じっと見ていると水滴がひとしずく、落ちていくのが見えた。脇芽が少しずつ伸びてきている。たのしい観察の時間。

お湯をたっぷり沸かそう。きれいに拭いてもう収める気満々だったヒーターを付けるか迷う。ナルゲンいっぱいに番茶を入れてカイロ代わりにする。洗い待ちのニットの山からカーディガンを引っ張り出してTシャツの上に着る。靴下はモンベルのメリノウールの一番あたたかいやつを履く。これでどうだ。

曇り空で薄暗い台所。お昼ご飯の準備だけしておく。ご飯はないので玄米パンを3切れグリルにセットしておく。にんじんと大根、お揚げ、小松菜、ねぎのお味噌汁にしようと準備する。手をどんどん動かしていく。大根の皮も細く切ってお味噌汁に入れよう。大根はぬか床にも入れたいから切っておく。ぬか床には数日前にんじんを漬けておいたから少し出してから大根を追加する。ぬか床をかき混ぜると手がきんきんに冷える。

近ごろ哲学の本がたのしい。哲学入門という本を買って読んだ最初の頃はなんだかぼんやりと分かったようなわからないような感じだったのだけれど、プラトンのソクラテスの弁明を解説付きで読み進めてからもう一度読んでみると、少し理解できる部分も出てくるようになった。小学生の一番悩みの深かった時期に哲学の本に出会っていたらどうなっていただろうと思う。あの頃は図書室へ行きいろんな本を探したけれど、わたしの悩みの根源に触れるような本には出会うことができなかった。保健室にあった体と心の本は少しだけわたしの気持ちに寄り添ってくれたので一冊ずつ借りて読み漁っていたことを思い出す。

クッションカバーをそろそろ縫い上げたいので縫っていく。手縫いでちくちくひと針ずつ縫い進めるとなんだか落ち着く。指先の感覚が研ぎ澄まされる。指先から得る情報を感じ取るのが大好きだ。元住人に頼まれている敷物の端も縫うので三つ折りにして準備をしておく。こちらは早く仕上げたいのでミシンで縫うことにする。

お昼ご飯を作って食べる。まだ暗い台所。とろろ昆布をたっぷり入れたお味噌汁が美味しいな。玄米パンも香りよくほんとうにおいしい。
玄米のいいところはたくさんは食べられないところ。自然とよく噛むようになるので食べることに集中できるから食事中に瞑想できる。実家からの荷物に入れてもらったお米も今回から精米していない玄米にしてもらった。本格的に玄米生活を始めよう。きっとまた何かが変わっていくだろう。

頼まれものの敷物を縫っていく。久しぶりにミシンを出してだだだと縫う。指先よりも目と足の感覚に集中がいく。あっという間に縫い上がった。すごく素敵。アイロンもかけて元住人にできたよとメッセージを入れておいた。

お昼寝は台所で。ピクニックマットを敷いてブランケットを足先で巻き込んで包まって横になる。ブランケットとわたしの隙間にクマを差しこんだらあたたかさが外に逃げない。
ぐっすり眠っていたら電話が鳴る。労働基準監督署からだった。もう指導の効果も見込めないからと裁判に切り替えるか判断した方がいいのでは、時効があるから時間をかければもらえる金額もどんどん減っていきますよ、というような話を受ける。なんの成果もないままでこれでよしとせよというのか。相談の意味はなかったのか。結局は会社側を守る場所のようにしか見えてこない。弱い立場の労働者の主張はかき消されるだけなのか。お金をかけなければなにも解決しない世界。これはわたしと会社の問題というだけではない気がしてくる。

外に出て散歩をした方が良さそうだ。トレーナーを着て暖かくして外へ出る。豆乳とバナナ、豆腐、お菓子とお水を買って帰ってくる。歩いて考えている間にもやもやが少し晴れてきた。こんな時も冷静に静かに、穏やかに考えることができるようになってきたなと思う。10ヶ月前のどうしていいかわからなかった時のわたしはもうどこにもいないようだ。わたしはわたしを救えるようになってきていると感じる。

わたしは人間は助け合うために生きているところがあるということを忘れたくない。
いつもひとりでも、いざという時助け合える関係を築いていくことはできるはずだと感じる。友だちとの関係でも毎週のように、毎日のように連絡を取ったり会ったりすることが信頼を築くこととは思わない。楽しいか楽しくないかの方が重要だと感じる。基本はひとり、時々声を聞いたり会いたいなと思えば連絡する。会いたくない時期もあるほうが自然だと思える。仕事も家族との関係も一緒なのではないか。
自分と向き合い素直な気持ちで自分を助けることができるようになってきたら、今度は助け合うことについて、信頼を得ることについて考えてみたいと思う。