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冬の城崎(きのさき)温泉

 2018年1月の日記です。
 
 1月14日は71回目の誕生日、今更とも思うが、
この1年無事に過ごせたのだから、よしとしようと、
城崎温泉に一泊し、温泉と蟹を楽しんだ。
 
 土曜の昼過ぎ、姫路から特急「はまかぜ」に乗る。
播但線は、無電化単線、
山をぬってカーブとトンネルを繰り返して北に進む。
川沿いに細長い田畑が続き、降り始めた雪で、
山がかすみ、寒々としている。
 
 川口屋本館は城崎温泉駅から徒歩5,6分、温泉街の中心だ。
建物は木造の純和風、2階の和室に案内される。
窓に面した板廊下の椅子に座り外を見降ろすと、
幅5,6メートル程の川に沿って柳が細い枝を垂らし、
川の両側の道を繋ぐアーチ型の石の橋が雪を被っている。
城崎温泉は外湯が名物とのことで、
浴衣、丹前姿の温泉客が歩いているが、
雪が残るこの寒さ、他人事ながら心配になる。

部屋の外は温泉街


  露天風呂も内湯も、他にお客は見ない。
広い石の浴槽を独り占め、これぞ温泉とゆったりとした気分だ。
夕食の食事処で、他の宿泊客を見ると、
親子連れ、女子会等が10組程度で、どう見ても我々が最長老。
 
 食事は蟹のフルコース、
蟹刺し、茹で蟹、焼き蟹、せこ蟹、蟹味噌、
山陰のズワイガニはタラバより小ぶりで味も繊細だ。
手と口を忙しく動かし、合間に冷酒も飲む。
最後に蟹すき、蟹おじやが続く、
おじやは蟹の甘味が濃く、この上なく美味しいが
2,3口食べたところで、これ以上は無理とギブアップ。
デザートは遠慮して蟹三昧は終了。
 
 食事を運んでくれる年配のお婆さんは、
我々より上と思われるから70代後半か、
80過ぎかもしれないが、
如何にもきびきびしていて身が軽い。
聞けば、隣の豊岡駅から通っている。
年金が少ないから働かなければならない。
旦那が働いてくれないから仕方がないとか。
とは言え、表情も動作も生き生きとしている。
食事処の配膳をほぼ一人で担当しており、
翌日の朝食時にも現れて、同じように配膳をしている。
昨夜は帰ったのだろうか、と些か心配になる。
 
 翌日は裏山のロープウェーに乗り見晴台に到着、
眼下は冬の絶景だ。
連なる山々には粉雪が無数の星の如く散らばっている。
正面眼下の細い縦長の山間には城崎温泉街の
白い屋根の連なりが向こう伸び、円山川まで続いている。
川の向こうは丹後半島の山が連なり、
はるか左奥は藍色の日本海、上は厚い雲が覆う。

展望台から城之崎を望む

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