「死ぬときは 箸置くやうに 草の花」
表題は、3月17日のNHK俳句で、紹介された小川軽舟さんの句だ。
小川軽舟さんは1961年生まれだから、現在63歳。東大法学部卒、2019年から大阪阪神電鉄の筆頭取締役だが、同年に俳人協会賞を受賞しており、俳人として世に知られている。表題の句は代表作の一つ、句風は丁寧・着実と評されている・・・・らしい。
いい人生だったと満足して心穏やかに箸を置くように死ぬ、勿論そうありたいと思うが、そんなにうまくいくものだろうか。
17日のNHK俳句のゲストは医師・作家の南杏子さんだった。彼女も1961年生まれ、結婚後、夫の転勤に伴って英国に行き、そこで子供を出産、帰国後、一念発起して大学の医学部に学士編入して医師になった。同時に小説教室にはまり、介護体験や医師として多くの死を見届けた体験をもとに終末期医療や在宅医療を題材とした『サイレント・ブレス』で小説家としてデビューした。
以前彼女の「命の停車場」を読んだ時の自分のメモでは、評価A、読後感は、・・・・現役医師が在宅医療を語る。最後に自分の父を見送る状況、心情が赤裸々に語られている。・・・・とある。どんな方かと興味があった。
彼女曰く、現在、高齢者(平均90歳)専門の病院に勤務しているが、いつもニコニコしている患者もいるが、そうでない人もいる。ニコニコしている人に訊くと、機嫌よく生きると決心することだとのこと。
きしくも、私が大切にしている10の事の一つに、「いつも機嫌のいいふりをする」がある。ふりをしているうちに本当に機嫌が良くなる。自己暗示だろうが、自分も周りも結果はオーライだから、これでいいのだ。
言い古されたことだが、人間は例外なく、いつか死ぬ。最後まで機嫌よく過ごせるか、そのつもりではあるが、まだ自信はない。