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秋田の秘湯

 続けて2005年12月の日記です。
 
 大停電の翌日は、秋田の秘湯だ。
目指すは、秋田乳頭温泉郷の蟹場温泉
前日は不通だったJRは、全て時刻通りとのこと。
 
 先ずは、新潟から羽越線で日本海沿いを、秋田に向かって北上。
荒々しい、日本海を眺めているうちに、景色はだんだん白っぽくなり、
やがて一面真っ白になり、秋田駅の手前では、吹雪だ。

吹雪の中の羽越線

 
 秋田駅で、酒と駅弁を買い、秋田新幹線に乗車、
新幹線と言っても、ローカル線の線路を、広げて電化しただけ。
駅弁を食べて酒を飲んでいるうちに、1時間ほどで、田沢湖に到着。
駅前から乳頭温泉行きのバスに乗る。
チェーンを巻いたバスが、硬くしまった雪道をのろのろと北上する。
最初は満員だった客が、殆どいなくなり、1時間ほどで、終点に着いた。
最後に、80メートルほどの雪の小道を歩いて、宿に到着。
 
 宿の外観は大きな仮設住宅の如くだが、中はそれなりに温泉宿、
広々としていて、余裕があり、我々の部屋は洗面所・トイレ付き。
温泉は、別棟になっていて、渡り廊下を歩くと、
木風呂と岩風呂がならんでいる。
木風呂に入ったが、建物も浴槽も全て秋田杉で出来ている。
湯の中には白い点々の湯の花が舞っていて、少し熱め。
体が芯まで温まり、これぞ、温泉だ。

全て秋田杉の木風呂

 
 温泉の後は、勿論料理と酒だ。
用意された料理も、なかなかで、とても山奥の料理とは思えなかった。
蟹場の名前もあり、蟹が、多かった。
酒も、「蟹場の酒」との地酒があって、これも、美味かった。
 
 ほろ酔いになって、部屋に戻っても、まだ、7時半、
PCもないし、やることもないので、監視人とともに布団に入り・・・・
何はともあれ、早く寝た。
 
 翌日、朝起きたて、外を見たらびっくり。
夜の間の大雪で建物もあたりの木々も、全部真っ白。
駐車場にあったはずの車も、見えず、
よく見ると、そのあたりの雪がこんもりしている。
宿から50メートルほどの混浴の露天風呂に行きたかったが、
除雪が間に合わず、歩くのは無理とのことで、またまた、木風呂にいった。
朝食を済ませて、ゆっくりして、いざ、帰路へ。
 
 帰路は、大変だった。
田沢湖までのバスは、30分ほどの遅れでついたが、
田沢湖駅では、8時頃の出発予定だった新幹線が、
11時になっても、駅に止まったままだ。
考えてみると会社は明日も休みだ、蟹場温泉にもう一泊しようか、
と思いつつ、改札のところで、うろうろしていたら、
駅員が秋田駅直行の代替バスが出るとのこと。
直ぐに、それにのり、2時間ほどかけて秋田駅に着いた。
 
 ところが、秋田に着いたら、なんと、全てのJRが不通だ。
相変らず強風のなか、間断なく雪が降り続いている。
除雪が間に合わず、羽越線も秋田新幹線も、朝から全部不通、
勿論、特急のいなほも、来ていない。
今回も、改札あたりをうろうろしていたら、
突然、新潟に向かう途中の酒田までの各駅が出発するとのこと、
すでに13時半だが、今日最初の電車だとか。
急いで2両編成の、電車に乗り込んだ。
 
 2時間ほどかけて酒田に着くと、特急いなほが待っており、
直ぐに乗り込んで、新潟に向かう。
社内販売で、駅弁と酒を入手して、落ち着いた。
結局2時間ほど遅れて新潟に着いたが、特急券の払い戻しで、
往復の駅弁と、酒代が補填され、
得した気分になり、秘湯一泊旅行は無事(?)に終了した。
 
 
 追:翌日、テレビのニュースで、びっくり。
   秋田から新潟に向かう「いなほ」が強風で脱線転覆し、
   先頭車両に乗っていた数人が、亡くなったとのこと。
   あの日、あと一泊したら、その「いなほ」に乗っていたわけで、
   しかも我々の乗る禁煙の自由席は先頭の6号車だったはず。

いなほの脱線転覆事故

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